DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Bruckner Symphony No.5

Eugen Jochum
Amsterdam Concertgebouw Orchestra


TAHRA (TAH247)



長年この演奏のレビューを書こうと思ってきましたが、機会を逸していました。再発売記念レビューです。ついに伝説の演奏が再発売されることになりました。この演奏が今まで廃盤だったことは人類にとって損失以外のなにものでもありませんでした。

ブルックナーの演奏史上、究極の演奏を挙げよと言われたら、ヴァント/ミュンヘン・フィルの9番、そしてこのヨッフム死の三ヶ月前のライブ録音の5番の二つを挙げるでしょう。何もかもが「完璧」です。何一つ欠点がありません。一体この職人タイプの指揮者が達した最晩年の境地とはどのようなものだったのでしょうか。音楽の大きさ、懐の深さ、そして自然さ。そう無類の自然さを獲得しています。遅めのテンポながら音楽は一切弛緩せず、細かいアゴーギグ全てに必然を感じます。素晴らしい演奏ながらも違和感を感じずにはいられなかった壮年期のブルックナーの演奏のような「くどさ」が一切ありません。究極に優れた音楽は時に音楽であることを忘れさせるほどの自然さがあります。

全ての楽章が素晴らしいですが、特筆すべきは二楽章でしょう。これ以上の二楽章は考えられません。私が5番の二楽章を心から愛するのはこのヨッフムの演奏があるからなのです。「静」よりも「動」の要素が大きいが故に、他の交響曲の緩徐楽章よりも低く見られがちなこの楽章が、こんなに美しくも慈愛に満ちた音楽だったとは!
これほど慈愛に満ちた美しい二楽章を他に知りません。正に言語を絶する美しさ。ただ音響的に磨かれた表面的な美しさではなく、神の慈悲に満たされています。全てを預けたくなる深い安堵感。ただただ音楽と一緒に深く呼吸し、気の遠くなるほどのスケールで流れる天の川に身を委ねるだけです。第二主題(2:45)の懐の深さは一体何なのだろう!遥かに言語を絶しています。ここだけでも奇跡です。(5:11)からの低弦のトレモロにのって、ホルンが第二主題を奏でるところなど空から幾万もの星が降ってきます。そして第一主題が戻ってくる(14:48)からは何度聴いても涙が止まらず、ボロボロになります。「天使の粉」ともいうべき光が体を包み、大きなエネルギーに体を天までもっていかれてしまいます。

四楽章の音楽の持つエネルギーも凄まじいものがあります。それは決して浮き足立ったものではなく、大地から湧き上がる地鳴りのような凄みがあります。コーダは完全に人間界を超えています。そこから放出されるエネルギーは他を圧倒しています。あまりの音楽の大きさに息が出来ず、体がガクガク震えてしまいます。そう、ヴァント最後の日本公演で感じた「感動を超越した感動」がそこにはあるのです。恐らくこの演奏も生で聴いていたら生命の危機にさらされていたことでしょう。

このレビューを書くために久しぶりにこの壮絶な音楽に向き合いました。今、私はこの音楽を聴ける時代に生きる悦びを噛み締めています。

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Schubert Piano Quintet "Trout"

Paul Lewis
The Leopold String Trio
Graham Mitchell


Hyperion (CDA67527)



CDレビューの書き方すら忘れた感がありますが(苦笑)、久しぶりのCDレビューです。しっとりとシューベルトの室内楽と行きましょう。シューベルトの晩年の深い闇も好きですが、八重奏やこの五重奏などのシューベルトらしいメロディ溢れる幸せな曲も大好きです。

最近、といってもかなり前に購入し、しばらく聴き続けた同曲の中でも最高峰の演奏です。なんと透き通って清々しい音楽!本当に渓流に来たような清涼感に包まれます。以前、ルイス/レオポルド弦楽三重奏団によるモーツァルトのピアノ四重奏曲を紹介し、この素晴らしさに彼らの「ます」が大変気になっていたのですが、予想どおりの素晴らしさでした。

ルイスの透明感ある粒立ちのいいタッチと、レオポルド弦楽三重奏団のピリオド・アプローチを多少取り入れたヴィブラート控えめの奏法が、より透明感、清涼感を演出します。そして音楽の流れの良さも特筆すべきでしょう。程よく弾むリズムと決して流れが滞らないテンポ感の良さが、淀まず絶え間なく流れる渓流と水中で躍動する魚たちそのものなのです。また、有名なソリストを招いて一時的に結成したアンサンブルにはない一体感があります。この一体感は他ではなかなか聴けません。バランスは常に極上。アンサンブルの精度も素晴らしいものがあります。

一楽章冒頭から清々しさに包まれます。鱒が飛び跳ねます。この音楽の鮮度はこの曲に絶対に必要なものです。

二楽章の繊細さも特筆すべきでしょう。メロディ偏重になったり甘くなりすぎず透明感を失っていません。

三楽章の躍動感も素晴らしい。

有名な四楽章の変奏曲。嗚呼、何度でも何度でも聴いていたい。第三変奏曲での愉悦感、第五変奏曲でのチェロの憂い、どれをとっても最高です。一つ一つのメロディが、過剰なカンタービレにより浮いてしまうことなく、極めて自然に流れるようにスッと心の中に入って来ます。

五楽章の心洗われる美しく幸せな響きはどうでしょう。これだけウキウキするのに涙が溢れるのは何故でしょう。その清々しさに胸一杯になってしまいます。

さあ、普段は忙しくて行けない渓流に、この演奏を聴いてココロだけ渓流に出かけよう。そして岩に腰を下ろし、森と渓流のマイナス・イオンたっぷりのしっとりした空気を吸い、深呼吸をしよう。ほら、さっきまココロに刺さっていたトゲが取れていくでしょう。

お買い物『HMV - シューベルト:ピアノ五重奏曲イ長調D.667《ます》/ルイス(ピアノ)、レオポルド弦楽三重奏団【CD】-シューベルト/音楽/HMV』


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