DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Schubert Symphony No.8(7)

Otto Klemperer
Wiener Philharmoniker


TESTAMENT (SBT8 135)



個人的にはこのクレンペラー/ウィーン・フィルの本命はベートーヴェンの5番なのですが、今回は「勝手にウィーン・フィルの日」への参加エントリですので、よりウィーン・フィルらしい演奏をエントリすることにします。
正直告白するとクレンペラーの「未完成」は面白くないものが多いと思います。スタジオ録音しかり、バイエルン放送響とのライブしかりです。クレンペラーの芸風により音楽が乾きすぎ、この曲の詩情を表現しきれていなく、堅苦しくてつまらないのです。しかしこのウィーン・フィルとの演奏は特別です。終演後に"schön!"「美しい!」という伝説的な掛け声(一説にはクレンペラー自身の声)が収録されています。本当に美しい演奏で「未完成」の上位に来てもおかしくない演奏です。
「未完成」には詩情と虚無が美しく融和していないといけないと思っていますが、ウィーン・フィルが前者を具現化し、クレンペラーが後者を具現化している、ゆえにこの演奏はこの組み合わせだからこそ生まれた名演だといえるでしょう。クレンペラーの格調高く冷たいまなざしをウィーン・フィルのまろやかで香りのある音が包み込む。ウィーン・フィルというオーケストラは本当に特別なオーケストラだと思います。この曲でも冷やかだが香りのある弦の音が奏功しています。この弦の響きに身を浸して凍えてください。冷たい香りをかいでください。
冒頭の低弦からもう温度が下がります。第一主題を奏でるウィンナ・オーボエの魅惑的な響きからウィーン・フィルの世界です。停滞する寸前でゆっくりと前に進み第二主題を静かに豊か歌うチェロとヴァイオリン。かと思えば、その後の身も凍りつくフォルテ!クレンペラーの芸風と、ウィーン・フィルの音が見事に融和されています。再現部の入りに迫り来る虚無!音楽が盛り上がってからは更に恐ろしく、そして刹那的な美を伴っています。美しくも恐ろしい、なんと不健康な音楽!「未完成」にはこの美しい虚無が絶対に必要なのです。このコンビは見事に表現しています。
二楽章の冒頭のヴァイオリンの透明感と寂寥感。第二主題の主題のシンコペーションの冷たい伴奏に乗って奏でられるクラリネットの寂寥感、そしてオーボエ。木管のソロも素晴らしいですが、弦の伴奏の意味深さも特筆すべきでしょう。その後フォルテに転じてからの恐怖。展開部の低弦とヴァイオリンの絡み合いも大変美しく、いったい何を不満に思うかといった感じです。消えてゆく最後など魂を抜き取られそうになります。これだけの演奏だとシューベルトの闇に引き込まれそうな恐怖を抱かずにいられません。

TESTAMENTの復刻盤には残念ながら終演後の"schön!"が収録されていません。DG盤には収録されていたのに残念です。

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コメント

こんにちは、毎回の含蓄あるコメントを拝見しております。
クレンペラー苦手なわたくしですが、
このシリーズの「未完成」、ベト4.5、「ドン・ファン」では再認識させられました。
音はテスタメント的なのでDGの方がいいかもしれません。

  • 2006/10/16(月) 11:44:30 |
  • URL |
  • orooro #5mKCzU.I
  • [編集]

勝手にウィーンフィルの日

そんなのがあるのですね。
面白いです。
今月アーノンクール&ウィーンフィルで『未完成』(&シューマンの『ライン』)を聴く予定なので、タイムリーなエントリありがたく(笑)勉強になります。
dokohoさんのエントリを参考に聴いてこようと思います。

  • 2006/10/16(月) 18:09:56 |
  • URL |
  • zauber-ton #ihf87pQc
  • [編集]

DG盤

orooroさん、
こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
このシリーズは「未完成」を始め名演ぞろいですね。スタジオ録音のようなクレンペラーらしさが薄い分、クレンペラーが苦手な方にも受け入れやすいかもしれません。
さて、TESTAMENTの音質ですが、「運命」でエントリしようと思っていたのですが、音が丸められて少しモノトーンになってしまっていて、DG盤のほうが好きです。多少金属的な音がするのですが、音の鮮度が違います。DG盤の復活を望みたいですね。

  • 2006/10/16(月) 22:39:40 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

ウィーンといえばzauber-tonさん

zauber-tonさん、
こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
ウィーン・フィルと言えばzauber-tonさん(笑)。専門家にコメントいただき嬉しいです。アーノンクール/ウィーン・フィルで未完成ですか。羨ましいですね。国際化が進んだといってもまだ個性豊かなウィーン・フィルですからきっと素敵な演奏になるんでしょうね。私も10年前くらいに舞台袖でクライバーの指揮で演奏を聴いたときは、それはそれはシビレました。なぜ舞台袖か?それはまた今度のお楽しみということで。

  • 2006/10/16(月) 22:44:07 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

クライバー!!!

なんて羨ましい・・・。クライバー好きな私はそちらのほうがずっと羨ましい!どんなに願っても没してしまった人には二度とお目にかかれないので(笑)
ちなみにクレンペラーも結構好きです。(とても素敵なところと???というところが入り混じるというのが私の印象ですが 笑)

ウィーンフィル専門家なんて恐れ多い(汗)ただ楽しんでるだけなので・・・。
ちなみに今月はウィーンフィル月間と勝手に命名(笑)すでに3回。あと4回行く予定です。

  • 2006/10/17(火) 18:41:37 |
  • URL |
  • zauber-ton #ihf87pQc
  • [編集]

実はバイト

zauber-tonさん、
いつもコメントありがとうございます。
実はですね、学生時代楽器運びのバイトをしていまして、世界のメジャー・オケが来日した際の楽器の搬入・搬出の手伝いを行っていたのです。なので演奏中は舞台袖で演奏を聴けることもありました。お金がなくて高価な演奏会には行けませんでしたから、ありがたかったです。その中で最も印象深かったのがクライバー/ウィーン・フィルの薔薇の騎士。舞台袖なので、音響はいまいちですが、それでもクライバーとウィーン・フィルの吐息が感じられて感動しました。カーテンコールでクライバーの曲がった鼻を見れましたよ(笑)。

  • 2006/10/17(火) 21:03:11 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

未完成が苦手な私です・・・

クレンペラーファンの私としては、やはり
スタジオ録音、あるいはバイエルンライブに
惹かれますね。
宇野先生はこのウィーンフィルとの
演奏がお気に召さないようで(^^;
私の世代では、DG盤はもう入手不可能です。
ヤフオクで10万で見た気がしますが・・・
「シェーン」、聞いてみたい・・・
ただベト4、運命は圧倒的にバイエルンの方が
素晴らしいです。
一年でこんなにも深化したのか、と思いたくなるくらい。

  • 2006/10/18(水) 08:35:52 |
  • URL |
  • kyrie #-
  • [編集]

BRSOライブ

kyrieさん、
こんばんは。コメントありがとうございます。
「未完成」が苦手でらっしゃるとは、もしかしてシューベルトが苦手ではありませんか?私もかつてシューベルトは全くシンパシーの無い作曲家でしたが、今では深く共感する作曲家になりました。
バイエルン放送響とのライブはどれも凄いですね。確かに運命などはバイエルン放送響とのライブのほうが上だと思いますが、このウィーン・フィルの演奏も独特の魅力があって好きです。一時は私もバイエルン放送響とのライブ一辺倒でしたが、年を取ったのですかね。一連のバイエルン放送響とのライブの中で唯一コリオランだけが正規盤で出ていないのですが、ご存知ですか?序曲を超えたものすごい演奏です。
コーホー先生は極端にテンポが遅くなければクレンペラーではないというステレオタイプがあるようでどうも共感できません。フィルハーモニアとのライブの第九なども素晴らしい演奏だと思うのですが。

  • 2006/10/18(水) 18:42:05 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]
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