DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Brahms Symphony No.4

Bruno Walter
Columbia Symphony Orchestra


SONY CLASSICAL (SMK 64 472)



もうすっかり秋になりました。ちょっと前の夏の空騒ぎが嘘の様です。秋といえばブラームス。しかも今日は夕方から雨が降り、絶好のブラームス日和です。室内楽にしようかと思いましたが、最もブラームス的で久しく聴いていないブラームスの交響曲第4番を聴くことにしました。
ブラームスの4番はブラームスの内省的なロマン性を最も反映した曲の一つで、おそらく多くの人が一度はブラームスの最高傑作と思ったことがあるでしょう。私も以前はそうでした。しかし諸行無常、人間とて変わるものです。やはり典型的なブラームスの湿った重い響きが苦手となって、この曲も次第に遠い存在になっていきました。しかし、いつまでも苦手なものを遠ざけていては新しい発見がないということで、秋になったら久しぶりに聴こうと心に決めていました。しかし、ザンデルリンクの新盤のようなあまり重い演奏はしんどいので(それでも「超」の字の付く名演だと思います。)、比較的重くない演奏をと思い、定番のワルターにしました。ブラームスの4番を聴くのも久しぶりですが、この演奏を聴くのは何年ぶりでしょうか。
この演奏は良く「ワルター晩年の枯淡の境地」などと言われる演奏です。私もかつてそのような印象を持っていました。いわゆる重厚でない響きがそのような印象を抱かせたのでしょう。しかし改めて聴いてみると「本当に枯れているか?」と思ってしまいます。全然枯れてなんかいません。確かにインテンポ気味で、響きも重厚でなく、感情の振幅もそれほど大きくありません。しかし内容は非常に濃く、音楽が盛り上がるところでの情熱も決して不足しません。そしてなにより、感傷的になりすぎない品のある歌が演奏を格調高いものにしています。感情の振幅は激しくありませんが、故に心に響く美もあるのでないでしょうか。秋の静かな湖面のように、静けさがより寂寥感を助長します。しかしその静けさは自然の厳しさや激しさをも内包しています。そういった「静かな激しさ」がこの演奏かもしれません。響きが分厚くなく、表面的な感情の振幅が大きくなくてもこの曲は生きるのです。「ブラームス=重厚」へのアンチテーゼと言えるかも知れません。
一楽章冒頭のヴァイオリンからなんともいえない儚さが漂います。細かな表情がつけられ一小節一小節大切に奏でられているのが良く分かります。コーダでの力強さは決してこの演奏を安易に「枯れている」と貶めるものではありません。
やはりワルターの芸風なら二楽章。優美で豊潤でありながらも甘くなりすぎず、かつ濁りのない透明感のある歌が最高です。「透明感」というはただの響きのことを指さず、ロマンティックでありながら恣意的なものや強い情念が無いのです。表面的な音の美しさなら他にもいい演奏が沢山ありますが、ワルターの演奏は無私でありながら音楽に流れる血液の温度が高く、人肌のぬくもりが感じられます。ただの美音でない「美」がそこにはあるのです。
三楽章を聴けば、この演奏が決して枯れていないことが分かります。直接的迫力はありませんが、実に生命力に溢れているではないですか。
四楽章の提示部のヴァイオリンの奏でるパッサカリア主題は遅めのテンポでじっくりと実に良く歌います。迫り来るものはありませんが、変わりに格調の高さがあります。決して押し付けがましくなく、体の中に何の抵抗もなくすっと入ってきて、中では心をかき乱し、さりげなく体の外に出て行きます。ああ、これならいくら浸ってもいい!

これからしばらくは、ブラームスの4番と言えば、この演奏がリファレンスになりそうです。

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コメント

辿り着いたブラームス

こんばんは。今日は嵐の中、夜勤がありまして先ほど帰ってきました。ブラームスぼ4番、久しぶりにワルターのジャケットを見ました。私が聴いた最初の4番がこれです。初恋の女性を思い出すかのようです。1楽章の冒頭は多くの指揮者、オーケストラを聴きましたが、ワルターがすぐ頭をよぎります。ヴァントを聴いてもそうでした。歌い口がワルターにはまってしまっているからでしょう。憂いを含みながらささやきかけてくるのです。1番はベートーヴェンを意識しすぎ、2番、3番は軌道修正してベートーヴェンの重荷はとれたものの、どこかよそよそしい。4番はブラームス自身が辿り着いた理想の地ではないでしょうか。誤解を恐れずにいえば、ピアノ協奏曲第2番が堂々と交響曲第5番といえる内容と、私は思っています。

お疲れ様でした

calafさん、
こんばんは。いつもコメントありがとうございます。夜勤お疲れ様でした。
一楽章の冒頭はワルターの演奏を聴くと、その配慮の細かさに感心します。この部分でこの曲の決着がつくかもしれませんね。
ピアノ協奏曲の2番は交響曲に匹敵するスケールと内容ですね。有名作曲家が力強い5番のシンフォニーを書いた「5番のジンクス」を考えると、ブラームスは5番が書けなかったのも納得です。

  • 2006/09/18(月) 21:40:25 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

ゴメン、これは×
ワルターのせいじゃない。管弦楽団と録音のせいだ。
ワルターとコロンビアso.とのコンビはかなり早い時期にCD化され、私のクラシック体験を豊かなものにしてくれた。いわば恩人とも言える。
しかし、条件がある。このコンビ、曲によって名演⇔駄演がはっきりしてしまうのだ。マーラー「巨人」は超名演。ベートーヴェン1・2番も最高レベル。(世評に反して「田園」は好きじゃない)
逆に駄・駄・駄作なのがブルックナーとブラームス。この作曲家に関しては、オケの響きが厚くないとダメなんじゃないか。コロンビアso.はあまりにも非力だ。
いや、ベルグルンド指揮ヨーロッパ室内o.のような小編成の名演もあるじゃないかと逆襲されそうだが、コロンビアso.のは録音操作でオケの響きを膨らましているように聴こえ、ことブルックナーとブラームスに関しては不自然だ。こうなるとワルターの表現以前の問題となる。
ジャケットから見てこれはSBM盤。オリジナルのMcClure氏が関与していないとしてファンからすこぶる評判の良くない盤だが、音質はどうなのだろうか。(私見ではSBM盤の音質も悪くないと思う。ただしブラ4は未聴)
私は、ベーム指揮ウィーンpo.盤を死ぬほど愛している。一体何度聴いたことか。ヨッフム指揮ロンドンpo.も愛聴盤。シューリヒト指揮バイエルン放送so.も超名演。
ブラームス苦手の人がワルターを好む傾向にあるらしい。ブラームス嫌いを好きにさせたという意味ではワルターの功績は大きいと言える。(ブラームス好きでもワルターの演奏大好きな人が大勢いるのは承知してます)

  • 2006/10/07(土) 22:07:03 |
  • URL |
  • 穂吉 #-
  • [編集]

同感する部分もあります

穂吉さん、
こんばんは。いつもコメントありがとうございます。いつもの辛口のコメントは楽しみです。
おっしゃていること、実は私も感じていて、エントリ中にも書こうかと思っていたのですが、書きませんでした。オケの非力さは確かに目立ちます。分厚い響きが苦手な私の場合はその非力さが奏功しているところがあるんですよね。
SBMは評判がいいほうだと聞いていましたが、そうでもないのですかね。私は音質にそれほどこだわらないので(散財を防ぐため強制的にこだわらないようにしている)、これでも十分ですが、いい録音と聞くとどうしても財布の紐がゆるくなってしまうのですよね。

  • 2006/10/08(日) 21:39:54 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]
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