DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Schubert String Quartet No.14 "Death and Maiden"

Verdi Quartett


hänssler (98.546)



「死と乙女」はかくも激しく演奏しなければならないという既成事実を作ったのは、かの有名なアルバンベルクSQの演奏ではないでしょうか。既存のシューベルトの概念を覆す激情的な演奏で、当時、弦楽四重奏はかくもダイナミックな演奏が出来るものだということを証明したエポックメイキング的演奏だったと思います。学生時代に先輩からすごい演奏だと薦められ、「死乙女=アルバンベルク」を刷り込まれました。当時はこれこそが究極と信じていました。

それから早20年。今となってはもう聴くことはありません。言葉はきついですが時に音の暴力にも感じられ、聴き通すのがしんどいのです。シューベルトの伝えたかったのはこのような音楽か?その疑問に答えてくれるのがこのヴェルディSQの演奏です。

全編に渡ってソットボーチェというべき「静粛」が支配しています。一楽章の冒頭が淡々としていてその静けさたるや空恐ろしいほどであり、逆にこれが当時既に梅毒を発病していたシューベルトの絶望を伝えてやみません。ゆっくりした重いリズムと抑制された息の長い歌が、聴き手の心にじわじわと浸食します。

二楽章のチェロの第二変奏のが終わりパウゼの後、第三変奏の冒頭のフォルテ(6:51)もメゾフォルテくらいの音量で、決して叫びません。この楽章のクライマックスの第五変奏(11:07)でも同様です。騒がず慌てず歌を紡ぐ。それがゆえに胸に迫るものがあります。

典型的なのは三楽章の冒頭。アルバンベルクSQ鋭利な刃物のような刺す音でしたが、ヴェルディSQは抑えています。中間部の過剰に歌わない朴訥としてしみじみとした歌は他では得難いものがあります。

四楽章も決して流されず、弾き飛ばさずテヌート気味にひたすら静粛な歌を奏でます。しかし音は大きく激しくなくても音が叫んでおり聴き手の心を打ちます。

以上、アルバンベルクSQを貶めるような書き方をしましたが、あくまで音楽の趣味の変遷であり、また学生時代にはまだシューベルトの音楽に深く共感しておらず、自分の中でシューベルトの音楽像が固まっていなかったのもあるのかもしれません。

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Schubert String Quartets

Verdi Quartett


hänssler (98.546)



今となっては知る由もありませんが、シューベルトの声は小さかったのではないでしょうか。想像の域を出ませんが、交響曲などの大規模な曲よりも歌曲や室内楽で適性を示した彼の作風からしても、想像に難くありません。しかし、最近シューベルトを騒がしく演奏する団体が多く、それに疑問を感じずにはいられません。ダイナミクスに頼ったカタルシスでは彼の音楽を殺してしまうと思うのです。

急に涼しくなった初秋にはシャイな「小声」の音楽が似合います。ヴェルディSQの奏でる音楽は、ポーズを取って大声で叫ぶのではなく、しみじみと小声で歌います。「動」よりも「静」。そしてそこにはシューベルトの絶望と孤独に必要な「粛」が同時に存在しています。「静」だけでは退屈になりがちですが、そこに「粛」がある「静粛」な歌だからこそシューベルトの音楽が生きるのです。シューベルトの弦楽四重奏曲全集は、アウリンSQシネ・ノミネSQとこのヴェルディSQがあれば、もう他はいらないかもしれません。しかも大好きな弦楽五重奏曲も含まれているのが嬉しいです。

師匠格のメロスSQのようにリズムは重く、今どきの弦楽四重奏団にしてはダイナミクスレンジが狭いです。弾き飛ばさないかわりに朴訥としてしみじみとした歌があり、聴き手に緊張を強いることなく心に音楽がスッと入ってきます。これこそシューベルトの音楽ではないでしょうか。

今後折を見て、このヴェルディSQが演奏するいくつかのシューベルトの弦楽四重奏曲を紹介したいと思います。

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最近全くCDを購入していないのですが、久しぶりにHMVのオンライン・サイトを物色していたら、人類の至宝とも呼ぶべき、アウリン弦楽四重奏団によるシューベルト弦楽四重奏曲全集が復活していました!

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もしかしたら、拙ブログの啓蒙活動が奏功したのかもしれません。(^-^)


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Schubert String Quintet

Quatuor Sine Nomine
Francois Guye


Claves (50-2003)



秋の空は物悲しい。たとえどんなに晴れていても。同じ晴れた青色でも秋の空が夏と違うのは何故だろう。それは弱りゆく太陽によるところもあるが、やはり雲だろう。夏の分厚く生き物のように成長し蠢く積乱雲に対し、秋の青空に溶けてゆく薄く儚い巻雲。その消え行く様は滅びゆく命を連想させます。

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実はこのCDは以前紹介した同シネ・ノミネSQによるシューベルトの弦楽四重奏曲集を注文するよりもかなり前に注文したのですが、入手出来たのは弦楽四重奏曲集よりも後でした。弦楽四重奏曲集同様素晴らしい演奏で、私のテーマ曲であるシューベルトの弦楽五重奏曲で、以前紹介したメロスSQアウリンSQ、まだ紹介していないライプツィヒSQ、ブランディスSQと共に、五大名演を形成する演奏なのです。

個々のメンバーの透明感があり繊細な音が、表面上は明るくもこの曲の本質である「滅びゆくもの」の姿を見事に描出します。特に1st Vnのジュネのヴィブラートを見事にコントロールした純度の高い響きは特筆すべきものがあります。例えば一楽章展開部(11:06)から、Vlaと1st Vcの二重奏とその後の1st Vn。ジュネの濁りのない繊細なヴァイオリンが秋空に溶けていきます。
二楽章冒頭の1st Vnの透明度は随一でしょう。透明であればあるほど痛切に心に響きます。

かつて私がこの曲と一緒に心中したいと思った四楽章。大切な大切な四楽章。「苦しく哀しい」滅びゆくものの絶望を聴かせてくれます。冒頭は少し前のめりになって畳み掛けていきます。(1:43)から第二主題が繰り返されるところは唯一無二。まるで消えゆく雲たちの戯れのよう。(1:50)からのわずかにルバートをかけた1st Vnも何と儚いことか。このわずかな瞬間でもこの団体の音楽性の高さが伺い知れ、ここだけでも何度でも繰り返し聴きたくなります。

この曲は私のテーマ曲であり、貪るように聴いていた時期もありましたが、嘘のようにぱったり聴かなくなり、久しく聴いていませんでした。今日青空の下で子ども達と遊んでいるときに空の雲を見てふと思い立ち、この演奏を聴いて涙を流したのでした。

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Schubert Piano Quintet "Trout"

Paul Lewis
The Leopold String Trio
Graham Mitchell


Hyperion (CDA67527)



CDレビューの書き方すら忘れた感がありますが(苦笑)、久しぶりのCDレビューです。しっとりとシューベルトの室内楽と行きましょう。シューベルトの晩年の深い闇も好きですが、八重奏やこの五重奏などのシューベルトらしいメロディ溢れる幸せな曲も大好きです。

最近、といってもかなり前に購入し、しばらく聴き続けた同曲の中でも最高峰の演奏です。なんと透き通って清々しい音楽!本当に渓流に来たような清涼感に包まれます。以前、ルイス/レオポルド弦楽三重奏団によるモーツァルトのピアノ四重奏曲を紹介し、この素晴らしさに彼らの「ます」が大変気になっていたのですが、予想どおりの素晴らしさでした。

ルイスの透明感ある粒立ちのいいタッチと、レオポルド弦楽三重奏団のピリオド・アプローチを多少取り入れたヴィブラート控えめの奏法が、より透明感、清涼感を演出します。そして音楽の流れの良さも特筆すべきでしょう。程よく弾むリズムと決して流れが滞らないテンポ感の良さが、淀まず絶え間なく流れる渓流と水中で躍動する魚たちそのものなのです。また、有名なソリストを招いて一時的に結成したアンサンブルにはない一体感があります。この一体感は他ではなかなか聴けません。バランスは常に極上。アンサンブルの精度も素晴らしいものがあります。

一楽章冒頭から清々しさに包まれます。鱒が飛び跳ねます。この音楽の鮮度はこの曲に絶対に必要なものです。

二楽章の繊細さも特筆すべきでしょう。メロディ偏重になったり甘くなりすぎず透明感を失っていません。

三楽章の躍動感も素晴らしい。

有名な四楽章の変奏曲。嗚呼、何度でも何度でも聴いていたい。第三変奏曲での愉悦感、第五変奏曲でのチェロの憂い、どれをとっても最高です。一つ一つのメロディが、過剰なカンタービレにより浮いてしまうことなく、極めて自然に流れるようにスッと心の中に入って来ます。

五楽章の心洗われる美しく幸せな響きはどうでしょう。これだけウキウキするのに涙が溢れるのは何故でしょう。その清々しさに胸一杯になってしまいます。

さあ、普段は忙しくて行けない渓流に、この演奏を聴いてココロだけ渓流に出かけよう。そして岩に腰を下ろし、森と渓流のマイナス・イオンたっぷりのしっとりした空気を吸い、深呼吸をしよう。ほら、さっきまココロに刺さっていたトゲが取れていくでしょう。

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Schubert Symphony No.8(7)

Herbert Blomstedt
Staatskapelle Dresden


edel CLASSICS (0002962CCC)



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Schubert Symphony No.8(7)

Hans Zender
SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg


hänssler (93-120)



勢いをつけるためにまずは不滅の名曲、「未完成」から始めましょう。クラシック入門曲として安易に演奏されがちですが、あまりに深すぎる曲だと思います。

この曲にはヴァント最後の日本公演の神々しいまでの演奏が脳裏に焼き付いていて、ベルリン・フィル、ミュンヘン・フィルのライブ録音とともに、あのような透徹した演奏が好みです。数多の演奏がありますが、曲の核心に迫っている演奏は少ないように思います。骨格の良さと暖かい音色で聴かせるブロムシュテット。透明で冷たい歌でシューベルトの深淵に迫るツェンダー。どちらのアプローチも成功しています。

ツェンダーの演奏は南西ドイツ放送響の明度の高い音色に、ツェンダーのクールな色温度の低い音が混じります。明度が高く色温度の低い、水色かエメラルドグリーンのような色をしています。ツェンダーはロマンティックに歌わず、非常にクールで即物的です。そして常にシャープでソリッドなティンパニがより引き締めています。
ツェンダーの真骨頂は一楽章の展開部でしょう。ここで、シューベルトの深淵に迫れるかが決まります。展開部の入りの低弦、そこから湧き上がるヴァイオリンの不気味さ!背筋が凍るほどの戦慄を覚えます。なんと不健康な美しさ!
二楽章冒頭のヴァイオリンの透明感こそはこの曲の肝なのです。ツェンダーの線が細く透明な歌はこの世の響きとは思えません。

ブロムシュテットの演奏を色に喩えると暖色系のオレンジで、ツェンダーとは違った透明感があります。何よりも骨格が良く、凛とした格調の高さがあります。
一楽章、「シューベルトの深淵」とかいう感傷の余地を許さない、響きだけが全ての全く正攻法の演奏です。病的な美しさはなくともその響きだけで満足してしまいます。なんと立派で美しい音楽!
二楽章、ブロムシュテットの演奏は夕映えのような暖かさを湛えています。天上よりも一段降りたところにある現世に近い美かもしれないが、聴き手を優しく包み込んでくれます。冒頭のダムを筆頭とするホルン・セクションによって導き出される暖かい響きにただ身を委ねるだけです。どこか「懐かしい」感じすらします。この「懐かしさ」こそがブロムシュテットの演奏の美点かもしれません。

シューベルトの晩年の虚無に飲み込まれたいのであればツェンダー、曲の美しさに包み込まれたいのであればブロムシュテット。とても贅沢な選択肢です。

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Schubert Symphonies

Herbert Blomstedt
Staatskapelle Dresden


edel CLASSICS (0002962CCC)



schubert_zender.jpg


Schubert Symphonies

Hans Zender
SWR Sinfonieorchester Baden-Baden und Freiburg


hänssler (93-120)



シューベルトは大好きな作曲家ですが、普段聴くのは主に室内楽や器楽曲、声楽曲で、交響曲を聴く頻度は低いです。モーツァルトと同じように、この作曲家の本領を発揮する分野は交響曲ではないと感じます。シューベルトには規模が大きすぎると思うのです。しかしながら、有名な最後の二つの交響曲、「未完成」、「グレート」はもちろんのこと、それ以外も世間では構成力の足りない曲と揶揄されますが、聴き疲れしない佳曲揃いです。

ここにシューベルトの交響曲全集で二つの素晴らしい全集があります。一つは「暖」のブロムシュテット/シュターツカペレ・ドレスデン、もう一つは「冷」のツェンダー/南西ドイツ放送響。この対照的な二つの全集があれば、私はとりあえず満足します。
ブロムシュテットとシュターツカペレ・ドレスデンの黄金コンビによる演奏は想像どおりの期待を裏切らない名演で、名録音とともに親しまれているものです。暖かみのある響きが本当に美しい。
この演奏ではツェンダーはシューリヒトよりもロスバウトに近いかもしれません。ツェンダーらしいストレートで透明な歌が特徴の、ときに背筋が凍る演奏です。対照的なブロムシュテットと聴き比べると非常に面白いです。

ちょっと趣向を変えて一つの曲について、この二つの演奏の聴き比べをしたいと思います。特に晩年のシューベルトの深淵に対し、二人は異なるアプローチで迫っているものの、両方とも非常な名演になっているところは興味深いです。

私が贔屓にしている二人の指揮者。この二人がシューベルトの交響曲全集を残してくれたことはとても幸運でした。

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  • 最近老け込んで、見た目もすっかり年相応になってしまったバカ親パパのサラリーマンです。最近は、仕事、子育て、親の面倒に追われ、音楽を聴く時間もまともに持てなくなってますが、ストレス解消に無謀な数のCDを買いつづけています。^^;

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