DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Bruckner Symphony No.6

Georg Tintner
New Zealand Symphony Orchestra


NAXOS (83553453)


私が最も愛するブル6。それはこのティントナーの演奏です。ティントナーはブル6との相性が非常に良く、彼のブルックナーの中では4、7番と並んで最高傑作でしょう。ティントナーのブルックナーは無駄な力が抜けていて、非常に自然体で清潔な響きが大変心地良いです。透明感がありふくよかで恣意的なものが一切無く、安心して身を浸すことができます。ヴァントも素晴らしいですが、その厳しさがときに仇となることがありますし、チェリビダッケさえもこの透明感と美しさに比べたら、一歩、いや二歩及ばないと思うのです。確かにリズムの甘さや所々でアンサンブルが乱れるところがあり、その点では二者に劣りますが、それを補って余りある響きの美しさがあるのです。
まず驚くのはこの演奏を行っているのが南半球のオーケストラ、ニュージーランド響という名も無いオーケストラだということです。南半球のオケによるブルックナー?と訝るのも当然だと思いますが、聴いてみると完全にティントナー色に染まっており、ロイヤル・スコッティッシュ管と比べても違和感なく聴けます。
一楽章はフォルティッシモになってからも威圧的なところがないものの、マエストーソの雰囲気は十分です。角が取れてリズムが甘いからか多少アラ・ブレーヴェ(二分の二拍子)な感じがしないところがありますが、許容範囲でしょう。人によっては詰めが甘いというかもしれません。コーダは絶美。これを上回る感動は他の演奏から得られません。各楽器のバランスが極上で、オーボエ、ホルンの二重奏の後のホルンとトランペットの掛け合いも、絶対に突出して浮くことがなく、美しく溶け込んでいます。もう、何度聴いても涙が出ます。最後は大きめにリタルダンドして終わります。
二楽章は完璧。深いフレージングが生み出すこの世の音楽とは思えない世界。特に弦楽器の音が非常に美しく、透明感があり懐が深く優しい。その優しさは人情といった優しさではなく、大自然の持つ包容力です。それはブルックナーの演奏に絶対的に必要なものではないでしょうか。それに満ち溢れています。深い呼吸のチェロとヴァイオリンの対位法的第二主題は絶美。ラルゴの沈み込むヴァイオリンと、その後の低弦の動きなど、この世の響きとは思えず、黄泉の国から響いてくるようです。最後はチェロのF-durの音階に乗せてオーボエが歌う様はもう言葉はありません。ああ、なんと美しいのだろう!
三楽章と四楽章は元々曲が弱いので、多少の味付けも曲の品格を落とさないと思いますが、ティントナーは至って自然体で無欲に表現しています。よって人によっては物足りないという人がいるでしょう。しかし私はこの自然さを良しとしたいのです。四楽章展開部のチェロ、ヴァイオリンの奏でる序奏主題など相変わらずの美しさですし、コーダも力強く、爆発力はないものの、透明感を失わない響きが素晴らしいです。

ブルックナーの6番を聴いたこともないという方は、是非とも聴いていただきたい演奏です。安価ですし、演奏も極上です。二楽章だけでも聴いていただければ、この曲の魅力に取り付かれるかもしれません。

実はこの演奏はティントナー二回目の録音で、マニアな方はお持ちかもしれませんが、もう一つ録音があるのです。そちらはいずれ紹介します。

お買い物『HMV - 交響曲No.6WAB.106 ティントナー / ニュージーランドSO【CD】-ブルックナー/音楽/HMV』

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ブルックナーの6番。私はこの曲を愛してやみません。この曲はブルックナーの曲の中でも特に偏愛する曲です。ブルックナーの最高傑作と聞かれれば9番を選びますが、もっとも偏愛する曲と言われれば、6番を選びます。まだブルックナーの6番のCDが数枚しかなかったころからその魅力に取り付かれ、周りに布教していました。そして大学時代に演奏したとても思い出深い曲でもあります。
前後の5番の壮麗さ、7番の優美さに比べると地味ですが、その平明な純白さはモーツァルトでいうと39番のような存在かもしれません。
この曲はブルックナーとしては珍しく、ブルックナー・パウゼ(ゲネラル・パウゼ)がほとんどなく、曲の始まりもいわゆる弦のトレモロの原始雲から始まるブルックナー開始ではなく、付点と三連符の組み合わせのヴァイオリンの刻みから低弦の主題が現れる亜種のブルックナー開始です。また二拍三連の組み合わせのブルックナー・リズムも特徴的です。このちょっとブルックナーらしからぬところを持ったところがこの曲も魅力だと思います。
特に前半二楽章が素晴らしく、その内容は前後の交響曲の決して負けてはいません。二楽章はブルックナー・ファンからは特に愛されている曲でしょう。ブルックナーのアダージョの中でも最も美しいアダージョです。この世の響きとは思えない「黄泉の音楽」。「天上の音楽」でないところにこの楽章の魅力があります。
二楽章はよくその美しさが話題に上りますが、一楽章の素晴らしさ、特にコーダの美しさは絶品です。私がこの曲で最も愛する部分です。オーボエとホルンの奏でる第一主題の美しいデュエット。それに応えるトランペット!何度聴いても涙を抑えられません。ここでチェロはしばらくただ四分音符を弾いているのですが、ここに命かけました!演奏していて涙が溢れて来たのを昨日の出来事のように思い出します。

この曲を愛する人は実は多いのではないでしょうか。布教の成果か私の周りにもブル6ファンは増えました(笑)。今回は良く聴くブル6の演奏を聴き比べたいと思います。


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mozart_cla5_meyer.jpg

Mozart Clarinet Quintet

Wolfgang Meyer
Quatuor Mosaïques


naïve (V 5059)


秋はブラームスも良いですが、モーツァルト最晩年の彼岸の音楽もこの季節にはぴったりです。そこで今日はクラリネット五重奏を聴き比べました。私はこの曲が大好きで、妻がクラリネット吹きなのも手伝い、かなりの数の同曲異演のCDを持ってます。
本当に素晴らしい曲です。人生の晩秋を思わせる儚い美しさが絶品です。続けて何度聴いても飽きません。モーツァルトの室内楽ではハイドン・セットと並び、最高傑作の一つであることは間違いありません。シフリン、プリンツ、モラゲス、W・マイヤー(有名なザビーネ・マイヤーの兄)、どの演奏をエントリしようかと思いましたが、最近復刻した新譜で、かつ11月に来日するマイヤーにすることにしました。実は11月に同じモザイクSQとのコンビで来日することをつい最近知り、慌ててチケットを取ったのです。
この曲はクラリネットだけうまくても仕方なく、弦が薄味ではこの曲は生きません(シフリンの新盤のエマーソンSQは最悪の例でした)。このモザイクSQは実にいいのです。本当はモザイクSQの紹介はモーツァルトかハイドンの弦楽四重奏の予定でしたが、来日が迫っており、新譜も出たばかりですので詳細は後日として、ここでざっと取り上げます。
軽い古楽アレルギーな私が、手放しに賞賛するのがこのモザイクSQ。モザイクSQはアーノンクールの手兵、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス出身のメンバーですが、あのエキセントリックな演奏とはかけ離れた実に素朴で自然な演奏で大変美しい音を聴かせてくれます。古楽独特の呼吸の浅さは一切感じられず、ガット弦の柔らかい音に包まれるだけで、幸せな気分になります。
加えて主役の兄マイヤーのクラリネットが実に素晴らしく、クラリネットの音が美しく弦の音に溶け込み、マーブルではなく、単色になっています。元々クラリネットの音は弦に溶け込みやすいとはいえ、ここまで美しく溶け込む演奏もそうないでしょう(弦楽器のガット弦の音色とヴィブラートの少ない奏法も手伝っている)。シフリンほど息の長いフレージングではありませんが、フレージングが弦と完全に調和が取れています。音も非常に透明で無駄な力は入っておらず、前述のモザイクSQと一体化しています。また古典ピッチのお陰でよりしっとり感が増しています。寂寥感ではシフリンやプリンツの演奏などには負けますが、そのかわりに愉悦感があり、特に終楽章の変奏曲など実に生き生きとしています。

今から来日が楽しみです。チケットが残少ですので、気になる方はお早めにどうぞ。ちなみに兄マイヤーの風貌はヒゲ面で、妹からは想像できません。ところで妹マイヤーの男勝りの強い音はどうも苦手。かわいい顔して気が強そうだもんな~(笑)。

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brahms4_walter.jpg

Brahms Symphony No.4

Bruno Walter
Columbia Symphony Orchestra


SONY CLASSICAL (SMK 64 472)



もうすっかり秋になりました。ちょっと前の夏の空騒ぎが嘘の様です。秋といえばブラームス。しかも今日は夕方から雨が降り、絶好のブラームス日和です。室内楽にしようかと思いましたが、最もブラームス的で久しく聴いていないブラームスの交響曲第4番を聴くことにしました。
ブラームスの4番はブラームスの内省的なロマン性を最も反映した曲の一つで、おそらく多くの人が一度はブラームスの最高傑作と思ったことがあるでしょう。私も以前はそうでした。しかし諸行無常、人間とて変わるものです。やはり典型的なブラームスの湿った重い響きが苦手となって、この曲も次第に遠い存在になっていきました。しかし、いつまでも苦手なものを遠ざけていては新しい発見がないということで、秋になったら久しぶりに聴こうと心に決めていました。しかし、ザンデルリンクの新盤のようなあまり重い演奏はしんどいので(それでも「超」の字の付く名演だと思います。)、比較的重くない演奏をと思い、定番のワルターにしました。ブラームスの4番を聴くのも久しぶりですが、この演奏を聴くのは何年ぶりでしょうか。
この演奏は良く「ワルター晩年の枯淡の境地」などと言われる演奏です。私もかつてそのような印象を持っていました。いわゆる重厚でない響きがそのような印象を抱かせたのでしょう。しかし改めて聴いてみると「本当に枯れているか?」と思ってしまいます。全然枯れてなんかいません。確かにインテンポ気味で、響きも重厚でなく、感情の振幅もそれほど大きくありません。しかし内容は非常に濃く、音楽が盛り上がるところでの情熱も決して不足しません。そしてなにより、感傷的になりすぎない品のある歌が演奏を格調高いものにしています。感情の振幅は激しくありませんが、故に心に響く美もあるのでないでしょうか。秋の静かな湖面のように、静けさがより寂寥感を助長します。しかしその静けさは自然の厳しさや激しさをも内包しています。そういった「静かな激しさ」がこの演奏かもしれません。響きが分厚くなく、表面的な感情の振幅が大きくなくてもこの曲は生きるのです。「ブラームス=重厚」へのアンチテーゼと言えるかも知れません。
一楽章冒頭のヴァイオリンからなんともいえない儚さが漂います。細かな表情がつけられ一小節一小節大切に奏でられているのが良く分かります。コーダでの力強さは決してこの演奏を安易に「枯れている」と貶めるものではありません。
やはりワルターの芸風なら二楽章。優美で豊潤でありながらも甘くなりすぎず、かつ濁りのない透明感のある歌が最高です。「透明感」というはただの響きのことを指さず、ロマンティックでありながら恣意的なものや強い情念が無いのです。表面的な音の美しさなら他にもいい演奏が沢山ありますが、ワルターの演奏は無私でありながら音楽に流れる血液の温度が高く、人肌のぬくもりが感じられます。ただの美音でない「美」がそこにはあるのです。
三楽章を聴けば、この演奏が決して枯れていないことが分かります。直接的迫力はありませんが、実に生命力に溢れているではないですか。
四楽章の提示部のヴァイオリンの奏でるパッサカリア主題は遅めのテンポでじっくりと実に良く歌います。迫り来るものはありませんが、変わりに格調の高さがあります。決して押し付けがましくなく、体の中に何の抵抗もなくすっと入ってきて、中では心をかき乱し、さりげなく体の外に出て行きます。ああ、これならいくら浸ってもいい!

これからしばらくは、ブラームスの4番と言えば、この演奏がリファレンスになりそうです。

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Dvorak Cello Concerto

Pierre Fournier
Hermann Scherchen
RTSI Orchestra


ERMITAGE (ERM 170-2)



ボヘミアの旅も今回でおしまいです。行けなかった名所はいずれまた旅するとして、祖国が恋しくなったので、祖国に戻ります。

チェロ弾きがこの曲を取り上げない分けにはいかないでしょう。チェロ協奏曲の最高傑作であり、ドヴォルザークの最高傑作の一つでもあります。チェロの貴公子フルニエが、灼熱の指揮者シェルヘンと火花を散らす壮絶なドヴォコン。初めてお聴きなった方は貴公子フルニエの一体どこにこのような熱い部分があったのかと驚かれるでしょう。セルとの有名なスタジオ録音とは別人のような熱さです。もちろん、フルニエなので荒ぶるとはいっても気品と気高さは途轍もなく、デュプレに比べれば線は幾分細いものの、ストレートに聴き手の心に刺さってきます。気高さの上に熱さが加わっているので、スタジオ録音よりも上という人が多くて当然でしょう。熱くなっても決して荒くならず下品にならない、さすが貴公子です。シェルヘンの指揮も時々現れるえげつなさはなく、熱く濃厚な演奏で好感が持てます。その二人が真剣勝負で真っ向対決しているのです。本来私はこのような「対決型」演奏の協奏曲よりも「調和型」演奏のほうが好みではあるのですが、この演奏は「対決型」の面白みを存分に味あわせてもらえます。こういう演奏なら大歓迎です。
一楽章冒頭からオーケストラが熱く、入魂の演奏です。ただ熱いだけでなく、ヴァイオリンも良く歌っています。チェロの独奏が始まるとその格調の高い音楽に背筋が伸びます。フルニエはだんだん熱を帯びてきて、溢れ出る想いを止められない感があります。提示部終わりのの沈み込むところから展開部冒頭チェロの独奏の第二主題かけては涙無しに聴けるでしょうか。私の心を深くえぐって止みません。これほど共鳴する音楽もそうあるものではありません。
二楽章はフルニエにしては感情の起伏が大きく、この感傷的な音楽を深い呼吸で豊かに聴かせてくれます。丁度以前紹介したライブ録音のバッハの無伴奏のように、スタジオ録音にはなかったこの深い呼吸が大変感動的です。
三楽章は壮絶を極めます。二人とも溢れる感情を抑えきれないといった感じで、ところどころ前のめりになっていて突進します。途中フルニエは半分理性を失いかけているのではないかと思うくらい熱く、強靭なテクニックと共に迫ってきます。第二副主題の慈愛に満ちた優しさ!その後のヴァイオリンとの二重奏は何度聴いても涙が溢れます。私がこの部分が大好きなのですが、想いが止め処なく溢れる感じでどうしようもなく私の心を揺さぶります。コーダは巨大で、大きくルバートをかけ大見得を切って終わり、終演後の盛大なブラヴォーも納得です。

録音はモノラルながら良好。この演奏は最近HMVで販売している「グレート・コンチェルト」シリーズで復刻されました。このセットに入っているシューリヒト/バックハウスの皇帝も大変素晴らしく、値段と演奏内容を考えると大変お得なセットです。

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Dvorak Symphony No.9

Ferenc Fricsay
Berliner Phlharmoniker


Deutsche Grammphon (463 650-2)



普段あまり世評の高い演奏を紹介しないdokuohですが、今回の演奏は「新世界」を語る上ではずせないでしょう。各方面で絶賛されている演奏です。正にドイツ魂炸裂の壮絶な演奏。遅めのテンポでかなりテンポを揺らしながらも微動だにしない強固な構成と、古きよき時代のベルリン・フィルの重心の低い岩のような無骨な音色が稀有なスケールを生み出しています。もはや通常概念にある「新世界」を遥かに超えた高みにある演奏だと思います。
この演奏は有名な「運命」、ベト7、「悲愴」(DG)などの演奏と並び、フリッチャイが白血病を患い、大手術をして復帰した後の演奏で、白血病を患う前と比較すると極端にテンポが遅くなり、テンポの触れ幅が大きく、スケールも大きくなっています。フリッチャイの晩年の芸風は良くフルトヴェングラーと比較されますが、フルトヴェングラー的即興的感興よりも、テンポが変動しても微動だにしない堅牢な構成力のほうが特徴的だと思います。巨大な一枚岩のようです。
歴史に「もしも」は禁物ですが、もしもフリッチャイが生きていれば、20世紀最大の指揮者になっていたことは間違いないでしょう。(同年生まれでは、ジュリーニとクーベリックがいる)もちろん、病気が彼の音楽性を高めたことは間違いないと思いますので、単純な「もしも」はあまり意味がないのですが、それを抜きにしてもそう思わずにはいられません。
一楽章冒頭、序奏からどうしようもない寂寥が漂い、序奏から主部に入るところの弦の動機は重々しく、壮絶な演奏を予感させます。主部に入る前の大見得を切るようなティンパニ!かと思えば、フルートにより第二主題がとても柔らかく、優しく奏でられ、弦がそれに応えます。こういった曲想で、フリッチャイの演奏がただ無意味に大きな音を出して効果を狙っている演奏とは一線を画していることが如実に分かります。暖かく血が通っているのです。再現部終わりからコーダにかけては壮絶を極めます。
二楽章の優しさはフルトヴェングラー的なものを感じます。ゆったりしたテンポで豊かに歌う「家路」の主題。とにかくフレーズの着地の仕方が絶妙で、そこに万感の思いが込められています。なんという優しさに溢れてるのだろう!
この曲は前半の二楽章の充実度に比べて後半の二楽章が落ちるのですが、フリッチャイは後半の二楽章の充実ぶりが素晴らしいです。
三楽章は同年代のハンガリー出身の指揮者と同じく、ソリッドなリズムで畳み掛けます。
壮絶なのが四楽章。これほどスケールが大きく、強烈な四楽章は他では聴いたことがありません。これを上回る四楽章は考えられません。冒頭から荒々しい低弦と凶暴なフォルテ。かと思えばゆったりと繊細にクラリネットが第二主題を奏でます。コーダの前からコーダにかけては、これが「新世界」かと思うほど壮絶でのけぞってしまいます。しかもただ無機的に轟音を鳴らすのではなく、そこに血が通っています。断末魔の叫び声を上げんが如く、強烈な意思が迫ってきて息を呑みます。

ドヴォルザークの交響曲を3曲紹介しましたが、結局純ボヘミア的演奏というより、独墺的演奏ばかりになってしまいました。今度はボヘミア的演奏を取り上げるようにしましょう。

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Dvorak Symphony No.8

Herbert Blomstedt
Staatskapelle Dresden


BERLIN Classics (0032282BC)



大阪出張の帰りの最終の新幹線の中でこのエントリを書いています。今回はハードな出張でした。新幹線の中でこの演奏に癒されながら、帰宅しているところです。

これぞオーケストラの発する究極の音ではないでしょうか。これほどに柔らかく、暖か味がある音が鳴っている様を他で聴いたことがありません。「強引な」、「下品な」、あらゆる否定的な言葉を受け付けない音。上質の木のぬくもりと香りがする音。どんな表現も追いつかない、究極の音です。あえて言葉にするのなら「杜」。暖かく大小多様な命を包み込み、一つの有機的なシステムである「杜」。この音があるからこそ、私はこのシュターツカペレ・ドレスデンを愛してやまないのです。そしてそれを余すところなく引き出したブロムシュテットとは最高の相性だったのではないでしょうか。ブロムシュテットとシュターツカペレ・ドレスデンは歴史に名を残した名コンビだったと思います。
ドヴォルザークの8番を好きになったのは、そんなに昔ではありません。例の如く、独墺偏重主義からこのボヘミア的軽さが耐えられず、長らく無縁の曲でした。しかし、この演奏のおかげでこの曲が大好きになりました。ちょっと中途半端な「新世界」よりも完成度が高いと思うのですが、いかがでしょう。
一楽章冒頭のチェロの郷愁に満ちたメロディからこの音に虜にならない人がいるでしょうか?美しい、美しすぎる!そしてその音を自然に引き出しているブロムシュテットの実力も賞賛すべきでしょう。録音も良く、余すところなくこの演奏の真価を伝えています。
もうすべてが美しいのでどこをどうと語る気がしません。先ほどの一楽章冒頭のチェロ、二楽章冒頭の弦、四楽章第一主題のチェロなどどうしようもなく全てが美しい弦。美しいのは弦だけではありません。木管、金管も大変美しく見事に弦に融けこんでいます。二楽章、四楽章のフォルテの後のフルート。四楽章冒頭のトランペットのファンファーレ、フォルテになってからのホルンの雄叫び、最後のトロンボーンの雄叫びすら美しい。ああ、この美音に身を浸す幸せ!疲れた体に染み渡ります。

オーケストラの均質化が言われて久しく、方々で苦言を聞きますが、このオーケストラも例外ではないようです。この演奏はその均質化の波が世界に押し寄せる前、社会主義のおかげ(?)で伝統が閉じ込められていたのでしょう。社会主義、共産主義を肯定する気はありませんが、これは民主主義、資本主義へのある意味アンチテーゼかもしれません。無論、完璧な社会システムなど存在せず、悲しいかな均質化は民主主義と資本主義を選択する以上、必然であるとも思われるのですが。
閑話休題。そんな中でも比較的伝統を守っているオーケストラであることは間違いないでしょう。そんなドレスデン・シュターツカペレはチョン・ミュンフンと11月に来日します。今月からチケットが売り出されるようですので、見逃せないですね。チョン・ミュンフンは大好きですが、個人的には再度ハイティンクと来日して欲しかったです。ハイティンクが早々に音楽監督を辞任してしまったのは返す返す残念でなりません。

お買い物『HMV - ドヴォルザーク:交響曲第8番、シューベルト:交響曲第6番 ブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデン【CD】-Dvorak / Schubert/音楽/HMV』


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