DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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J.S.Bach 6 Cello Suites No.6

Miklos Perenyi


ECM (476 4166)



もはや音楽というよりも「聖者の講話」と言うべき演奏。しかも、鍛錬を積み克己し人智を超越した高みを目指せと説くのではなく、無限の宇宙に対して限りある身近な小さな生を慈しみ、ありのままを肯定して包み込む卑近な言霊。

チェロの聖者ペレーニを扱うのは意外にもこれが初めてです。これはバッハの無伴奏チェロ組曲の中でも特筆すべき演奏です。楽器の音はせずに「美しい」という言葉では追いつかない物理的美を超越し、生命の持つ温かみを湛えた音がします。この難曲を一切の綻びなく演奏するテクニックは完璧であるにも関わらず、決してそれを見せびらかすことをしない。これを「無私」と言う人もいるでしょう。しかし、「無私」というのは適切な言葉ではないと思うのです。感情がなのではない、自我を殺しているわけでもない。音楽の芯には確かにペレーニという一人の人間である「聖者」のぬくもりがあり、音楽で人々に奉仕しようという「エゴ」があります。

プレリュードから懐が深く、勢いで緊張を強いることなく聴く者を包み込みます。ガヴォットやジーグも同じで音楽に無駄な圧力が一切ありません。静かな曲調のアルマンドや大好きなサラバンドは白眉。私は残念ながらこれを表す言葉を持ち合わせていません。

ペレーニは二度バッハの無伴奏チェロ組曲全曲録音をしていますが、一回目はLPのみ、二回目はDVDのみなので、これを皮切りにECMレーベルで全曲録音をしてもらいたいものです。

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J.S.Bach Organ Works

Wolfgang Stockmeier


DOCUMENTS (223498, 223499)



バッハのオルガン曲を聴く時間は何故だか決まっています。夜、しかも深夜にボリュームを絞って聴くのが常です。しかもそのときは仕事をしているか本を読んでいることが多い。一曲一曲に対峙して聴くという聴き方ではなく、悪い言い方だと「流し聴き」。いや、でもそれはちょっと違う。うまく表現できないのですが、聴いているよりも音楽によって作られる「空気」を「感じている」というほうが近いのです。音楽に意図的に向き合わなくても、バッハの音楽は厳かな空気と化し、呼吸と共に体に取り込まれる。だから寝静まった深夜にこそ、よりその存在が引き立つのです。ずっとCDをかけつづけていると、明らかに自分の部屋が特別な別の空間になることを感じられます。

水晶の結晶のように厳然たる秩序の積み重ねによって作られた世界。リズムを崩すことなく厳格な演奏なのですが、そこに堅苦しさや息苦しさはなく、水晶のようにやわらかくしっとりした光を放つ。シュトックマイアーの演奏は、突き放すような厳しさはなく、凝縮しすぎず、より身近であり、まるで水晶の中を覗き込むような透明で結晶化した小世界です。スケールは大きくありませんが、実に素朴で世俗の垢はありません。
特に長調の曲での暖かみはヴァルヒャの演奏からは得られなかったものであり、教会のステンドグラスからキラキラと差し込む温かい光のようです。結婚式に参列しているような暖かい気持ちになれます。

ヴァルヒャの求道者のような厳しい演奏もいいですが、シュトックマイアーのより身近でありながら結晶化した純度の高い演奏も捨てがたく、同じDOCUMENTSレーベルから廉価で発売されている両者の演奏があれば、私は満足してしまいます。

今もこの演奏を聴いて水晶の中の小世界をちょっと散歩しています。心静かに穏やかに。

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J.S.Bach Brandenburg Concerto No.2

James Levine
Adolph Herseth (Tp)
Chicago Symphony Orchestra


BMG CLASSICS (82876762222)



拝啓ハーセス様、

小生は長らく貴方様を誤解しておりました。某体育会系指揮者の演奏の刷り込みにより、ただのテクニックだけの方と思い込んでおりました。その貴方が独奏曲でなく協奏曲で、しかも大バッハでこんなに素晴らしい演奏をされるとは、自身の不明を恥じる次第でございます。そして、小生の大好きなこのブランデンブルクの第2番でこんなに素敵な演奏を披露してくださるなんて、感激の極みでございます。感謝の意に耐えません。

元シカゴ響トランペット主席奏者のハーセスはラッパ吹きの中ではもはや神格化された存在で、「ハーセス様」と呼ぶ知人のファンも数名いるほどです。私もそのテクニックの素晴らしさは彼がシカゴ響でソロを吹いた曲を聴いて認識していましたが、これほどまでに豊かな音楽性の持ち主だとは思ってもいませんでした。バッハが無類のテクニックとともに、豊かに奏でられるのです。まさかバッハでこれほどの演奏を聴かせてくれるとは思ってもいませんでした。神業的なテクニックによりトランペットの音は鳥の如く自由闊達に空を舞い、溢れる湧水の如く留まることなく豊かに流れる。しかし、それがテクニックを見せびらかすような嫌味さがなく、非常に自然であることに驚愕します。全くハーセスは無類の音楽性の持ち主であるということを認識されられました。

一、三楽章のトランペットの木管楽器のような柔らかい音はどうでしょう。これが金管楽器?というほどに透明で柔らかい音です。アタックは完璧で絶対に汚い音がしません。これだったらホルンのように木管アンサンブルに入っても全然違和感がないではないですか。そして伴奏を含めた拍感を強めに出したリズム感が抜群です。
ブラインドテストでこれがシカゴ響のメンバーによる演奏だとは分からないでしょう。他のソリストの技術も抜群です。バッハもこれだけの演奏できてしまうシカゴ響の奏者達の能力の高さに感服します。二楽章など多少陰影には乏しいですが、楽しさという言う点で聴かない手はありません。

シカゴ響のバッハというとコアなバッハファンからは敬遠されてしまいそうですが、虚心坦懐にして聴くときっと幸せなバッハに巡り会えることでしょう。

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J.S.Bach Air

Herbert Kegel
Dresdener Philharmoniker


Altus (ALT056)



最近、久しぶりにバッハ、ブルックナーのサイクルに入っています。この二人の音楽は情感よりも構造、人間のドラマよりも宇宙の法則を感じさせ、音楽の風景に人がいないのが共通しています。そのある意味「潤いのなさ」に体が拒絶反応を示すことが時々あるのですが、この一年近くそのような状態が続いていました。しかし、自分で驚くほどここ数日体がバッハを求めています。この音楽の嗜好の波は精神の動きとどう連動しているのか?今後の研究課題にしたいと思っています(笑)。

さて、久しぶりのバッハのエントリですが、いきなり「音楽の捧げ物」や「フーガの技法」といった結晶化した音楽では敷居が高いので、ポピュラーな曲にしますが、それでも内容は大変へヴィーかもしれません。

かつてこれほど「G線上のアリア」が透明で寂寥感を湛え、美しく奏でられたことがあったでしょうか。信じられないほど美しく、そして哀しい。ケーゲルが「冷たく歌い」きった稀有な演奏です。たった5分弱の音楽がここまで心揺さぶることは!
ケーゲルらしい透明感溢れる演奏ですが、それが徹底されています。軽い眩暈を覚えるほど、ヴァイオリンは氷のように透明で冷たい。そしてそれ故に胸が締め付けられるほど哀しい。最初のテーマが戻ってくるところはぎりぎりまで引き伸ばされたりと、ケーゲル独特の歌に溢れており、ただ音響的に透明なだけでなく、そこにロマン気質とは違うケーゲルの「冷たい情念」が宿っています。それが音楽を無類の感動的なものにしているのです。嗚呼、メロディーそのものが持っている暖かさのみが唯一の救いか。

カップリングの「運命」も特異な名演ですが、この5分弱のためだけにこのCDを買っても決して無駄にならないと断言します。こんな素晴らしい演奏が日本で繰り広げられていたとは。この演奏の数ヵ月後、東西冷戦が終結し、ベルリンの壁が崩壊、ついにケーゲルはピストルで自らの命を絶ちます。この演奏はケーゲルの遺言だったのか?バイアスをかけて物事を見てしまうのは人の性ですが、ケーゲルはどれだけのものをこの音楽に込めたのか、思いを馳せてしまいます。

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J.S.Bach Cello Suites No.2 Saraband

Mstislav Rostropovich


EMI (7243 5 55365 2 6)



ロストロポーヴィチが亡くなりました。享年80歳。一つの時代の終焉です。本当はブログなど書いている場合ではないのですが、どうしても書きたい衝動に駆られ、パソコンに向かっています。

先ほど仕事から帰ってきて、朝日新聞のWebで訃報を知りました。衝撃でした。最近は体調が思わしくないことは知っていましたが、いざ訃報に接すると衝撃は大きいものです。
ロストロポーヴィチは必ずしも好きなタイプのチェリストではありません。私にとって彼の表現は大きすぎ、また強すぎるのです。ですが彼は尊敬に値するチェリストでした。初めてチェロという楽器の限界を超えた人ではなかったでしょうか。今後彼のようなチェリストが現れるとは考えにくいです。

彼が残したバッハの無伴奏は、鳴物入りで登場したにも関わらず、各方面(私の周りでも)で苦言を呈された演奏です。「これはバッハではない」そのような評論を良く目にしました。しかし、本当にこれはバッハではないのか?異様に巨大なスケール、舞曲とは思えないベタベタした重い音。バッハの無伴奏の中では明らかに異質です。

阪神淡路大震災の際、追悼演奏会のアンコールで彼が弾いたのがこの2番のサラバンドでした。私は大学時代の友人と友人宅でその放送を見ていましたが、その壮絶な演奏に絶句し、涙しました。バッハはかくも悲痛なのか。彼のこのバッハは確かに通常概念にあるバッハではないかもしれません。ですが、その深い慟哭を聴いてください。私も彼のバッハの全部を賞賛するわけではありません。ただ、短調のサラバンド(2、5番)だけは、前人未到の深みに達していると思います。これほど胸にささる演奏を他に知りません。音が叫んでいます。

今日はこのサラバンドを流し続けながら、追悼したいと思います。合掌。

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以前calafさんからご紹介いただいたシュトックマイアーのバッハのオルガン曲全集がDocumentsレーベルから復刻されました。

「HMV Japan - シュトックマイアー/バッハ:オルガン作品全集」

ヴァルヒャ一辺倒でももったいないので、これは是非とも手に入れないといけないですね。でもまたセットが増えて置き場所に困ってしまいます(苦笑)。

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J.S.Bach Organ Works

Helmunt Walcha


DOCUMENTS (223489)


最近、夜家で仕事をしながら音楽を聴くのを楽しみにしている。マンション暮らしで聴く時間帯も遅いため、管弦楽は聴くわけにはいかず、室内楽、器楽曲などをもっぱら聴いている(もっとも、最近は管弦楽を聴く頻度はめっきり減ったので支障ないのだが)。仕事するにあたり、集中力を高め、俗世間と隔絶した世界に自分を放り込みたいとき、一番いいのがバッハの音楽である。それも厳格なバッハ。となると頭に浮かぶのが、リヒターとヴァルヒャだろう。今は、ヴァルヒャのオルガンに心酔している。
ARCHIVに残したモノラル、ステレオ録音のバッハのオルガン曲集は、CDが安くなったといっても高値の花で、有名曲が聴ければいいという浅はかな思いから、ステレオの選集を持つにとどまっていた。多くの演奏家の演奏を聴いたわけではないが、その演奏は、バッハのオルガン曲と言えばヴァルヒャと、反射的に思い浮かぶほど、自分の中では別格の存在になっている。最近、超廉価盤としてDOCUMENTSというレーベルからARCHIVのモノラル録音が発売された。録音年が古いというのもあり、「安かろう、悪かろう」で最初は購入を躊躇していたが、後悔したくないと思い購入。これが大正解だった。
薄学ゆえ詳細は分からないが、オルガンという楽器は楽器の特性上、強弱や微妙なアーティキュレーションを出すことは出来ないはずだ。なのに、なぜこれほどまで他の演奏家と隔絶した、偉大な個性があるのだろう。厳格で強固な構成力、揺るぎのないスケール。とてつもなく厳しい。私情を排し、ただひたすら作品に内包する普遍性を露わにする努力を重ねた結果とでも言おうか。幼くして視力を失うというハンデを乗り越えて、遥かな高みに達した求道者の言葉を聴ける。ステレオ録音よりも、求心力があり、人類の至宝といっても大げさではないだろう。
この全集は有名な前奏曲とフーガ、トッカータとフーガ以外の曲を多く収録しており、バッハの多くの傑作に接する機会を持てた。特に感動したのはパルティータ「ようこそ、慈悲あつきイエスよ」(BWV768)で、コラールの壮麗さには言葉を失った。壮麗さはあのパッサカリアとフーガに負けていない。
録音年代が1947年から1952年のモノラル録音にも関わらず、極上の音質で鑑賞にはなんの支障もない。とても50年前の演奏とは思えないくらい瑞々しい音で、ダイナミクス・レンジも広い。音質もいい上に、こんなに素晴らしい演奏が10枚組で2000円足らずなのだから、これほどコストパフォーマンスがいいCDも珍しいのではないだろうか。家宝として一家に一セット持って欲しい演奏である。

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