DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Mahler Symphony No.3

Armin Jordan
Orchestre de la Suisse Romande


Virgin CLASSICS (7243 5 62215 2 9)



「マーラーで涼を取る」とは逆ではないか?とお思いになるかもしれません。マーラーの音楽はどちらかといえば、暑苦しい部類の音楽で、涼を取るのには不向きです。その中でも比較的「涼しい」音楽は3番かもしれませんが、(「大地の歌」は「涼しい」のではなく「寒い」!)たとえマーラーが夏に避暑地で曲の大部分を作曲し、マーラー自身一時「夏の夜の夢」などど表題をつけたとはいえ、涼を取るのは厳しいと思います。しかし今回御紹介する演奏は涼を取れる演奏だと確信しています。

なんと透明で色彩感溢れた美しいマラ3。こんなに透明で美しいマーラーは聴いたことがありません。山を登った後に体を吹き抜ける夏の高原の清々しい風のようで、残暑の夜にはぴったりでしょう。透明度という観点では先に紹介したベルティーニを上回り、更なる色彩感があります。ベルティーニの演奏は単色に近かったですが、このジョルダンの演奏は虹色です。高原に咲く花々のように豊かな色に溢れています。細部への配慮の細かさ、繊細さもベルティーニを上回るでしょう。
スイス・ロマンド管は、ほとんど今まで縁の無いオーケストラでした。というのも独墺系好きの私にとっては、フランス、ロシア物を得意とするこのオーケストラを聴く機会に恵まれなかったのです。しかしこの演奏を聴くと、なんともったいないことをしていたのかと思ってしまいました。ウィーン・フィルや、コンセルトヘボウ管といった個性と実力を兼ねそろえたオーケストラに全く引けを取らない実力を誇っているではありませんか。
一楽章は私のベストとなった演奏です。透明感と各楽器のバランスが素晴らしく、この複雑な管弦楽が団子になることなく、常に最上の美感を保っています。冒頭のホルンからまるで次元が違います。力ずく、威圧的なところは皆無であくまで美しく鳴らすことに徹しています。バーンスタインなどの演奏と聴き比べると、これが同じ曲かと思ってしまうほど透明で美しい。しかし、その後ではティンパニが強烈に炸裂するなど、ただ頬を撫でるような演奏に陥っていないのです。スケールは決して小さくありません。トロンボーンのソロが奏でる第二主題もドロドロした情念が蠢くのではなく、美しく妖艶です。その後の行進曲も、まるで高原を散歩するかのような清々しさがあります。ハープのグリッサンドから強烈炸裂するコーダでは、一気に視界が開け、まるで壮麗な山々に囲まれた高原の中に放り込まれたような清涼感に包まれます。これだけ分厚い管弦楽でこれだけの透明感が出せるジョルダンとスイス・ロマンド管の実力に脱帽です。決して迫力とか興奮だけで聴き手をねじ伏せるのではない、知性と美的感覚の勝利と言えるのではないでしょうか。
二楽章の木管とヴァイオリンの透明感も素晴らしく、こういう演奏の美感はこの二楽章や三楽章で最も発揮されるのかもしれません。特に二楽章の繊細で色彩感に溢れ、色気すら感じるヴァイオリンの歌は他では聴けません。
六楽章の透明な歌はベルティーニと双璧でしょう。ベルティーニのような溜めは効いておらずストレートな表現ですが、物足りないことはなく、むしろその清々しさに感動します。

かくいう私はエアコンの無い部屋でパソコンをつけながら部屋を締め切って聴いています(笑)。非常に蒸し暑いですが、体感温度は少し下がったかもしれません。

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コメント

はじめまして

「ジョルダン」で検索して、こちらにやってきました。
ジョルダン、派手ではなかったですが、その人柄もあってフランスやスイスでは大変敬愛されていた指揮者でした。突然の逝去に、とても寂しい思いをしています。
ワグナーでも、「パルシファル」のCDとDVDが遺っているのは、その透明な音楽作りの故かもしれません。

TBさせていただきました。

はじめまして

ガーター亭亭主さん、
初めまして。コメントとTBありがとうございます。実はジョルダンの訃報を貴ブログにて知り、ショックを受けました。
地元では大変人気があったそうですね。この演奏と世評を聞く限り、アンセルメ以来のスイス・ルマンド管の黄金期を築いた人だったと思います。録音が少ないのが惜しまれます。この演奏は宝物のような演奏になりました。故人に感謝したいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。

  • 2006/09/24(日) 01:05:53 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

ドイツ系

彼はスイス人ですが、生まれはドイツ系で、そんなせいもあるのでしょうか、フランスものとドイツものの双方に長じていたように思います。

マーラーでも他に、1番、2番、「大地の歌」があったように思います。

ではでは。

情報ありがとうございます

ガーター亭亭主さん、
こんにちは。ご丁寧にありがとうございます。
ジョルダンはスイス人なんですね。
ご紹介いただいたマーラーの2番は聴いてみたいのですが、もうすでに廃盤のようですね。残念です。
存命であれば、生で聴きたかったですが、それもかなわなくなりました。
情報ありがとうございました。

  • 2006/09/26(火) 12:47:50 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

ジョルダンのマーラー2番

マーラーの2番ですが、スイスのCASCAVELLEというレーベルから2010年
に再発売となっております。当方も早速
入手して聞き終えたところですが、
なかなかの名演でした。

遅くなってすみません

seychellesmauritiusさん、

こんばんは。初めまして。コメントが遅くなって申し訳ありません。

ジョルダンのマーラーは既に1、4番が出ていますが未聴です。CASCAVELLEはスイス・ロマンドの放送音源を発売していますね。2番も聴いてみたいです。

  • 2010/11/22(月) 00:10:18 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]
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ジョルダン急死

アルミン・ジョルダンが急死しました。 先週の金曜日というから15日にバーゼルの劇

  • 2006/09/23(土) 14:08:17 |
  • ガーター亭別館
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