DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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beet_pcon4_curzon.jpg

Beethoven Piano Concerto No.4

Rafael Kubelik
Clifford Curzon (P)
Symphnieorchester des Bayerischen Rundfunks


audite (95.459)



今日は久しぶりの雨降り。ゴールデンウィークは例年だと雨がよく降るが、今年は良く晴れた。今日は雨降りにぴったりの曲を。

気がつくと協奏曲のエントリが一つも無い。実は協奏曲は私が最も苦手とする分野なのである。まず協奏曲という演奏形態が苦手である。協奏曲は腕自慢的要素が強いので、その強烈な自己主張に疲れてしまうことがある。次に独奏と伴奏、両方が優れた演奏が稀であるということである。しかもそれに相性という要素が加わるからさらに難しい。そんな中で、このカーゾン/クーベリックの組み合わせは私にとって理想的な組み合わせである。両者とも音楽性に申し分なく、かつ相性が素晴らしく良い。
カーゾンの音は清水のようだ。とてつもなく透明で不純物が一切無い。かと言って無味乾燥かというとそうではない。高価な浄水器で徹底的に不純物を取り除いた水と富士の湧水、どちらが美味しいか、というのは愚問だろう。富士の湧水には、長年岩盤を通って岩盤から少しずつ溶け出した、目に見えない生命活動に必要なミネラルが豊富に含まれており、深い味わいがある。カーゾンのピアノは正に後者である。透明感の中に、誠実さ、厳しさ、優しさ、そして寂しさといったミネラルが豊富に含まれている。カーゾンは譜読みが念入りで作曲家に対して極めて謙虚だったそうだが、音楽にその人柄がよく表われている。恣意的なところは一切無い。カーゾンという演奏者を通して、無駄なものがろ過されたようだ。
ベートーヴェンのピアノ協奏曲と言えば「皇帝」が有名で、一番人気がある曲だとは思うが、私はむしろこの内省的でベートーヴェンらしからぬ4番の方が大好きだ。この4番はカーゾンと相性がいい曲だったのではないだろうか。4番は協奏曲では特異な曲で、いきなり主題から、しかもピアノの独奏で開始される。ここでのカーゾンは極めて美しい。なんと透明で美しいピアノ!しかも陰影に富んでいて、高貴な寂寥感を含んでいる。続くクーベリックの管弦楽も充実の極みで、優しく極めて繊細だ。ああ、これぞ私が協奏曲に求めているもの!カーゾンのピアノは過度に自己主張したり、伴奏と張り合ったりしない。またクーベリックの伴奏は暖かく独奏を包み込む。
曲想が二人の芸風にマッチしてか、一楽章は唯一無二の出来。特に暖かい伴奏に乗せた提示部、再現部のトリル(5:18)(12:34)、提示部、再現部終わりのテーマ(7:05)(14:19)などは美しさの限りで涙を誘う。カデンツァも極めて内省的だが、美しくどこか悲しい。
二楽章はどうしようもない寂寥感に満たされている。
三楽章のクーベリックの躍動感溢れる伴奏が素晴らしく、カーゾンのピアノは決して汚くならず、美感を保っている。
これがライブ録音とは信じられない。カーゾンは録音嫌いだったそうだが、こうやってライブが発掘されるのは大変嬉しい。モーツァルトの協奏曲の宝物のような録音を残してくれたが、ソナタが録音されなかったのは残念至極。今後もBBCやauditeからライブ録音が発掘されることを切に願っている。

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コメント

いい組み合わせだなぁ

こんばんは。聴く前から答がわかっているような素晴らしい組み合わせですね。書かれていますようにベートーヴェンの4番は室内楽的に聴けます。ソロとオーケストラのせめぎ合いはありませんし、もしピアノがオーケストラに埋没してしまっても充分音楽になります。晩年のバックハウスは4番ばかり弾いていました。あのグールドも公開デビューはこの4番なんですよ(15歳の時ですが)

不覚!  カーゾンって誰??

まずいです!!  不覚です!!  私、ピアノ弾きにも関わらずこのピアニスト知りませんでした。  で、焦って2003年に発刊された音楽之友社の「ピアノとピアニスト2003」でチェックしたら載っているじゃありませんか!!  なるほどそんなに素晴らしい演奏 & 組み合わせなんですね??  これは何とかして聴かないわけにはいきませんね~ ^^;  素敵な情報をありがとうございました♪  

  • 2006/05/08(月) 10:51:17 |
  • URL |
  • KiKi #bMLlLu06
  • [編集]

カーゾン

こんにちは。
私はカーゾンの名前は知りつつも、全然演奏を聴いたことないです。(もちろん生でもCDでも)
ベートーヴェンのコンチェルト、第4番は私好きです。第5番はちょっと私には豪華過ぎます。(笑)

  • 2006/05/08(月) 18:36:16 |
  • URL |
  • ピースうさぎ #HMJooEnU
  • [編集]

101回目の楽しみ
随分とはやく復活されて嬉しいです。
しかし、カーゾンかぁ!
一時期カーゾンに凝ったことがあります。
特に、モーツァルトのピアノ協奏曲27番のCDをかき集めました。
5種類位あったかなあ。(いずれ27番の特集をお願いします)
録音嫌いと言われているカーゾンでありますが、デッカには随分と正規録音が存在しますね。しかも、「何でこれをOKして、ブリテンとのモーツァルトをお蔵入りにしたんだ」というくらい出来の悪いものばかり。
ミレニアム前後にさかんに発掘されたライヴも私の心を捉えませんでした。
このベートーヴェンもそう。
「清水のよう」な透明感が合わないみたい。それに、クーベリックとの親和性もどうでしょうか。
クナとの共演よりは水と油になっていませんが。
ケルテスといい、セルといい、カーゾンはどうやら自分の資質と齟齬をきたす伴奏指揮者の人選を敢えて行っているような気がします。(皆から反論されそうだ~)
それとも、レコード会社の都合でしょうか。
この曲の最高の弾き手はグルダだと私は思っています。

  • 2006/05/08(月) 22:13:48 |
  • URL |
  • 穂吉 #-
  • [編集]

いいですよね

calafさん、
こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
賛否両論あるこの組み合わせですが、小生はcalafさんのおっしゃる通り、素晴らしい組み合わせだと思っています。
ところで、バックハウスがベームと正規に4番の録音を残さなかったのは悔やまれますね。海賊盤で聴いた録音は大変音が悪く、聴くに耐えないものでした。相当回数演奏したみたいですから、どこかに良質の録音が残っていてもよさそうですが。

  • 2006/05/09(火) 00:14:30 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

カーゾン

KiKiさん、
こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
カーゾンをご存知ないのは人生損してますよ(^-^)。ブリテン、ケルテスと組んだモーツァルトは絶品で大好きです。是非聴いてみてください。

  • 2006/05/09(火) 00:16:40 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

皇帝

ピースうさぎさん、
こんばんは、いつもコメントありがとうございます。
小生も若い頃は「皇帝」が好きで色んな演奏を聴きましたが、最近はおっしゃる通り「豪華過ぎて」なかなか聴く機会がなくなりました。年なんですかね(笑)。

  • 2006/05/09(火) 00:18:18 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

ブリテン

穂吉さん、
こんばんは。いつもコメントありがとうございます。穂吉さんの辛口のコメントはいつも楽しみです。
この演奏、賛否両論ありますよね。カーゾンの演奏を多く聴いたわけではありませんが、聴いた中では一番相性がいいのはブリテンのように思います。カーゾンとの相性という観点では、クーベリックはブリテンに比べて「影」が足りないような気がしていますが、いかがでしょうか(それでもクーベリックとは素晴らしい組み合わせだと小生は思っています)。
カーゾンの27番は、クーベリック、ブリテンを持っていますが、他にBBCからバレンボイムがありましたよね。他には誰と組んでいるのでしょうか?
グルダは未聴です。最近ようやくこのピアニストに目覚めたところでして、これから聴きこんでいきたいと思います。

  • 2006/05/09(火) 00:25:52 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
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  • 最近老け込んで、見た目もすっかり年相応になってしまったバカ親パパのサラリーマンです。最近は、仕事、子育て、親の面倒に追われ、音楽を聴く時間もまともに持てなくなってますが、ストレス解消に無謀な数のCDを買いつづけています。^^;

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