DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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dvo9_fricsay.jpg

Dvorak Symphony No.9

Ferenc Fricsay
Berliner Phlharmoniker


Deutsche Grammphon (463 650-2)



普段あまり世評の高い演奏を紹介しないdokuohですが、今回の演奏は「新世界」を語る上ではずせないでしょう。各方面で絶賛されている演奏です。正にドイツ魂炸裂の壮絶な演奏。遅めのテンポでかなりテンポを揺らしながらも微動だにしない強固な構成と、古きよき時代のベルリン・フィルの重心の低い岩のような無骨な音色が稀有なスケールを生み出しています。もはや通常概念にある「新世界」を遥かに超えた高みにある演奏だと思います。
この演奏は有名な「運命」、ベト7、「悲愴」(DG)などの演奏と並び、フリッチャイが白血病を患い、大手術をして復帰した後の演奏で、白血病を患う前と比較すると極端にテンポが遅くなり、テンポの触れ幅が大きく、スケールも大きくなっています。フリッチャイの晩年の芸風は良くフルトヴェングラーと比較されますが、フルトヴェングラー的即興的感興よりも、テンポが変動しても微動だにしない堅牢な構成力のほうが特徴的だと思います。巨大な一枚岩のようです。
歴史に「もしも」は禁物ですが、もしもフリッチャイが生きていれば、20世紀最大の指揮者になっていたことは間違いないでしょう。(同年生まれでは、ジュリーニとクーベリックがいる)もちろん、病気が彼の音楽性を高めたことは間違いないと思いますので、単純な「もしも」はあまり意味がないのですが、それを抜きにしてもそう思わずにはいられません。
一楽章冒頭、序奏からどうしようもない寂寥が漂い、序奏から主部に入るところの弦の動機は重々しく、壮絶な演奏を予感させます。主部に入る前の大見得を切るようなティンパニ!かと思えば、フルートにより第二主題がとても柔らかく、優しく奏でられ、弦がそれに応えます。こういった曲想で、フリッチャイの演奏がただ無意味に大きな音を出して効果を狙っている演奏とは一線を画していることが如実に分かります。暖かく血が通っているのです。再現部終わりからコーダにかけては壮絶を極めます。
二楽章の優しさはフルトヴェングラー的なものを感じます。ゆったりしたテンポで豊かに歌う「家路」の主題。とにかくフレーズの着地の仕方が絶妙で、そこに万感の思いが込められています。なんという優しさに溢れてるのだろう!
この曲は前半の二楽章の充実度に比べて後半の二楽章が落ちるのですが、フリッチャイは後半の二楽章の充実ぶりが素晴らしいです。
三楽章は同年代のハンガリー出身の指揮者と同じく、ソリッドなリズムで畳み掛けます。
壮絶なのが四楽章。これほどスケールが大きく、強烈な四楽章は他では聴いたことがありません。これを上回る四楽章は考えられません。冒頭から荒々しい低弦と凶暴なフォルテ。かと思えばゆったりと繊細にクラリネットが第二主題を奏でます。コーダの前からコーダにかけては、これが「新世界」かと思うほど壮絶でのけぞってしまいます。しかもただ無機的に轟音を鳴らすのではなく、そこに血が通っています。断末魔の叫び声を上げんが如く、強烈な意思が迫ってきて息を呑みます。

ドヴォルザークの交響曲を3曲紹介しましたが、結局純ボヘミア的演奏というより、独墺的演奏ばかりになってしまいました。今度はボヘミア的演奏を取り上げるようにしましょう。

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コメント

ご無沙汰してました(^^;

仕事とオケで忙しくて、PCを触る暇がないこの頃です。

来年、「新世界から」を演奏します(^^!
しかもコンマスになっちゃった)*O*(
(上手なオケじゃないので1年がかり^^;)

それで、オケのメンバーにもいろいろと「新世界から」を聴いてもらおうと思って、いくつか聴いてもらったのですが、迷うことなくフリッチャイのを選んでおります(^^)ノ

超独的新世界!

  • 2006/09/12(火) 21:30:00 |
  • URL |
  • 壁男 #-
  • [編集]

聴きに行きたい!

壁男さん、
御無沙汰しております。いつもコメントありがとうございます。お忙しいそうですね。急に寒くなってきたので御自愛ください。
新世界やるんですか、しかもコンマスで!それは是非とも出動せねばなりませんね。後でオフラインで日程を教えてください。
この演奏に痺れる人は多いでしょうね。本当に凄い演奏です。有名なケルテスの演奏よりもこちらのほうがが好きです。

  • 2006/09/12(火) 21:40:53 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

やっぱこいつが来ると思ってた
ケルテスより好きって?dokuohさんだからフリッチャイが来ると思ってたね。予想通り。(前にも書いたけど「モルダウ」も凄い)
私の愛聴盤はケルテス、フリッチャイとクーベリック/ベルリンpo.、これが不動のベスト3。クーベリック盤は「弦楽セレナード」とのカップリングで、ぼくの持っているあらゆるCDのベスト3に入るほど溺愛している。『銀河鉄道の夜』を読みながらならクーベリックなんですよ。スタジオ録音万歳!
これで、旅はひとまずおしまいでしょうか。

  • 2006/09/12(火) 21:54:42 |
  • URL |
  • 穂吉 #-
  • [編集]

読まれてしまいましたか

穂吉さん、
こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
やはり読まれてしまいましたか。お察しの通り、純ドイツ系です(笑)。クーベリックもスタンダード的演奏ですね。大好きです。次に旅するときは新世界は変り種を用意しておきます。
ボヘミアの旅は後一つ寄るところがあります。お楽しみに。

  • 2006/09/12(火) 22:31:22 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

フリッチャイの何かを

こんばんは。ずっと以前からフリチャイの何か1枚を持っていたいのと思っていたのですが、ドヴォルザークがあったのですね。ハスキル、やコルトー、ゲザ・アンダらと協演しているのですね。

  • 2006/09/12(火) 23:16:16 |
  • URL |
  • calaf #-
  • [編集]

フリッチャイを是非!

calafさん、
こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
フリッチャイは是非ともお聴きになってください。特に59年以降のものが凄いです。以前エントリしたエロイカはフルトヴェングラーを上回る演奏だと思っているので、チャンスがあったら是非ともお聴きになっていただきたいです。

http://dokuoh.blog35.fc2.com/blog-entry-4.html

http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=569856

  • 2006/09/13(水) 00:27:54 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

独墺的ドヴォルザーク?

こんばんは
フリッチャイはあの悲愴を聞いていますが、新世界もあったのですね。
独墺的演奏のドヴォルザーク。今度探してみます。

  • 2006/09/13(水) 01:01:21 |
  • URL |
  • ダンベルドア #-
  • [編集]

フリッチャイのもう一つの悲愴

ダンベルドアさん、
こんばんは。コメントありがとうございます。
フリッチャイの悲愴はもう一つ壮絶な演奏があるのを御存知ですか?いずれ紹介したいと思います。
この新世界は聴くと仰け反りますよ。是非ともお聴きになってください。

  • 2006/09/13(水) 01:09:36 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

フィリッチャイの新世界

これは鋭角的な表現で「壮絶」ですが、オーケストラの重厚で渋い響きが、その表現を中和しています。それでも凄すぎるので、ここぞという時でなければ聴かないことにしています。
アンチェル&チェコも名演(爆演)です。
(普段はケルテスとジュリーニ&CSOを聴きます)

  • 2006/09/13(水) 09:46:32 |
  • URL |
  • orooro #E3qq/TYQ
  • [編集]

ノーチェック!

フリッチャイはベートーヴェンの第九とシューベルトのミサくらいしか聴いたことがないですが、どちらも屹立とした演奏だったように憶えています。
新世界交響曲はまだ聴いたことなかったです。
これからチェックするようにします。

  • 2006/09/13(水) 19:46:01 |
  • URL |
  • ピースうさぎ #HMJooEnU
  • [編集]

ジュリーニのドヴォルザーク

orooroさん、
こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
せっかくリクエスト頂いたのにドヴォ8はジュリーニでなくてすみません。もうブロムシュテットのエントリを書いている途中だったのです。次回はジュリーニ必ず取り上げますね。
実に的を射た表現ですね。おっしゃる通り鋭角的でも中和されています。こんな壮絶な演奏は繰り返し聴けるものではありませんね。
アンチェルの演奏も大好きです。ジュリーニの「第九シリーズ」に駄演はありませんね。CSOの演奏も素晴らしいと思います。

  • 2006/09/13(水) 23:38:37 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

全て買い

ピースうさぎさん、
こんばんは、いつもコメントありがとうございます。
フリッチャイの第九も素晴らしい演奏ですね。私も大好きです。第九は確か白血病で大手術する前の演奏なので、新世界でのフリッチャイは別人のように感じると思います。有名な「運命」、「悲愴」も全て買いですよ。

  • 2006/09/14(木) 00:00:51 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

いいものを見つけました

こんばんは。dokuohさんのご教示に従って、フリッチャイを探してみました。お勧め以外にも垂涎物がたくさんありますね。特に協奏曲には驚きました。独奏者の名前でフリッチャイの素晴らしさがわかるというものです。エロイカ以外にドボルザークのヴァイオリン協奏曲、ブルッフのヴァイオリン協奏曲、グラズノフのヴァイオリン協奏曲の1枚を注文しました。ヴァイオリンは、なんとヨハンナ・マルツィとエリカ・モリーニ、これはたまりません。

買いましたか

calafさん、
こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
フリッチャイは全て集めたくなるので困ります。calafさんはさすがヴァイオリン協奏曲のセットを御買いになりましたか。私はノーチェックです。是非ともお聴きになったら御感想お聞かせください。

  • 2006/09/15(金) 01:35:25 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

モノラル盤も凄い!
ブル6で盛り上がっている中、わたくしはまだボヘミアを旅しております。
最近物忘れが激しく、フリッチャイのモノラル盤の存在を忘れていました。今、6年ぶりに聴いたところです。RIASso.との53年録音です。
とにかく凄いです。白血病になる以前からフリッチャイという人は生き急いでいたということが分かります。壮絶すぎます。
「新世界より」は低俗曲と見られているのか、指揮者がやりたい放題にやるので、かえって面白い演奏が目白押しです。
宇野功芳さんの推薦盤である、シルヴェストリ、スメターチェク、クレンペラー。そして、反対に嫌っているバーンスタイン/イスラエルpo.全ていいですね。
さて、ブル6特集では、私と約束したある指揮者のCDをお忘れではないでしょうね。(ティントナーではない)

  • 2006/10/02(月) 21:47:13 |
  • URL |
  • 穂吉 #-
  • [編集]

モノラル盤

穂吉さん、
こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
フリッチャイのモノラル盤、気になりつつまだ手が出ていません。穂吉さんのレビューを読むと欲しくなってしまいますね。
約束はもちろん、覚えています。ただ録音が二種類あってどちらにするか、それとも両方取り上げるか迷ってます。

  • 2006/10/02(月) 23:36:04 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

フリッチャイの悲愴

この記事を見てから、悲愴(DG)について書いたので、TBさせていただきました。
 もうひとつの壮絶な悲愴は知りません。いつかご紹介ください。
 といってもチャイコはロシアで独墺ではなかったですね。

  • 2006/10/10(火) 22:17:40 |
  • URL |
  • ダンベルドア #-
  • [編集]

ロシアへの旅

ダンベルドアさん、
こんばんは。コメント&TBありがとうございます。
もう一つのフリッチャイの悲愴は是非聴いてみてください。今度はロシアにも旅をしますので、御安心を(笑)。

  • 2006/10/10(火) 22:34:15 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
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チャイコフスキー「悲愴」~フリッチャイの名盤

 「暖かさ」の感じる悲愴です。「悲愴」交響曲にこの言葉は似つかわしくないのかもしれません。

  • 2006/10/09(月) 20:37:32 |
  • ★ 音楽と季節の記♪ ☆
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  • 最近老け込んで、見た目もすっかり年相応になってしまったバカ親パパのサラリーマンです。最近は、仕事、子育て、親の面倒に追われ、音楽を聴く時間もまともに持てなくなってますが、ストレス解消に無謀な数のCDを買いつづけています。^^;

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