DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Mahler Symphony No.4

Hans Vonk
Esther Heidemen (Sp)
Saint Louis Symphony Orchestra


PentaTone (PTC 5186323)



これはフォンクとセントルイス響との最後の演奏会の記録です。この後フォンクは持病の筋萎縮性側索硬化症が悪化し、セントルイス響を退任。二年後帰らぬ人となります。

私はマーラーの4番が大好きです。マーラーらしからぬ愛らしく小さな曲で、マーラーの「音響」しか聴かない人達には敬遠される曲ですが、少なくとも前三つの交響曲よりは完成度が高いと思います。その大好きな曲でフォンクはとっておきの名演を最後に残してくれました。PentaToneから発売されたハンス・フォンク・レガシーの中で、特筆大書すべき名演ではないでしょうか。

この曲ではハイティンクのクリスマスマチネー・ライブコンセルトヘボウ管着任五十周年コンサートの二種を愛聴していますが、これはそれに匹敵するどころか、それ以上の素晴らしさです。マーラーの4番の頂点に立つ演奏といって過言でありません。フォンクの裏ごしされた粒子の細かい丁寧な音が、チャーミングなこの曲に非常にマッチしています。もちろんオーケストラからはコンセルトヘボウのような味わい深い響きは望めないものの、アメリカのオーケストラからこれだけの繊細で豊潤な響きを引き出したフォンクに脱帽です。(評判のバーンスタイン/ニューヨーク・フィルの演奏など大味で全く心に響いて来ない。)

一楽章から素晴らしいのが、その歌、歌、歌。(11:52)からの第二主題の泉のように湧いてくる豊かな歌など、これほどチャーミングな旋律でありながら、聴いていて涙が止まりません。なんと素敵なんだ!内側から歌がどんどん溢れてきてもう誰も止められません。所々現れるポルタメントが決して嫌味になることなく、実に気品があり、けばけばしいマーラーとは一線を画しています。最後のヴァイオリンの透明感も素晴らしい。

三楽章は白眉です。もう涙が止まりません。フォンクならではの絶妙なデュナーミクとアゴーギグ。音楽の性格できっちりとテンポを描き分けています。全てが堂に入っており、自然な流れを失いません。その一つ一つがなんと意味深いこと!全てのフレーズが涙を誘います。冒頭の透明感と繊細さはフォンクの真骨頂でしょう。(4:51)からの少し停滞気味に喋るヴァイオリンなど、実に儚く、死の臭いすら感じさせます。(6:45)からの中弦はこれだけ意味深い表現がかつてあったでしょうか!全奏(17:15)の後からは儚く美しい。(18:30)からのハープが入ってからの繊細さ、さらに(18:57)からは信じられない美しさ!何なんだこれは!死の臭いすら感じる病的な美しさに言葉を失います。何かとても大切なものが手から零れ落ちて消えてしまうようなどうしようもなく切ない気持ちになり、涙が溢れてきます。

四楽章、素晴らしいのがソプラノ独唱のハイデマン!可憐で清楚でありながら芯があり、私のベストのポップに肉薄する素晴らしさです。しかも適度の抑制が効いて過度に粘着質になることなく、フォンクの音楽と絶妙な調和を示しています。前三楽章とのつながりも無理がありません。

フォンク最後の演奏会が死を暗示するこの曲なのはなんとも皮肉ですが、フォンクの遺言として大切に大切に聴いていきたいと思います。

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mozart40_vonk.jpg

Mozart Symphony No.40

Hans Vonk
Saint Louis Symphony Orchestra


PentaTone (PTC 5186322)



ようやくハンス・フォンク・レガシーの第二弾を入手し、フォンクの素晴らしい音楽を堪能しています。

フォンクは中庸、穏健派というイメージがどうも先行しがちです。確かに音楽自体は激しい表現は皆無で、奇を衒ったところはなく、地道に積み上げて音楽をつくるタイプです。しかし、私はその音楽に非常に強い意志を感じるのです。どの演奏にも表面上は穏やかな表現の底に常に流れる、細部を一切おろそかにしない緻密で誠実な姿勢が作り出す高い緊張感があり、その音楽は強い意志によって支えられています。

この演奏はただの慟哭というよりも、怒りにも似た強い感情を読み取ることが出来ます。美しい旋律の底にあるなんという意思のエネルギー。ダイナミクスはそれほど幅が広くないにもかかわらず、音楽が迫ってきます。表面だけのこけおどしの演奏とは明らかに一線を画しています。最後まで高い緊張感が持続し、最後まで「疾走しきった」稀有なト短調ではないでしょうか。全ての繰り返しを敢行しているにも関わらず、だれることが一切ありません。過去の名演に十分匹敵しうる、いや、少なくとも私にはベストにしてもおかしくない演奏です。

一楽章は少し温度が低く透明な弦の響きの中に、ピーンと張り詰めた空気があります。音は常に丁寧で滑らかでありながら、それが甘さにならず厳しさに通じています。展開部の最後(4:49)のヴァイオリンの叫び!この世の惨劇に対し、嘆き、怒りをぶつけているかのようです。

二楽章が正にその証左となることでしょう。だらだらともったいぶらずに、リズムをくっきり刻む。これほどに意思の強さを感じる二楽章はあまりないでしょう。涙を目に浮かべながらも、立ち止まることなく前に進もうとする強い意志を感じます。そして透明で儚いヴァイオリンの調べがこの曲の本質である哀しみを伝えて止みません。

三楽章のリズムの刻み方も厳しいです。この楽章は拍感が出ずになよっとした演奏が多いですが、そんな感傷とは決別し、堂々としています。

四楽章の推進力も素晴らしい。非常に高い緊張感に支配されており、音楽に張りがあります。この曲で一楽章から四楽章まで集中力を持続しながら、一気に聴きとおすということは滅多にないのですが、フォンクとオーケストラの高い集中力も相俟って、最後まで疾走します。激しい慟哭を伴った最後の疾走など涙なしに聴けるでしょうか。モーツァルトの音楽はかくも激しい音楽だったのだ!

録音は変な残響が無く生々しい分、フォンクの慟哭が良く伝わって来ます。所々フォンクの唸り声も聴こえ、実に臨場感があります。

同時発売となったチャイコフスキーの4番、特にマーラーの4番は素晴らしい演奏で、追って紹介したいと思います。

お買い物『HMV - ベートーヴェン:交響曲第7番、モーツァルト:交響曲第40番 フォンク&セントルイス交響楽団【CD】-ベートーヴェン/音楽/HMV』


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年末のつかの間の休息も終わり、年明けと共に仕事が大量に降ってきてブログを更新できずにいます。

このエントリは仕事中にこっそり書いてます(汗)。

昨日、いつものように母の薬をもらいに吉祥寺に行ったついでに、ヨドバシカメラ上のタワーレコードに寄ったら、廃盤になったマーラー演奏の最高峰、ハイティンクによるクリスマスマチネー・ライブが二セットありました!

現在廃盤なので早い者勝ちです!


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