DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Schubert String Quintet

Quatuor Sine Nomine
Francois Guye


Claves (50-2003)



秋の空は物悲しい。たとえどんなに晴れていても。同じ晴れた青色でも秋の空が夏と違うのは何故だろう。それは弱りゆく太陽によるところもあるが、やはり雲だろう。夏の分厚く生き物のように成長し蠢く積乱雲に対し、秋の青空に溶けてゆく薄く儚い巻雲。その消え行く様は滅びゆく命を連想させます。

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実はこのCDは以前紹介した同シネ・ノミネSQによるシューベルトの弦楽四重奏曲集を注文するよりもかなり前に注文したのですが、入手出来たのは弦楽四重奏曲集よりも後でした。弦楽四重奏曲集同様素晴らしい演奏で、私のテーマ曲であるシューベルトの弦楽五重奏曲で、以前紹介したメロスSQアウリンSQ、まだ紹介していないライプツィヒSQ、ブランディスSQと共に、五大名演を形成する演奏なのです。

個々のメンバーの透明感があり繊細な音が、表面上は明るくもこの曲の本質である「滅びゆくもの」の姿を見事に描出します。特に1st Vnのジュネのヴィブラートを見事にコントロールした純度の高い響きは特筆すべきものがあります。例えば一楽章展開部(11:06)から、Vlaと1st Vcの二重奏とその後の1st Vn。ジュネの濁りのない繊細なヴァイオリンが秋空に溶けていきます。
二楽章冒頭の1st Vnの透明度は随一でしょう。透明であればあるほど痛切に心に響きます。

かつて私がこの曲と一緒に心中したいと思った四楽章。大切な大切な四楽章。「苦しく哀しい」滅びゆくものの絶望を聴かせてくれます。冒頭は少し前のめりになって畳み掛けていきます。(1:43)から第二主題が繰り返されるところは唯一無二。まるで消えゆく雲たちの戯れのよう。(1:50)からのわずかにルバートをかけた1st Vnも何と儚いことか。このわずかな瞬間でもこの団体の音楽性の高さが伺い知れ、ここだけでも何度でも繰り返し聴きたくなります。

この曲は私のテーマ曲であり、貪るように聴いていた時期もありましたが、嘘のようにぱったり聴かなくなり、久しく聴いていませんでした。今日青空の下で子ども達と遊んでいるときに空の雲を見てふと思い立ち、この演奏を聴いて涙を流したのでした。

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