DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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faure_requiem1893_herre.jpg

Faure Requiem version 1893

Philippe Herrewege
Ensemble Musique Oblique
La Chapelle Royale


harmonia mundi (HMC 901292)


昨日朝、妻の祖母が天国に旅立ちました。享年88歳、老衰。天寿を全うしたといえるでしょう。
初めて義祖母に会ったときは、まだ元気で、私の名前をしっかり覚えて下さっていました。しかし、私が結婚したときくらいから痴呆の症状が現れ、近年では妻のことすら分からないまでに痴呆が進みました。最近は寝たきりのことも多く、以前は妻の実家に帰るといつも曾孫の顔を見に来てくださっていたのですが、それもままならなくなっていました。ですが、義祖母が幸せだったのは、亡くなるまで長期に入院することなく、自宅で過ごし天寿を全できたことでしょう。最後は幼子に返って行くようでした。
本当は昨日エントリする予定だったのですが、昼に妻と子どもを空港まで送り、その後仕事に行って深夜まで働いたので、力尽きてエントリ出来ませんでした。そして本来独墺系を扱う拙ブログでは扱わないはずだったのですが、昨日は偶然、クラシックブログ共同企画「勝手にフォーレの日」であり、フォーレの曲と言えば、この演奏をエントリしたいとかねてから思ってました。フォーレのレクイエムとはベタですが、思い入れのある演奏なので、エントリします。
フォーレはレクイエムを改定しており、これは第2稿で通称「1893年版」と呼ばれているもので、オーケストラの編成が小さい版です。私は一般的に演奏されるフルオーケストラの第3稿よりも、小ぢんまりとしていて、素朴な第2稿のほうが好きです。この素敵な曲をヘレヴェッヘが唯一無二の演奏で聴かせてくれます。ヘレヴェッヘの合唱は本当に美しい。ヘレヴェッヘは人の声がこんなに美しいということを教えてくれた恩人です。ヘレヴェッヘは後に第3稿でも録音していますが、私はこちらの方が圧倒的に好きです。第2稿の素朴な響きもさることながら、ピエ・イェズのソプラノ独唱が圧倒的に素晴らしいのです。
私がこの曲で大好きなのはサンクトゥスとピエ・イェズ。サンクトゥスの清廉さは涙なしには聴けません。アルペジオに乗せて響く美しいソプラノ、テナー、そしてオブリガートのヴァイオリンのソロ。自分の心が浄化され、綺麗になっていくかのようです。
ピエ・イェズはもう言葉がありません。この曲のソプラノ独唱が大好きなのですが、この演奏でのアニエス・メロンの歌は筆舌に尽くしがたく、これが人の声とは思えない清廉な美しさです。ソプラノの独唱にありがちな嫌味なところが一切なく、究極まで昇華され、祈りに満ちています。フレーズの一つ一つが優しくそっと語りかけてきて、それが涙を誘います。本当に優しく話し掛けているようなのです。音楽であるいうことを忘れるほどです。まるで母体に帰るかのような安堵感に包まれます。伴奏も見事に寄り添っています。
そしてイン・パラディスム。オルガンの信号に乗せ響く無垢なソプラノ。これがこの世の響きなのか。

ヘレヴェッヘのフォーレのレクイエムは実演でも聴いています。それはそれは美しいレクイエムでした。人の声とはここまでも美しく響くものかと、心から感動しました。それからヘレヴェッヘのコンサートには足を運ぶようにしています。

義祖母がいなければ、妻もそして子ども達もいない。命のつながりに深く感謝し、この曲で追悼したいと思います。

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テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

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コメント

大往生だったのですね。
私の祖母二人は昨年一昨年と続いて亡くなっておりますが、双方とも90才過ぎでの大往生でした。
明治生まれのたくましさを感じました。
お別れは悲しいですが、天国から見守ってくれていると私は思っています。
合掌。

  • 2006/11/02(木) 22:01:01 |
  • URL |
  • ピースうさぎ #mQop/nM.
  • [編集]

安らかに

こんばんは。義祖母さまのご冥福をお祈り致します。レクイエムも色々ありますが、身近ということではフォーレの方が親しみやすいのではないでしょうか。私はBGM程度でしか聴いたことしかありませんので、そんな感じがします。ヘレヴェッヘはモーツァルトのレクイエムでは泣かされました。悪くいえばこじんまりしているのですが、親密な温かさを持っているように思います。話は変わってフォーレののピアノ五重奏曲で有名でない第一番ニ短調作品89 この出だしのピアノのアルペジオに昔よく泣かされました。私の最初のピアノ先生がよく弾いてくれたものです。フォーレのピアノのアルペジオは彼のピアノ曲の代名詞みたいなものですがそれにしてもよく書けています。騙されたつもりでためしに聴いてみて下さい。

  • 2006/11/02(木) 22:08:06 |
  • URL |
  • calaf #-
  • [編集]

このたびは大変なことでしたね。
謹んでお悔やみ申し上げます。

へレヴェッへのフォーレは聞いたことがないのですが、そのコーラスの美しさはバッハのカンタータでよく聞いております。
ぜひ聞いて見たいです。

  • 2006/11/02(木) 23:07:12 |
  • URL |
  • ダンベルドア #xxUL.Pt6
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  • 2006/11/03(金) 01:11:25 |
  • |
  • #
  • [編集]

命のつながり
お悔やみ申し上げます。
配偶者の父、母、そして祖父、祖母。この人たちが存在したということは、非常に重要で命のつながりの神秘に驚かされます。
ヘレヴェッヘ好きですね。私は1枚も持っていません。フォーレのレクイエムは一応有名なクリュイタンス盤を持っています。レクイエム系はめったに聴かないですね。

  • 2006/11/03(金) 10:08:05 |
  • URL |
  • 穂吉 #-
  • [編集]

大往生

ピースうさぎさん、
こんばんは。お悔やみのお言葉ありがとうございます。
私の祖父母は大正生まれですが、気骨があり、学ぶところが多かったです。祖父は晩年悪性リュウマチを患って長く入院していましたが、体がボロボロになりながらも、その目の強さには驚かされました。

  • 2006/11/05(日) 02:35:20 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

フォーレのP5

calafさん、
こんばんは。お悔やみのお言葉ありがとうございます。
ヘレヴェッヘのモツレクはベームの刷り込みからか最初は軽く感じましたが、とても味わい深いです。私も好きな演奏です。古学嫌いなcalafさんがヘレヴェッヘがお好きとは意外でした。
ところでフォーレのP5はどちらもいい曲ですよね。おっしゃる1番のアルペジオ、本当に美しいです。私のお気に入りの演奏はあのアウリンSQのものなんです。いずれ紹介したいです。機会があったら御購入をお薦めいたします。

  • 2006/11/05(日) 02:38:59 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

ヘレヴェッヘ

ダンベルドアさん、
こんばんは。お悔やみのお言葉ありがとうございます。ヘレヴェッヘのバッハのカンタータは私も好きです。バッハがかくも美しいのかと感動しました。このフォーレも是非ともお聴きになってください。きっと宝物になると思いますよ。

  • 2006/11/05(日) 02:45:35 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

命のつながり

穂吉さん、
こんばんは。お悔やみのお言葉ありがとうございます。
命のつながりというのは本当に不思議です。御先祖様には感謝をしなければならないといつも感じています。私は諸事情により父方の祖母の葬儀に出られなかったのですが、霊前に手が合わせられなかったのがずっと心残りで、昨年やっとお墓参りが出来たとき、心の中で何度も謝りました。御先祖様は大切にしていきたいですね。
このフォーレのレクイエムを聴かないのはもったいないですよ、クリュイタンスもいいですが、是非ともヘレヴェッヘも聴いてみてください。

  • 2006/11/05(日) 02:48:08 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

お悔やみ申しあげます

こんばんは。
88歳といえば確かに大往生かもしれませんが、残されたものとしては、やはり寂しいですよね。
心よりお悔やみ申しあげます。

ところで、dokuouさんが選ばれた音楽がフォーレのレクイエムときいて、なるほどと思いました。
実は、昨年私の大切な先輩が癌で急逝しました。あまりに突然のことだったので、しばらく呆然としていましたが、まず何か聴こうと手にとったのはモーツァルトのレクイエムでした。
しかし、プレーヤーにセットまでしたのですが、そのときの気持ちとしては「強い」気がして、結局聴けませんでした。そのかわりに選んだのが、dokuohさんと同じフォーレのレクイエムでした。
なにか不思議な気がします。

  • 2006/11/05(日) 18:26:36 |
  • URL |
  • romani #8DRVcpnw
  • [編集]

何故フォーレか

romaniさん、
こんばんは。お悔やみのお言葉ありがとうございます。
romaniさんの御先輩の記事は拝見しておりました。フォーレのレクイエムには「怒りの日」が無いなど、通常のレクイエムの形式とは異なり、故に批判を受けたことがあったみたいですね。フォーレ独自の死生観に由来するのでしょう。死を安らぎとして捉えていることに、この曲独特の魅力があるのかもしれません。

  • 2006/11/05(日) 20:38:46 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

お悔やみ申し上げます。

こんばんは。
祖母に旅立たれる寂しさは人一倍判りますので、奥様のお心、そして傍にいらっしゃるdokuohさまのお心、お察しいたします。

数年前、恩師が急逝した際の葬儀で、故人の遺言によりこのレクイエムが故人の生徒たちによって生演奏されていたのを耳にし、『この曲は恩師を天へと導いている』と強く感じ、かくも音楽はこんなに美しいものかと悲しみの中に思った記憶があります。

きっと義祖母様のもとにもdokuohさまのお心が届いていると思います。

  • 2006/11/05(日) 22:18:36 |
  • URL |
  • zauber-ton #ihf87pQc
  • [編集]

レクイエムの力

zauber-tonさん、
こんばんは。お悔やみのお言葉ありがとうございます。
この曲を葬儀に流したいという方は多いですね。この曲には独特の力があると思います。本当に美しい曲ですね。暖かいお言葉ありがとうございました。

  • 2006/11/06(月) 00:11:08 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]
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