DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Schubert String Quartet No.15

Quatuor Sine Nomine


CASCAVELLE (VEL 3115)



音楽が始まると温度が限りなく低い美しい虚無が広がります。決して近寄ってはいけない「絶対零度の美」。安易に近づくと凍りつくほどの恐ろしい世界です。

アウリンSQの演奏はまだ音に温度が多少ありましたが、このシネ・ノミネSQの演奏は絶対零度に近い非常に温度の低い音楽です。それがもたらすなんともいえない恐怖、そして美。この異次元の美、美しい虚無こそこの曲の真実だと信じてやみません。これほど美しく冷たい演奏を他には知りません。シネ・ノミネSQの15番はアウリンSQと並び、同曲最高の演奏と言えるのではないでしょうか。

特に素晴らしいのが一楽章。一つ一つの音が鋭利な氷の刃のようで、それらが空間を切り裂き、その切れ間から冷たい虚無が吹き出す。これがなんと恐ろしいことか!この曲は本当に恐ろしい。(6:05)からは別次元の空間からヴァイオリンの調べに乗り冷気が漂い、続く(7:11)から凶暴な冷たい風が吹き荒ぶ。聴いていると感動して熱くなるというより、体温を奪われ凍えてしまいます。血も涙もない冷美な音楽!

二楽章の歌に愛や憧れは微塵もなく、ただただ、虚無が広がります。(4:09)からは傷つくほど痛い。

四楽章は快速に飛ばさないものの、じわじわと恐怖が迫ってきます。その静的で踏みしめるような表現がもたらす絶大な説得力。

このような音楽に夢中になる自分はやはり病的でしょうか。シューベルトの闇には潜在意識にある人の暗部をくすぐる魔力があります。生を謳歌するのもいいですが、その先にある死を慈しむのも、これまた人の性なのかもしれません。

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HMVのサイトによると、ついにボッシュのブル9が出るそうです。

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以前紹介して廃盤になっていた8番が嬉しい復活をしています。買い損ねた方は、是非再び廃盤になる前に購入されてはいかがでしょうか。

『交響曲第8番(ハース版) ボッシュ&アーヘン響(DVD AUDIO付き)【CD】-ブルックナー/音楽/HMV』


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Brahms String Sextet No.1

Leipziger Streichquartett
Hartmut Rohde (Vla)
Michael Sanderling (Vc)


MDG (307 0969-2)



今日は久しぶりに寒いと感じました。さあ冬も間近。今日もブラームスの室内楽です。前回に続きライプツィヒSQの素晴らしい演奏を紹介したいと思います。

この曲は若書きということもあり、青年ブラームスの溌剌としたイメージが強いのではないでしょうか。私のお気に入りのシュトゥットガルト・ソロイスツの演奏もそのような演奏でした。しかしこの演奏は青春よりも人生の晩秋を感じさせる大人のゼックステットです。最初は物足りなさを感じましたが、今ではこの演奏の味わい深さがかけがえの無いものになりました。
シュトゥットガルト・ソロイスツの演奏が青春を謳歌する若者達の音楽であるなば、このライプツィヒSQの演奏は孤独を愛する大人の音楽です。ライプツィヒSQは各声部が決して声高に主張せずに、各楽器は美しくブレンドされます。音は硬くならず、ふっくらと程よく空気を含んで品が良く、しっとり内省的に奏でられます。

一楽章からもう大人の音楽です。一番盛り上がる展開部の(9:32)からも過剰に熱くなりません。音量も控えめで情熱を前面に出しません。しかしこの味わい深く伸びやかな音楽はいったいなんでしょう!この演奏の味わい深さに慣れてしまうと、過剰に演出した演奏が聴けなくなってしまいます。恐らくこれはこの団体の楽器のバランスによるところが大きいのでしょう。他の団体と比べると全体のバランスの中で常に1st Vnが弱めです。曲によって仇にもなるのですが、しかしそれがこの曲では奏功し、中声部寄りのバランスが味わい深さを助長しています。

二楽章。冒頭の主張しすぎないヴィオラからいったいなんという哀愁があることか!そしてそれに続くしっとりしたヴァイオリン!この楽章に持っていたステレオタイプを見事に打ち砕いてくれます。長調に転じてからはもう信じられない美しさの限りです。最後の最初の主題提示が戻ってきてから終わりまで、哀愁漂う深々とした歌に涙が出ます。

決して上滑りしない、落ち着いた歌に溢れた三楽章も最高です。

この曲も例外でない頭でっかち尻つぼみのブラームスの室内楽では、概して前半に飛ばすと四楽章が必要以上に小さくなり興味を削がれてしまうのですが、この演奏は全楽章のバランスが素晴らしいです。(1:28)のユニゾンの歌の美しさなどハッとさせられます。

来週誕生日を迎えますが、こういう演奏が身に染みるようになったとは私もずいぶんと枯れてきたものです(苦笑)。この深煎りのコーヒーのようにしみじみした味わい深さに心奪われます。秋の夜長に一人のゆっくりとした時間を楽しもうではないですか。

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Schubert String Quartet No.14 "Death and Maiden"

Quatuor Sine Nomine


CASCAVELLE (VEL 3115)



以前のアウリンSQの聴き比べ
のときと同様、再び久しぶりにアルバンベルクSQの演奏を取り出して聴いてみました。世間で最高の名盤と疑われずに受け入れられているものです。アルバンベルクSQの演奏の劇的さは、フレーズの前後関係があまりに唐突で不自然であると改めて感じました。また、音の扱い方が雑で所々神経の通っていない無意味な音が散見されます。昔は大満足して聴いていたのですが、アウリンSQ、メロスSQ、そしてこのシネ・ノミネSQを聴くと不満が残ってしまいます。何とも贅沢な話かもしれませんが。このシネ・ノミネSQの演奏はアウリンSQに僅差で次ぐ私の中のベスト盤になりました。

一楽章は劇的で切り込みが鋭く、先の細い鋭利な音で聴く者を容赦なく襲います。しかし、音は決して繊細さを失っておらず、細部まで恐るべき緊張感が通っています。劇的に演奏しているようでも常に作品の真実を見つめる冷徹な目があり、それがこの団体の演奏を特徴付けているのです。あまりに緊張が強いので、聴き終わったあとは茫然自失になってしまいます。

二楽章はもっと劇的に演奏されるかと思いきや、予想に反し控えめにしっとり演奏されています。音のドラマは最小限であり、「動」ではなく「静」が支配しています。初めは物足りなさを感じたのですが、次第にこの「静」が炙り出す闇に心を奪われてしまいました。音楽の振幅は必ずしも感動に結びつかないという好例だと思います。主題提示のさざなみから静けさがあり、非常に丁寧に繊細に美しく奏でられています。デュナーミクも最小限に抑えられ、その振幅の少ないさざなみの中に得も言われぬ無限の想いが込められているのです。第三変奏での静の持つ説得力の物凄いこと!湧き出す恐るべき寂寥感に涙が止まりません。ここはドラマティックに演奏する演奏が多いですが、煽ることなく粛々と闇を炙り出しているのです。このような表現は初めてで衝撃を受けました。第五変奏曲でも同様にインテンポ気味に無慈悲に切り裂いていきます。途中のクレッシェンドも抑えられ、音楽が一番盛り上がるところでも過度に殴り弾きしません。劇的に演奏しなくても恐ろしく聴き手に迫ります。コーダの静けさがもたらす美しさは筆舌に尽くしがたく、ヴィブラートは最小限に抑えられ、どこまでも透明です。美しければ美しいほど切なくどうしようもない気持ちになります。

これだけ緊張感の強い演奏を聴き終わると、心身ともに疲れ果ててしまします。これだけの演奏を行う彼らの集中力に脱帽せずにいられません。

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Mozart Sinfonia Concertante for Violin, Viola and Orchestra K364

Yakov Kreizberg
Julia Fischer (Vn)
Gordan Nikolic (Vla)
Netherlands Chamber Orchestra


PentaTone classics (5186 098)



私の中の「ミューズ」というと、今まではジャッキー(ジャクリーヌ・デュ・プレ)でした。では最近の「ミューズ」は誰かというと、若きヴァイオリニスト、ユリア・フィッシャーです。国際的なコンクールに8回出場し、全てに優勝、弱冠23歳でフランクフルト音楽大の教授、エッシェンバッハがあらゆる援助を惜しまないと賛辞を送ったという天賦の才能の持ち主です。コンクールでの優勝のうちヴァイオリンで5回、ピアノで3回というのだから、神はときに二物を与えるのだと思わずにいられません(しかも私好みのなかなかの美人!)。そのような彼女が選ばれし者であり、現代のミューズであるということに賛同してくださる方も多いのではないでしょうか。
かといって彼女のヴァイオリンはデュ・プレの音楽に比べると優等生的であり、個性が薄いと言われてしまうのは致し方がないでしょう。同年代のヴァイオリニスト、ヒラリー・ハーンと比べても「微温的」かもしれません。しかし、彼女の演奏の素晴らしいところは、テクニックはもちろんのこと、知と情のバランスにあり、それに女性ならではの甘、艶のスパイスがほどよく加わるのです。このバランス感覚の良さで実に豊かな歌を聴かせてくれます。鬼神の如き演奏も嫌いではないですが、最近はこのような演奏を好むようになりました。

さて、協奏曲が苦手な私の中でもこのK364は特に好きな曲の一つで、頻繁に聴きます。今まではデュメイ/ハーゲンの演奏を好んで聴いていましたが、それを上回る名盤に出会えました。
短調好き、メロドラマ好きの日本人はどうも二楽章を贔屓にしすぎる嫌いがありますが、私が好きなのは若々しく生命力溢れた両端楽章です。この曲を聴くと体中の細胞が悦びに満ち溢れ活性化していくようなそんな感じがします。悲劇でもないのにその悦びに何度も涙が出てしまうのです。

クライツベルクの棒は誠に素晴らしく、一楽章冒頭から音楽が実に活き活きとしており、聴いていてとても幸福な気持ちになります。しかも音楽は弾みながら決して音が硬くなることがなく、音が潤いを失いません。オランダ室内管の音も程よく甘味があり、美しい響きを聴かせてくれます。(4:50)からの音楽の持つ生命力!こんなに活き活きした音楽はそうあるものではありません。
これにフィッシャーの瑞々しく美しいヴァイオリンが見事に絡み合います。独奏が始まってからのなんという瑞々しさ!彼女のヴァイオリンは本当に美しく、程よく主張しながらオケと調和しています。フレージングに一切の無理がなくとても自然で、モーツァルトの無垢な魂を伝えて止みません。ヴィオラのニコリッチの音楽性も素晴らしく、決してフィッシャーのヴァイオリンに負けていません。彼はロンドン響のコンマスであり、この演奏を行っているオランダ室内管の音楽監督でもあるそうなので納得です。

二楽章は過度に感傷的にならず、音楽は陳腐にならずに格調を保っています。この楽章を陳腐なムード音楽にするかしないかで、音楽家のセンスが問われるような気がします。冒頭のフィッシャーの独奏からほのかに切ない甘味を持ちながらも凛としており、その甘味が心に染み渡ります。オケの音の繊細さ、優しさも特筆すべきで、(2:37)、(3:53)、(6:40)などの情感たっぷりの美しい歌に何度も心打たれ涙します。遠鳴りするカデンツァにはどうしようも哀しみが宿っています。この二人のセンスのよさと間合いの絶妙さといったら!

三楽章も一楽章同様音楽は活き活きと息づき、聴いていてとても幸せな気分になります。

フィッシャー/クライツベルクのコンビに一切のハズレはなく、今のところほとんど購入するようにしています。ヒストリカルではなく、現代のアーティストの新譜にワクワク出来ることが少ない時代にあって、非常に貴重な存在です。
それにしてもメジャー・レーベルの没落ぶりと比べ、このようなマイナーレーベルが頑張っているのは嬉しくなります。このPentaToneのようにマイナーでも素晴らしい演奏家を発掘できるレーベルに期待したいと思います。

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Schubert String Quartet No.12

Quatuor Sine Nomine


CASCAVELLE (VEL 3115)



ベートーヴェンは弦楽四重奏第12番で深淵な後期弦楽四重奏への幕が明けましたが、シューベルトも同じ12番でそれ以降の深淵な世界への扉を開いています。それまでの気楽な身内で演奏を楽しむ曲想から、音楽は格段に深くなり、晩年の絶望を垣間見ることができます。シューベルトの肉体が病魔に冒され、死の影がじょじょに忍び寄っていたのも一因なのでしょう。「断章」の名の通りシューベルトは二楽章途中で筆を止めてしまったので、一楽章のみ演奏されるのですが、この一つの楽章だけで演奏されるほど充実した内容を誇っています。冒頭のトレモロなど最後の弦楽四重奏、15番の世界を先取りしています。

この曲では不健康なまでに透明な演奏を好んで聴きます。重要なのは1st Vnでしょう。その歌い方で演奏の良し悪しの大半が決まると思います。押し付けがましくなく、無にも近い透明感が絶対に必要なのです。シネ・ノミネSQの1st Vn、ジュネは技術的にも申し分なく、アウリンSQのリンゲンフェルダー、メロスSQのメルヒャーに十分匹敵する音楽性と技術を持ち合わせています。線が細めで硬質な歌い方で、このようなスタイルだとややもするとヒステリックになるのですが、ジュネはそのようなことは一切ありません。
冒頭からも決して音をむやみに暴力的に響かせずに、その不安定な世界を描出しています。透明感があるがゆえに音楽が深みを増しているのです。
それにしても展開部の1st Vnの美しい歌は溜息が出ます。私はこの展開部が大好きで、氷のように透明で温度の低い不健康な美しさに惹かれてしまうのです。ジュネは、ここで素晴らしい演奏を聴かせてくれます。決して1st Vnが浮き出るのではなく、調和しています。(6:00)からの透明な1st Vnの美しさは何度聴いても魂を氷付けにされていまします。

アウリンSQのリンゲンフェルダー、メロスSQのメルヒャー、そしてこのシネ・ノミネSQのジュネと本当に素晴らしい音楽家だと思います。他の団体の演奏も好んで聴きますが、アウリンSQ、メロスSQ、そしてこのシネ・ノミネSQの透明度の高い美しい演奏があれば、私は満足です。

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Beethoven Piano Sonata No.31, 32

Toura Guller


Warner Classics (2564 69899-8)



号泣しました。体が硬直し汗だくになり、涙が溢れてきました。この演奏をCDショップで試聴したときのことです。私はこの演奏を聴くまで、ギュラーという演奏家の名前すら知りませんでした。曲が大好きなベートーヴェンの後期ピアノ・ソノタだったというだけの理由から試聴したのです。安易な考えはすぐに裏切られました。31番の冒頭から金縛りになり、最後まで聴き続けたのです。

これほど「臨場感」のある演奏を私は知りません。「臨場感」とは演奏会に接しているような臨場感ではなく、作曲家の人生そのものを体験しているような臨場感です。このような経験はアラウのシューベルトを聴いたとき以来です。いわば自分の魂が演奏家とその音楽を媒介して、ベートーヴェンの魂と一体化し、ベートーヴェンの苦悩に満ちた人生を走馬灯のように見ているようなそんな錯覚に襲われるのです。ここでは楽器の音はしません。鳴っている音はベートーヴェンの魂の叫びそのものであり、人生そのものです。もはや楽器は楽器でなくなり、聴衆とベートーヴェンの魂とを繋ぐ、魂のタイムマシンと化しています。どんな曲を聴いても、どんなに演奏が素晴らしくても、普通は聴いている音はピアノの音であるということを意識しますが、そういうことが一切ありません。これは音楽であると言うことすら憚れます。

もう具体的にどうこういうのが馬鹿馬鹿しくなります。ギュラーはかなり大胆にテンポゆらすのですが、それが恣意的でなく、それどころか一つ一つのフレーズがベートーヴェンが話し掛けているようなそんな感覚に襲われます。音楽は洗練されておらず、女性が弾いていながら、野暮ったいところすらあります。それが無類の説得力を生み出しているのです。彼女は女性でありながら、いったいどうやってここまでベートーヴェンと同化できたのか!全く信じられません。

31番、一楽章冒頭からいったいなんという慈悲に満ちてるのだろう!ただ音が綺麗なだけでなく、すぐそばに誰かがいて包み込んでくれているような安堵感があるのです。(1:08)からの信じられない美しさ!「美しい」ということばでしか表現できないことがなんともどかしいか。零れ落ちていく音を一つ残らず手ですくって受け止めたい、そんな衝動に駆られます。

三楽章、まるで人生の終焉を告げる鐘ような、突き刺さる二回目の嘆きの歌最後の和音。そこから始まるフーガのなんという繊細さ。そしてどうしようもない寂寥感。音楽が次第に力を増してくると、押さえつけるような入魂の打鍵一音一音が激しく心を揺さぶり涙が止まらなくなります。最後はもの凄い生命力をもって一気に天上まで駆け上がります。

32番一楽章、序奏が終わって主部が始まってからの生き物のように蠢くグロテスクな音の塊には驚愕します。いったいこれは音楽なのか?
二楽章の痛々しいほどの美しさといったら!もう号泣しました。ボロボロに泣きました。音が綺麗という表面的で低次元な美しさではありません。人間の魂の美しさとでも言い換えられるでしょうか。ベートーヴェンの晩年の魂はこれほどまでに気高かったのか。

最近は打撃音すら耳に刺激が強いので、ピアノ曲はほとんど聴いていませんでした。ベートーヴェンの後期ピアノ・ソナタはそれなりに満足している演奏を持っており、もう買わないだろうと思っていました。それだけに、今回の出会いは衝撃でした。ただただ芸術の奥の深さを痛感しています。一生大切にしたい素敵なものに出会えた気がします。

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