DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Haydn Symphony No.104 "London"

Günther Herbig
Dresdener Philharmoniker


edel CLASSICS (0002502CCC)



チャイコフスキーの湿った音楽で陰鬱な気分になった後は、カラッと乾いたハイドンの音楽で心の健康を取り戻しましょう。ずいぶん昔に取り上げたヘルビッヒのハイドンです。

「美と楽」、このようなタイトルにしたのは、このヘルビッヒの演奏が美しくも楽しい演奏だからだったと記憶しています。非常にバランスが良く、響きの美しさと節度あるリズム感が絶妙なのです。今でもその印象は変わりません。何度聴いても幸せになれます。このヘルビッヒの選集は今もなおステレオ時代のハイドンではダントツの素晴らしさです。
ステレオ録音の「ロンドン」で一番聴くのはこの演奏です。「ロンドン」には確かにシューリヒトの別格的演奏がありますが、この演奏も大変素晴らしい演奏で決して見劣りしません。録音が大変素晴らしいので、録音を含めればトップに推す人がいてもおかしくないでしょう。

とにかく響きが美しくリズムは適度に弾みます。少しレガート調に流麗に音楽は進むのですが、それが決していやらしくならずに、むしろ響きの美しさを作り上げています。一楽章展開部のヴァイオリンも流れるようで気品があります。短調の序奏も重々しくならず、美しい響きを保っています。

二楽章のふくよかで繊細なヴァイオリンの歌が素晴らしい。中間部になっても決して演歌にならなずに、しっとりふっくらした響きを保っているのです。

絶妙なテンポ感の三楽章。前のめりにならない、かつ重々しくならない大変心地よいメヌエットです。ここをスケルツォに近く早く演奏してしまうと響きが窮屈になり、あまり踏みしめると重くなってしまう。ヘルビッヒのバランス感覚の良さが奏功しています。

大好きな四楽章、幸せです。この演奏を聴くだけで幸せになれます。何度でも幸せになれます。明朗な音楽が快活に美しく響く。これ以上何を望むというのでしょうか。普通なら飽きる繰り返しも、またあの美しい音楽が始まるのかと思うととても幸せになれます。一分一秒でも長く聴いてたい!再現部終わり、管楽器が高らかに動機を奏でた後の第一主題は何度聴いても幸せの涙が出ます。

ヘルビッヒのハイドンを聴いたあとには、体を思い切り動かした後のような充実した爽快感があります。音楽は重々しくなければ感動しないのか?そんなことないでしょう。演歌の国、日本人の悪い癖ですよ。

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Tchaikovsky String Serenade

Otmar Suitner
Staatskapelle Dresden


BERLIN Classics (00919492BC)



なかなか取り上げないチャイコフスキーを取り上げたついでに、是非ともエントリしたかった演奏をエントリします。今エントリしておかないと、次にエントリする機会を失いそうですし。

クラシックの曲がCMでパロディーに使われたために格調を失い、被害を受けた曲は少なくなさそうですが、最も被害を被った曲は「オー人事、オー人事」ことこの曲、チャイコフスキーの弦楽セレナーデでしょう。クラシックを聴き始めたころは、分かり易さからすぐにはまったが、精神性をより求め独墺偏重になり、表面的な音楽と決め付けて、距離をおくようになったチャイコフスキー。その中でもこの曲は最もシンパシーを失っていった曲かもしれません。さらに追い討ちをかけるように「オー人事、オー人事」・・・。この曲から遠ざかり、自ら聴くようになるまでに10数年かかります。

ある日、CDショップで見かけたスイトナーの弦楽セレナーデ。しかもオケは大好きなシュターツカペレ・ドレスデン。弦楽器弾きなので弦楽合奏が大好きで、弦楽四重奏の弦楽合奏版などは気になってすぐに購入するたちなのですが、この曲だけはなかなか食指が動きませんでした。この演奏も最初はあまり乗り気がしなかったのですが、どうしても気になり買ってしまいました。そしてCDをトレイに入れた時の衝撃!
なんと美しい音楽!美しい!美しすぎる!シュターツカペレ・ドレスデンの弦セクションの信じられないほど美しい音にただただ酔いしれてしました。繊細で空気をふっくら含み柔らかく暖かい音。しかもただ表面的に美しいだけでなく陰影に富んでいる。これぞ私が求めていた弦楽合奏の究極の音でした。もちろん普段から管弦楽でこのオケの弦セクションの素晴らしさを堪能していましたが、弦楽だけなので一層その素晴らしさが引き立ちます。それをスイトナーが無理なく最大限引き出しているのです。スイトナーとシュターツカペレ・ドレスデンはモーツァルトを始めとして、数々の名演を残していますので、相性は抜群です。歌いまわしに一切無理がなく自然です。全くこれは「オー神事」です(笑)。

冒頭の「オー人事」で使われたフレーズを聴いただけで、このCMによってもたらされたバイアスを吹き飛ばしてくれることでしょう。たっぷり憂いを含んだ溜息のような主題にとろけてしまいます。ただその美しい音に身を浸すだけでいいのです。

三楽章の透明感があり微かに寂寥感を含んだ音に涙しました。誰かの切ない恋の告白を聞いているようで、押し付けがましくないのに無類の説得力があります。ベートーヴェンの主題労作によってもたらされた名曲群のせいなのか、フレーズの長いメロディーに対し軽い偏見とアレルギーが出来てしまっていたのですが、それは演奏の問題なのだと気づかせてくれました。長いメロディーにもこれだけの含蓄をもたせることが出来るのです。

究極の癒しがここにあります。ただのメロディーだけの深みの無い曲という偏見を覆してくれるでしょう。あのCMですっかりこの曲を聴かなくなってしまった方、この演奏でこの曲を見直してみてはいかがですか?

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Tchaikovsky Symphony No.6 "Pathetique"

Herbert von Karajan

Berliner Philharmoniker


EMI CLASSICS (0946 3 81798 2 5)



取りを勤めるのはやはりチャイコフスキーと言えばこの人、真打カラヤン。前回のポリャンスキーとは全く対照的な演奏です。

「官能重戦車」とは意味不明なタイトルではありますが、これ以上の表現が見つかりません。色気のある戦車って一体どんな戦車だろう?ピンク色の戦車???それとも砲弾の替わりに媚薬を発する戦車???(笑)

カラヤンの演奏の特徴は、ドイツものだとマイナスになることがありますが、チャイコフスキーでは強みになります。隙の無い完璧なアンサンブル、官能的なレガート奏法。これらがチャイコフスキーの特質に見事にマッチします。
カラヤンは「悲愴」をなんと7回も録音したそうですが、この演奏はカラヤンの演奏の中で最も「重戦車」ぶりが凄まじい、速度も質量もある運動量が最も大きい演奏で、強奏部分での一糸乱れず突進してくる様は、ただただ唖然とし平伏すのみです。もちろん、メロディーを官能的に響かせる手腕も超一流で、これほど艶っぽい演奏はなかなかありません。
「カラヤンの音楽には深みがない」と一蹴してしまうのは簡単ですが、それではあまりにもったいない。刹那的な快楽かもしれませんが、それを享受するのも悪くありません。

一楽章、硬質で透明感のある弦が奏でる第二主題はわずかにポルタメントをかけとても艶っぽく、さすがカラヤンです。木管のソロもさすが全盛期のベルリン・フィルで、非常に巧い。演奏の精度は非常に高いです。しかもライブのようなにテンションが高いのです。これは他のカラヤンの演奏にはない特徴かもしれません。再現部の凶暴な音響も自然の脅威ではなく、人工的脅威といった感じがします。ゆえに「重戦車」なのです。

二楽章の官能的な歌は随一。聴き手をとろけさせるような官能的な音はカラヤンならではです。中間部もあまり沈みこまず、美麗な音響が支配します。

三楽章は凄すぎる。重戦車が木々をなぎ倒して凄いスピードで突進してきます。「音楽の深み」とかそんなことはどうでもいい、ただただこの凄まじい音響に身を委ねる、それだけでいいのです。その重戦車に一緒に搭乗し、自分も一緒に突進しているような感覚に捕われます。

四楽章は作曲者の絶望よりも曲の構造自体を感じさせます。感情移入は最小限で、流麗で均整の取れた音響に心奪われます。強奏部分での迫力は相変わらずで仰け反ります。

最近になってCD化し、Disky、韓国EMI、東芝EMI、本家EMIなどで復刻されましたが、この最新リマスターは一番音が均されていて迫力が減じているかもしれません。ただ、終楽章の音が割れていてお蔵入りしていた4番のリマスターではこれが一番成功しており、聴きやすくなっています。4、5番共に最強のチャイコフスキーが聴ける素晴らしい一枚です。

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Tchaikovsky Symphony No.6 "Pathetique"

Valery Polyansky
Russian State Symphony Orchestra


CHANDOS (CHAN 9356)



「ジュリーニを上回る歌」と言われてもにわかには信じ難いと思います。ジュリーニこそは誰もが認める歌の人であり、そのジュリーニより歌に溢れた演奏というのは想像できなくて当然です。このポリャンスキーの演奏は史上最も歌に溢れた「悲愴」ではないでしょうか。しかも爆演が多いロシア系指揮者とロシア系オケでその演奏が行われているのです。

「ジュリーニを上回る歌」と言ってもジュリーニのそれとは全く一線を画しています。このポリャンスキーの演奏は、通常我々が持っている「悲愴」に対するイメージを覆すほど、繊細で静かな歌に埋め尽くされています。ロシア系音楽の持つ強音の音響効果など一切目もくれず、ひたすら静かに歌い続ける演奏です。この曲は強弱記号の幅が非常に広く、下はppppppから上はffffまでありますが、強音は控えめで、fが二つ少ないかと思われるように最強音でも決して絶叫しません。常に静寂が支配しています。この静寂がもたらす得も言われぬ寂寥感。非常に内省的で、悲しみの感情は心の内側に内側に沈み込んで行きます。激しい慟哭ではなく、目にそっとハンカチを当てすすり泣くのです。

一楽章、第二主題の美しさといったら!振幅は広くないのに、細部まで歌に溢れており、透明でどこか物悲しい。正に「心に染み入る」という表現がぴったりの感動です。展開部は決して絶叫しません。では物足りないかというと全くそういうことはなく、音楽は常に泣いています。激しい曲想でも常に丁寧に歌い込んでいるのです。

二楽章は稀有な体験をさせてくれることでしょう。これほど夢中になって聴いた二楽章は他にはありません。一種の浮遊感すらある静かな歌、遠鳴りするメロディーが心に融けていきます。鳴っている音と自分との距離があるにも関わらず、音楽は心の中の隅々まで行き渡り、静かな感動を呼ぶ。これは非常に不思議な体験です。こんな体験は他の演奏ではありません。

三楽章はチェリビダッケ並みにテンポが遅いですが、チェリビダッケほど弛緩していません。チェリビダッケが細部の構造を明らかにしようとしてテンポが遅くなるのに対し、ポリャンスキーは細部を歌おうとしてテンポが遅くなります。この違いは大きいです。

四楽章は信じられないほど内省的で美しい。冒頭から抑揚は最小限に抑えられ、悲しみが心にゆっくりと染み渡ります。フルートのソロからのヴァイオリンの歌い込まれ方は尋常じゃありません。その後の沈鬱な表情など、これしかありえないと思わせます。ふっと沸いてくるヴァイオリンの美しさには絶句。

音楽の面白さは、音楽の振幅が必ずしも感動に結びつかないところにあります。ポリャンスキーの演奏は初めて「悲愴」で音楽の大きな振幅なしに、深い感動を与えてくれた演奏かもしれません。

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Tchaikovsky Symphony No.6 "Pathetique"

Carlo Maria Giulini

Philharmonia Orchestra


EMI CLASSICS (7243 5 86531 2 0)



ハードな演奏が続いたので、次は曲の美しさを堪能できる演奏を。

ジュリーニの「悲愴」といえば、ロス・フィルとDGに録音した演奏が有名ですが、私はこのフィルハーモニア管とEMIに録音したほうをより好んで聴きます。こちらの演奏のほうがより歌っており彫りが深く、録音も透明感がありDGのものより聴き易いです。DGの演奏はロス・フィルの色気の無い音とDGのけばけばしくドライな録音とが耳に障ります。無論、ロス・フィル盤も素晴らしい演奏ではあるのですが。

歌の人ジュリーニがメロディー・メーカーであるチャイコフスキーを振れば、悪い演奏になるわけがありません。豊かな歌に溢れた演奏です。フリッチャイやマルケヴィッチのようなデモーニッシュさはありませんが、曲の美しさを堪能するには最適な演奏でしょう。歌に溢れながら気品があり、官能に溺れすぎずいやらしくならないところはジュリーニの真骨頂でしょう。
壮年期の演奏ゆえ、晩年のようにテンポも極端に遅くならずに音楽に張りがあります。音楽は流麗に流れ、安心してそのメロディーに身を浸すことが出来ます。この心地よさはジュリーニならではないでしょうか。

一楽章、第二主題の美しさはジュリーニならでは。展開部もむやみに凶暴にならずに格調を保っています。音は常に滑らかで、安易な音響効果で音楽の格調を失うことはありません。

二楽章はただただ美しく、音の滑らかさと音楽の張りはロス・フィル盤以上です。このメロディーの美しさに身を浸す幸せ。個の告白ではなく、音楽の持つ美しさ自体を堪能できます。

三楽章はロス・フィル盤よりもテンポが速く音楽に勢いがあります。これは壮年期のジュリーニならではの演奏でしょう。音楽が全く弛緩しません。

四楽章、弦の歌はジュリーニならでは。良く歌っています。また、決して構えず音楽に身を浸せるのがこの演奏のいいところなのです。絶望や虚無に打ちのめされることもなく、ただ曲の美しさを堪能できる。最後も完全に絶望しておらず、どこか救いがありホッとします。悲劇を美しい歌に昇華できるこの才能こそ、ジュリーニならではでないでしょうか。

ジュリーニであればチャイコフスキーは最高の演奏になるはずですが、残念ながら私は「悲愴」とこの演奏とカップリングされている2番以外聴いたことがありません。4,5番は録音が残されていないのでしょうか?あれば是非とも聴いてみたいです。

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Tchaikovsky Symphony No.6 "Pathetique"

Igor Markevitch
NHK Symphony Orchestra


KING (KICC 3031)



N響は日本で最高峰のオーケストラではありますが、個人的には全くと言っていいほど感心したことがない団体です。巡り会わせが悪かったと思うのですが、演奏会で著名な指揮者が振ったときでも感動したことは皆無、奏者が足を投げ出すようなやる気のない演奏を聴かされて、すっかり興味を失いました。
ところが、CDで聴く限り「これがあのN響か?」と思わせる演奏がいくつかあるのも事実です。マタチッチとの数々の名演、朝比奈、そしてこのマルケヴィチ。この演奏もN響が本気になったときの演奏を聴くことが出来ます。日本の団体ゆえ音色の魅力やオケの個性に乏しいですが、技術的には安定しているので、奏者のベクトルがそろったときには素晴らしい演奏を聴かせてくれます。

マルケヴィチにはロンドン響とのスタジオ録音もありますが、こちらのほうがより解釈が徹底されています。マルケヴィチらしい贅肉を殺ぎ落とした鋭利な演奏で、ムラヴィンスキーのように音楽の温度が低く、この曲の本質を見事に描き出しています。しかもインテンポでただ単にストレートに表現するだけでなく、所々豊かに歌い濃厚な表現を見せ、透徹感とロマンティックさが見事に同居しています。そして鋭い凶暴なフォルテが聴き手を切り裂く。NHKホールの残響の乏しい生々しい録音がそれをさらに助長します。

一楽章はやはり展開部の凶暴さが物凄く、触れば斬れるような鋭利な音で、(14:03)のティンパニの後からは、音楽が仰け反るほど巨大でかつ背筋が凍るほど冷たいのです。続く再現部の第二主題の透明で豊かな歌との対比も素晴らしい。

二楽章は日本のオケが演奏しているとは思えないほど良く歌ってます。この楽章は5/4拍子という日本人には難しい複合拍子ですが、日本のオケからこのようなフレーズ感が出るとは驚きです。音も透明で日本のオケが演奏しているとは思えません。

三楽章は安易に慌てない落ち着き払った安定感のある演奏で、実に堂々としています。インテンポ気味に進み一音一音その足取りは確かです。安易にテンポを動かし煽らなくてもこれだけ立派な演奏が出来るのです。そのスケールの大きさに心打たれます。とくに最後に向けたスケールの大きさは素晴らしく、フリッチャイのようにグッとテンポを落とし、巨大な威容が現出します。最後の決め方も最高です。

四楽章はマルケヴィチが珍しく個の告白を行っています。醒めた目線を持ちながら実にロマンティックで、フレーズは切ないほどに歌います。弦楽器の歌のなんと切ないこと!フリッチャイのような感情移入はありませんが、替わりに透明な儚さがあります。最後も凍りつくほど温度は低く、「絶望」というより「虚無」に支配され音楽は幕を閉じます。

このような演奏を聴かせてくれるのであれば、頻繁に代々木まで足を運ぶのですが・・・。実力があるのに誠にもったいないと思います。

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Tchaikovsky Symphony No.6 "Pathetique"

Ferenc Fricsay
Symphnieorchester des Bayerischen Rundfunks


ORFEO (C 200 891 A)



「悲愴」を語る上で、この演奏は絶対に欠かせません。

フリッチャイこそは長生きしていればフルトヴェングラーを超えるとさえ言われた指揮者ですが、この演奏を聴くからに既に超えていたのではないかと確信させる、これ以上ありえない高みに達した演奏です。録音されながら永くお蔵入りし、近年ようやく復刻され有名になったスタジオ録音が軽く霞みます。フリッチャイの最高傑作というだけでなく、オーケストラ演奏史上の至宝と断言することに微塵の躊躇もありません。
決して不用意に聴いてはいけない、聴く者にまるで精神修養を強要しているかのようで、覚悟を決めなければ簡単にその壮絶な音楽に打ちのめされます。それは自らの血肉を削り取り、生命を削り取りながら音にしているからで、その力にはどんな音楽も太刀打ちできるわけがありません。いくら不治とも言われる難病に犯されたとはいえ、なぜここまで自己を犠牲にして音楽に取り込むのか。そのフリッチャイの悲痛な覚悟に沈痛な思いを抱くとともに、畏敬の念を禁じ得ません。

一楽章冒頭のファゴットからフレージングが見事で、いきなり強烈に聴き手に訴えてきます。その訴える力の強さは他の追随を許しません。これほどまでに聴き手の心と共振し、振るわせる音楽があるでしょうか。展開部前の静寂はまるで嵐の前の遠鳴りする雷鳴のようで、その後の恐ろしい嵐を予感させます。展開部が始まる静寂を切り裂くトゥッティからの全ての音が痛い。人間をなぎ倒す凶暴な漆黒の闇が襲ってきます。ただ大音響や音の迫力だけのハッタリではなく、命を駆けた魂の叫びがそこにはあるのです。ティンパニ音一つとってみてもなんと深く、意思を持った音か!

ただ悲痛な表情を濃厚に奏でるのだけでなく、二楽章では弦が実に艶かしく豊かに歌い、その歌の濃厚さはあのジュリーニすら及びません。しかも、ただ官能的なだけでなくどうしようもない憂いを含んでいるのです。これほど影のある二楽章を他には知りません。

三楽章も唯一無二。テンポが揺れても決して崩れない強固な構築感、崩れるぎりぎりのところで踏みとどまるしなやかさを持った強靭なフレーズ、フリッチャイならではの至芸でしょう。シンバルが入る前にリタルダンドし、テンポをぐっと落とし、大地に杭打つかのように音を刻み込む。最後はテンションが高く盛り上がりますが、決してお祭り騒ぎにならずに厳粛さを保って壮絶に終わります。

そして四楽章。絶命の歌は世の中にこれ以上に悲痛な歌があるのかと思わせます。死に際した人の叫び声のようで痛々しくて聴いていられません。フレーズ一つ一つ、どれ一つとして浅はかに響くことはなく、全ての音に魂が宿っています。最後の慟哭はもう何も語る気になれません。ただただ涙がこぼれ、聴き手も音楽と一緒に慟哭するだけです。

命と引き換えにしてでも芸術の力を信じたフリッチャイ。余人が例え全く同じ才能を持ったとしても決して為し得なかった人類最高の芸術に敬意を表したいと思います。

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