DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Mahler Symphony No.9

Otto Klemperer
Wiener Philharmoniker


TESTAMENT (SBT8 135)



ブル6が終わったらよし気合を入れてやるぞと暖めていた企画が、忙しくてずるずると来てしまいました。クラシック音楽ブログ共同企画「勝手にウィーン・フィルの日」への参加企画、その名も「氷結ウィーンの香り」。
1968年、クレンペラーはウィーン芸術週間でウィーン・フィルと共に奇跡的な演奏を行いました。これはその記録です。鳴物入りで発売されてかなり時間が経ってしまい、旬を過ぎた感はありますが、これを機会に紹介したいと思います。
まだ濃厚なウィーンの香りを残していた、古きよき時代のウィーン・フィル。それがクレンペラーによって氷づけにされ、高貴で妖艶な色気のある音を撒き散らしています。それはまるで鮮度の高く果汁をたっぷり含んだ果実を氷結にしたかのようです。
その中でも切望していたマーラーの9番が聴けたのは幸運です。正直、現代の高機能のオーケストラが演奏した精緻なマーラーの演奏に聴きなれていると噴飯ものの演奏かもしれません。オケの精度が低いのです。冒頭からホルンははずしますし、三楽章はハープが迷走しています。その迷走ぶりなど現代の一流オーケストラの演奏からは考えられないほどひどいものでしょう。
しかし、そんな傷を補って余りある魅力があります。クレンペラーらしさが前面に出すぎることなく、上手くウィーン・フィルの香りと融合しています。この演奏はクレンペラーとウィーン・フィルという組み合わせだから出来た奇跡なのでしょう。また、アンサンブルの乱れから分かるように、ウィーン・フィルがクレンペラーの指揮に必死についていこうとしています。それが生み出す稀有な緊張感。それが死と格闘するこの曲に絶大な説得力をもたらしています。
曲も充実度もさることながら、ウィーン・フィルの魅惑的な弦セクションの活躍する両端楽章の素晴らしさと言ったら、筆舌に尽くしがたいものがあります。もう冒頭から釘付けになりました。香り高く、振幅の広いむせぶようなヴィブラートを伴い、深い呼吸で歌うヴァイオリン。ああ、これぞウィーン・フィルの真骨頂!ここだけでもいいから、他の演奏と比べてみてください。その香りの高さは比較を絶しています。そしてその美しさはやがて冷徹な恐怖へを変わります。その対比の素晴らしさ。死と格闘しながらもどこか退廃的な美しさを湛えている、これこそこの楽章の真実ではないでしょうか。
三楽章は勢いにまかせるのはなく、しっかり地に足がおり、対位法の綾がクレンペラーの明晰な頭脳によって白日のもとにさらされます。勢いだけの力任せの演奏に比べたらなんと味があるのでしょう。コンマスのワルター・ヴェラーの色気のあるソロも最高。ハープの迷走も始めは驚きましたが、それが気にならないのは何故でしょう。単なる失敗に感じないのです。終わりもやみくもに騒ぐのでなくゆっくりと迫ってくる恐怖。
四楽章は絶唱。序奏だけでも世の中にあるマーラーの9番の名演と比べてみてください。何ですかこの弦の香りは!主題に入ってからも弦の美しさが筆舌に尽くしがたく、ただただ惚れ惚れするだけです。もうどこをどうと語るのが野暮に思われるほど、美しい。最後の弱音での消え行く様といったら!その美しさは人間の感情を超越した美しさなのです。

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コメント

クレンペラーファンとしては・・・

おはようございます。
来ましたね、クレンペラーのマーラー。
私は海賊盤時代からこの演奏を知っていますが、NPOとのスタジオ録音盤が圧倒的に
好きです。
VPO盤は、やはり荒い。
VPOとクレンペラーの相性はよくなかった、というのが、私の持論です。
というのも、クレンペラーがVPOを振ると、
バイエルン放送響やPOで聴ける、緻密な
楽器間のバランスが失われているように
感じるからです。
とはいえ、VPOとのブル5は超名演ですね。

  • 2006/10/15(日) 06:55:28 |
  • URL |
  • kyrie #-
  • [編集]

ウィーンフィルファンとしては

こんばんは。
ウィーンフィルの演奏を聞くとき私は、全体の音楽を聴いているのか、ウィーンフィルの音という音楽の一要素を聴いているのか分からない瞬間があります。今もTVのガラコンサートでVPOがオペラのアリアを伴奏をしているのを聞きながらなのですが、そんな"音”を聞く聞き方になっています。
ご紹介のクレンペラーのマーラーは未聴ですが、オケが外してハープが迷走しても、おっしゃるような両端楽章の弦の魅力があるなら、きっと私は満足すると思います。

  • 2006/10/15(日) 22:52:52 |
  • URL |
  • ダンベルドア #JWENFH7s
  • [編集]

フィルハーモニア盤

kyrieさん、
こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
フィルハーモニア盤も素晴らしいですね。ですが、このウィーン・フィルの魅力にも抗し難いのです。確かに楽器のバランスが悪かったり、アンサンブルの精度が悪いところはありますが、この魅力はウィーン・フィルしか出せません。ウィーン・フィルは世界一言うことを聞かないオケだそうなので、クレンペラーも細部まで指示を出していないのだと思います。いかに自主性を引き出せるかがこのオケの名演を生む条件のようですね。

  • 2006/10/16(月) 00:07:05 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

ウィーン・フィルの「音」

ダンベルドアさん、
こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
おっしゃることに全く同感です。ウィーン・フィルは「音」を聴く要素が他のオケよりも強いですね。ウィーン・フィルは世界一言うことを聴かないオケらしいので、自主性を引き出そうとすると必然的にウィーン・フィルの個性が強くなるように思います。それがこのオケを聴く魅力ですね。

  • 2006/10/16(月) 00:09:37 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
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  • 最近老け込んで、見た目もすっかり年相応になってしまったバカ親パパのサラリーマンです。最近は、仕事、子育て、親の面倒に追われ、音楽を聴く時間もまともに持てなくなってますが、ストレス解消に無謀な数のCDを買いつづけています。^^;

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