DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Brahms Academic Festival Overture

Sir Colin Davis
Symphnieorchester des Bayerischen Rundfunks


BMG CLASSICS (82876 60388 2)



「大学受験ラジオ講座」、通称「ラ講」。テキストが書店で販売されていて、ラジオで講義を聞く。今のNHKの英会話講座のようなシステムの大学受験版がかつてありました。民放で放送されながら43年も続いたというのだから凄いと思います。全く古き良き時代でした。教育が資本主義のロジックに飲み込まれてしまった現代からは考えられないシステムです。人から強制されて勉強するのが大嫌いで、自分のペースでないと勉強しない、予備校や塾通いが大嫌いな根が自由人の私も高校時代お世話になりました。(現役では受験に失敗し、その後浪人して勉強せずにせっせと毎日CDショップに通う日々が始まるわけですが・・・)
閑話休題。「大学祝典序曲」、通称「大祝」。「ラ講」のテーマに「大祝」の第二主題が使われていたことは御存知の方も多いでしょう。その「ラ講」で使われたイメージが先行したのか、それとも元々ブラームスが名誉博士号を授与されてお礼に作曲したエピソードからか、新学期や学生にまつわる場面でこの曲が使われることが多いですね。この曲を聴くと、やはり学生時代を思い出します。
私の周りでは、同時期に作曲された「悲劇的序曲」のほうが圧倒的に人気があるのですが、私は「大祝」が大好きです。天邪鬼なのでブラームスは暗くないといけないのか?と反論したくなります。ブラームスらしいユーモアに溢れたなんと楽しい曲!聴いていてウキウキします。
デイヴィスの「大祝」。これが実に素晴らしく、私の最も好きな演奏です。熱くなりながらも常に最良のバランスを保っており、響きも分厚い。熱気に溢れていて、響きに真剣味があり、決して雑に浅はかに響かない。穏やかな曲調では歌心に溢れている。単なる序曲と片付けるにはもったいない名演です。最後の第二主題がトランペットにより高らかに奏でられてからの躍動感、高揚感は大変素晴らしく、聴いていて体が熱くなります。これを聴いて熱い日々を思い出さずにいれらましょうか。ああ、もう戻らない青春の日々。曲が終わると遠くを見つめてしまいます。

これを聴くと久しぶりに大きな夢を抱いていた熱き高校時代を思い出しました。さて、久しく資格の取得などのために勉強していなかったので、何か始めてみますか。

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Mozart Divertimento K136

Herbert Blomstedt
Staatskapelle Dresden


BERLIN Classics (0011882BC)



「モーツァルト」「ブロムシュテット」「シュターツカペレ・ドレスデン」

以上。

他言無用ならぬ多言無用。もうこの三つの言葉で十分でしょう?この言葉から極上のサウンドが響いて来ませんか?といって終わってしまうと、身も蓋もないので、出来る限りの言葉を使って表現してみましょう。
シューベルトの闇に飲み込まれそうになったので、モーツァルトに現実の世界に引き戻してもらうことにしました。K136、別名「ザルツブルグ・シンフォニー」。どこかで必ず聴いたことのあるメロディーがこのK136です。私は疲れているときに良くモーツァルトのディベルティメントを取り出して聴きます。ディベルティメントといっても、ただの娯楽音楽に陥らないところがモーツァルトの凄いところで、このモーツァルトの天才ぶりを発揮した音楽に身を浸すと大変心地よいです。構えなくてもすっと心に入ってくるのです。このK136はモーツァルト16歳の作品で、モーツァルトらしい旋律に溢れていて、お好きな方も多いのではないでしょうか。
それをブロムシュテット/シュターツカペレ・ドレスデンが極上のサウンドで奏でます。何も言わずにこの音に身を浸してみてください。ぬるめのお湯にゆっくりつかるように、ゆったりとくつろいでください。決して角が立たないふっくらした暖かい音。程よく弾リズム。もう何も言う必要はありません。変に貴族臭くならずに、自然なところが好感が持てます。真面目すぎず、華やか過ぎず。これぞ中庸の美徳です。
シュターツカペレ・ドレスデンは最高のモーツァルト・オケではないでしょうか。(デイヴィス、スイトナーなどにも名演があります)ブロムシュテットは最大限このオケの魅力を引き出しています。本当に最高の相性と呼ぶにふさわしいコンビだったと思います。
一楽章はただ勢いに任せるのではなく、全ての音をふっくら鳴らしていて、まるで焼きたてパンのよう。割るとふわっと繊細な繊維が顔を出します。空気をたっぷり含み、舌触りも柔らかい。そして聴いてください、この低弦の品の良さを。どこかのヴィルトオーゾ・オケのようにガリガリ鳴らすことはありません。
二楽章は溜息がでるほど美しい。全ての音が綺麗にブレンドします。
三楽章の決して硬質にならないプレスト。美感を失うことは決してありません。

音楽は特別なことをしなくても、これだけ美しく鳴るのです。しかし、それが実に難しい。

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arrau_final.jpg

Schubert Klavierstücke D946

Claudio Arrau


PHILIPS (475 7947)



シューベルトの全てがここにある。生意気書きましたが心からそう思います。救いようの無い深い闇と優しく包み込む慈しみ。すでにこの世とは別の世界を見ていたシューベルトの音楽を、ここまで表現した例はそうあるものではありません。美しくもとても危険な恐ろしい世界が広がっています。自分の存在が闇に飲み込まれ、消えてしまうような恐怖を感じます。音楽を聴いて久しぶりに号泣しました。これがたった一つのピアノという楽器がつくり出せる世界なのか?晩年にここまでの境地に達したアラウに、ただただ頭が下がらずにいられません。
この曲を初めて聴いたのは、去年メジューエワのリサイタルを聴いた時でした。それ以来CDは購入しようと思いつつも購入していません。このCDが初めて買ったCDです。即ち曲の理解が浅く、メロディーの断片が脳裏に残っているだけの状態にも関わらず、一度聴いただけで号泣してしまったのです。こういう経験はそうあるものではありません。
曲の充実度から始めの二曲が特に素晴らしく、シューベルト演奏の最高峰でしょう。

第一曲。第一部の沸くように静かに迫ってくる深い闇。脚を取られそうになる恐怖。アラウの音は切れの良い音ではなく、少し野暮ったいのですが、それが生み出す深みは凄いものがあります。これだけ深い音はそう出せるものではありません。もうテクニックとかとういうことを論じること自体虚しいことだと感じられるのです。
第二部、第三部の深く、全身を包み込むような音。なんという慈愛に満ちているのだろう。ただの美音ではなく、すべての音に慈しみがあるのです。しかもいつもどこかもの寂しい。

第二曲はさらに凄いことになっています。これほど恐ろしい曲、演奏が他にあるでしょうか。
第一部のアラウは優しくささやくように語り掛けてくるようです。しかし、さわやかな憧憬の中に影を感じます。美しくも絶望の霧に包まれています。
第二部は恐ろしい、本当に恐ろしい。不気味に蠢くモチーフ。この音楽に身を浸していると、周りが虚無の宇宙空間に変貌し、そこに落ちていくような恐怖を感じ、体が震え涙が出ます。
第三部はもう虚無しかありません。出口が見えない救いようのない絶望。声高に叫ばないがゆえに聴き手に迫ってくるのです。そして第一部のテーマが戻ってくるところで、胸が引き裂かれそうになってボロボロに泣いてしまいました。なんと痛々しいのだろう!明るい音楽なのにどうしてこんなに切ないのだろう!どうかここを第一部の冒頭と比べてみてください。絶望の純度がはるかに高くなっています。曲調は明るいのにとても儚く、もう痛々しくて聴いてられません。ああ、シューベルト、あなたはどうしてここまで絶望しなくてはならなかったのか。それを想うだけでも涙が出てきます。

もう、これ以上語れません。今日は久しぶりに言葉の無力さを感じました。

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今日は本当はCDレビューを掲載するつもりだったのですが、そんな気分も吹き飛ぶくらいの飛び切りの演奏に出会い、興奮しながら聴いています。そして久しぶりに音楽を聴きながら号泣しました。

ブログ仲間のcalafさんに以前紹介して頂いて、気になっていた演奏があります。アラウによるシューベルト「3つのピアノ小品D946」です。シューベルトの遺作といわれている曲です。アラウのファイナル・セッションを集めた選集が最近発売され、そこに含まれていたので、早速購入しました。

「HMV.co.jp - ピアノ作品集 - アラウ・ザ・ファイナル・セッションズ(7CD)」

ここには、シューベルトの全てがあります。凄いです。凄すぎます。言葉が追いつきません。聴きながら震えながら号泣してしまいました。

もっと聴き込んでから、近々レビューを掲載しますのでしばしお待ちください。ベートーヴェンは既に聴いていますが、バッハのパルティータなどもとても楽しみです。

calafさん、本当にありがとうございました。こうやってブログで知り合った方と情報を交換して、素敵な演奏と出会えることは無上の喜びです。拙ブログもどなたかの音楽生活を豊かにする一助となっていれば素晴らしいなと思っております。


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Brahms Piano Conterto No.2

Sir Colin Davis
Gerhard Oppitz
Symphnieorchester des Bayerischen Rundfunks


BMG CLASSICS (82876 60388 2)



週明けから久しぶりに強い憂鬱感に襲われ、仕事もあまり手につかない状態でした。父の手術の後も色々あり、精神的に疲れていたのでしょう。クレンペラー/ウィーン・フィルの続きを書くのはしんどく、ちょっと横道にそれていました。(「のだめ」で誤魔化していました^^)
この間何の曲を聴いていたか?それはブラームスのピアノ協奏曲第2番です。聴いたのはこの曲だけです。お気に入りの演奏二種を交互に聴いていました。ブラームス苦手な私がなぜここまで聴きこんだのか。自分でも不思議なくらいです。とても心に染みてきました。イタリアを旅行したとき着想したといわれる明るい響きが、疲れた心を過度に侵食しないからでしょうか。程よい湿度と粘度とロマンティシズム。今ブラームスで一番好きな曲はと聞かれたらこの曲を選ぶかもしれません。
そのうちの一つがこのサー・コリン・デイヴィス/オピッツの演奏です。この演奏は私が再びこの曲を聴くようになったきっかけの曲です。この曲の名演といえば誉れ高いベーム/バックハウスの名盤があり、私がこの曲と出合ったのもこのベーム/バックハウスの演奏でした。しかししばらくして聴かなくなりました。時は何年も経ち、デイヴィスのブラームス全集を購入し、改めてこの曲の素晴らしさに開眼しました。
全集の中の交響曲もそうですが、デイヴィスの指揮は正に中庸で、これといった特徴はありません。しかし響きが大変充実しており、バイエルン放送響の明るいくすんだ銀色の音色と共に素晴らしい演奏を聴かせてくれます。このような演奏が胸に染みるようになるなんて、年を取るのも悪くありません。
オピッツのピアノは宝石というよりも、宝石の原石のようで、透明感の中にもゴツゴツとした感触があります。音も非常に美しい。構成もがっしりとしていて強固で「ドイツ正統派」と呼ばれる所以でしょう。それがブラームスにぴったりです。
冒頭からホルンに応える深々としたピアノの音。この懐の深さに癒されます。オピッツのピアノは過度に感情に流れされることなく、がっしりとした構成の中にほのかにロマンティシズムを香らせます。管弦楽が入ってからは深く分厚い音が素晴らしく、これはデイヴィスの面目躍如でしょう。ただ分厚いだけでなく、ほのかに暗く哀愁が感じられるのです。また一楽章は名脇役ホルンが随所で活躍しますが、このホルンが素晴らしい。悠久のホルン。特に展開部の終わりから再現部の冒頭など涙が出てきます。
二楽章のアパッショナートは冒頭から痛切で心に突き刺さります。深い音の管弦楽と訴えかけるピアノ。
チェロ協奏曲と揶揄される三楽章。チェロの渋めの硬質な音も素晴らしい(首席奏者のヤン?)。その後のピアノも実に深々としています。管弦楽も優しさに溢れていて、幸せな気分になります。
四楽章はややもすると軽くなりがちなのですが、デイヴィスの乱痴気騒ぎにならない適度な熱さと、深い分厚い響きがそれを防いでいます。ベーム/バックハウスの演奏を聴いたときはここまで熱心に聴かなかったように思います。

このセットは収録されている全ての曲が素晴らしく、是非とも一家に1セット持っておいて欲しいセットです。他の曲はいずれ紹介したいと思います。

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klemperer_vpo.jpg

Schubert Symphony No.8(7)

Otto Klemperer
Wiener Philharmoniker


TESTAMENT (SBT8 135)



個人的にはこのクレンペラー/ウィーン・フィルの本命はベートーヴェンの5番なのですが、今回は「勝手にウィーン・フィルの日」への参加エントリですので、よりウィーン・フィルらしい演奏をエントリすることにします。
正直告白するとクレンペラーの「未完成」は面白くないものが多いと思います。スタジオ録音しかり、バイエルン放送響とのライブしかりです。クレンペラーの芸風により音楽が乾きすぎ、この曲の詩情を表現しきれていなく、堅苦しくてつまらないのです。しかしこのウィーン・フィルとの演奏は特別です。終演後に"schön!"「美しい!」という伝説的な掛け声(一説にはクレンペラー自身の声)が収録されています。本当に美しい演奏で「未完成」の上位に来てもおかしくない演奏です。
「未完成」には詩情と虚無が美しく融和していないといけないと思っていますが、ウィーン・フィルが前者を具現化し、クレンペラーが後者を具現化している、ゆえにこの演奏はこの組み合わせだからこそ生まれた名演だといえるでしょう。クレンペラーの格調高く冷たいまなざしをウィーン・フィルのまろやかで香りのある音が包み込む。ウィーン・フィルというオーケストラは本当に特別なオーケストラだと思います。この曲でも冷やかだが香りのある弦の音が奏功しています。この弦の響きに身を浸して凍えてください。冷たい香りをかいでください。
冒頭の低弦からもう温度が下がります。第一主題を奏でるウィンナ・オーボエの魅惑的な響きからウィーン・フィルの世界です。停滞する寸前でゆっくりと前に進み第二主題を静かに豊か歌うチェロとヴァイオリン。かと思えば、その後の身も凍りつくフォルテ!クレンペラーの芸風と、ウィーン・フィルの音が見事に融和されています。再現部の入りに迫り来る虚無!音楽が盛り上がってからは更に恐ろしく、そして刹那的な美を伴っています。美しくも恐ろしい、なんと不健康な音楽!「未完成」にはこの美しい虚無が絶対に必要なのです。このコンビは見事に表現しています。
二楽章の冒頭のヴァイオリンの透明感と寂寥感。第二主題の主題のシンコペーションの冷たい伴奏に乗って奏でられるクラリネットの寂寥感、そしてオーボエ。木管のソロも素晴らしいですが、弦の伴奏の意味深さも特筆すべきでしょう。その後フォルテに転じてからの恐怖。展開部の低弦とヴァイオリンの絡み合いも大変美しく、いったい何を不満に思うかといった感じです。消えてゆく最後など魂を抜き取られそうになります。これだけの演奏だとシューベルトの闇に引き込まれそうな恐怖を抱かずにいられません。

TESTAMENTの復刻盤には残念ながら終演後の"schön!"が収録されていません。DG盤には収録されていたのに残念です。

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klemperer_vpo.jpg

Mahler Symphony No.9

Otto Klemperer
Wiener Philharmoniker


TESTAMENT (SBT8 135)



ブル6が終わったらよし気合を入れてやるぞと暖めていた企画が、忙しくてずるずると来てしまいました。クラシック音楽ブログ共同企画「勝手にウィーン・フィルの日」への参加企画、その名も「氷結ウィーンの香り」。
1968年、クレンペラーはウィーン芸術週間でウィーン・フィルと共に奇跡的な演奏を行いました。これはその記録です。鳴物入りで発売されてかなり時間が経ってしまい、旬を過ぎた感はありますが、これを機会に紹介したいと思います。
まだ濃厚なウィーンの香りを残していた、古きよき時代のウィーン・フィル。それがクレンペラーによって氷づけにされ、高貴で妖艶な色気のある音を撒き散らしています。それはまるで鮮度の高く果汁をたっぷり含んだ果実を氷結にしたかのようです。
その中でも切望していたマーラーの9番が聴けたのは幸運です。正直、現代の高機能のオーケストラが演奏した精緻なマーラーの演奏に聴きなれていると噴飯ものの演奏かもしれません。オケの精度が低いのです。冒頭からホルンははずしますし、三楽章はハープが迷走しています。その迷走ぶりなど現代の一流オーケストラの演奏からは考えられないほどひどいものでしょう。
しかし、そんな傷を補って余りある魅力があります。クレンペラーらしさが前面に出すぎることなく、上手くウィーン・フィルの香りと融合しています。この演奏はクレンペラーとウィーン・フィルという組み合わせだから出来た奇跡なのでしょう。また、アンサンブルの乱れから分かるように、ウィーン・フィルがクレンペラーの指揮に必死についていこうとしています。それが生み出す稀有な緊張感。それが死と格闘するこの曲に絶大な説得力をもたらしています。
曲も充実度もさることながら、ウィーン・フィルの魅惑的な弦セクションの活躍する両端楽章の素晴らしさと言ったら、筆舌に尽くしがたいものがあります。もう冒頭から釘付けになりました。香り高く、振幅の広いむせぶようなヴィブラートを伴い、深い呼吸で歌うヴァイオリン。ああ、これぞウィーン・フィルの真骨頂!ここだけでもいいから、他の演奏と比べてみてください。その香りの高さは比較を絶しています。そしてその美しさはやがて冷徹な恐怖へを変わります。その対比の素晴らしさ。死と格闘しながらもどこか退廃的な美しさを湛えている、これこそこの楽章の真実ではないでしょうか。
三楽章は勢いにまかせるのはなく、しっかり地に足がおり、対位法の綾がクレンペラーの明晰な頭脳によって白日のもとにさらされます。勢いだけの力任せの演奏に比べたらなんと味があるのでしょう。コンマスのワルター・ヴェラーの色気のあるソロも最高。ハープの迷走も始めは驚きましたが、それが気にならないのは何故でしょう。単なる失敗に感じないのです。終わりもやみくもに騒ぐのでなくゆっくりと迫ってくる恐怖。
四楽章は絶唱。序奏だけでも世の中にあるマーラーの9番の名演と比べてみてください。何ですかこの弦の香りは!主題に入ってからも弦の美しさが筆舌に尽くしがたく、ただただ惚れ惚れするだけです。もうどこをどうと語るのが野暮に思われるほど、美しい。最後の弱音での消え行く様といったら!その美しさは人間の感情を超越した美しさなのです。

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  • 最近老け込んで、見た目もすっかり年相応になってしまったバカ親パパのサラリーマンです。最近は、仕事、子育て、親の面倒に追われ、音楽を聴く時間もまともに持てなくなってますが、ストレス解消に無謀な数のCDを買いつづけています。^^;

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