DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Bruckner Symphony No.5

Sergiu Celibidache
Münchener Philharmoniker


Altus (ALT138/9)



最近ここ数年の中では珍しく、ブルックナーを聴く機会が増えています。仕事が多忙で少なくなった鑑賞時間の中でもブルックナーを聴く時間の比率が高いのです。仕事が忙しいときなどは室内楽ばかり聴くのが常でしたので、自分でも珍しい現象と言えるでしょう。というのもこのチェリビダッケの素晴らしい演奏に触れ、久しぶりにブルックナー熱が上がっているのからなのです。

この演奏はサントリーホールの柿落としに行われたもので、チェリビダッケから録音の許可が下りなかったにも関わらず、密かに録音され、その後お蔵入りしていたものだそうです。チェリビダッケの正規盤のブルックナー演奏にはその凄さを伝える演奏が少なかったので、チェリビダッケの演奏の本当の凄さを伝えた録音が今回発売されたことは、慶賀の至りと言えるでしょう。このブルックナーの5番はヨッフム最後のライブ録音と共に、私の中のベストの演奏になりました。
以前から書いていますが、チェリビダッケのテンポは生理的発露ではなく、計算された作為的なものであると思うのです。ゆえに人間の生理とずれが生じたとき、そのテンポ感、フレーズの処理に違和感を感じることが時々あります。しかしこの演奏はその作為が究極まで突き詰められ、ついに神化してしまった演奏です。全く違和感がなく、全てに必然性を感じるのです。
また、鳴っている音全てが天空から降り注ぐようで、想像を絶した美しさです。全ては完璧に調和し、大宇宙の法則に従って鳴り響いています。何度聴いても聴きながら恍惚としてしまいます。チェリビダッケ/ミュンヘン・フィルの凄さはフォルテにあります。巨大でありながら決して濁らない透明なフォルテ。迫ってくるのに体の中をふわっと通り過ぎていくフォルテ。これがブルックナーの本質と見事にマッチしています。
更に素晴らしいのが録音です。EMIの正規盤は会場とエンジニアの嗜好のせいか、「響き」よりも「音」を大切にした録音でしたが、この録音は「響き」を大切にしています。各楽器の音が見事にブレンドされ、美しく響きます。こんな録音は他で聴いたことがありません。録音としても芸術的と言えるのではないでしょうか。この素晴らしい録音がそのフォルテの素晴らしさを白日の下にさらしています。
もう全てが素晴らしいので、どこをどうという気にもなりません。
一楽章はフォルテの素晴らしさだけなく、弱音での美しさが際立っています。展開部(12:26)からのヴァイオリンの美しい調べに乗せて、フルートとクラリネットが冒頭のピッチカートのモティーフを奏でるところなど、信じられないくらい美しく溜息が出ます。
二楽章は絶美。遅いテンポながら、終始緊張感を保っています。私は第二主題を美しく深々と響かせてくれないとだめなのですが、チェリビダッケは完璧です。ここで私を最後まで納得させてくれたのはヨッフムとこのチェリビダッケしかいません。ふわっと湧き出るように現れる第二主題、冒頭のCの持続音の後にふっと音量を落とすところなど、この世の音楽とは思えません。フォルテになってから旋律を奏でるヴァイオリンの一音一音に説得力があり、胸を打たれます。どんなフレーズも究極まで磨かれ、一つとも無意味に響くことがありません。全ての音に神が宿っています。
三楽章はテンポが遅いのに一切弛緩せず、緊張感が持続し全くだれません。そのテンポが巨大なスケールを生み出しています。
四楽章は壮絶としか言いようがありません。特に(20:30)以降の盛り上がりは涙無しに聴けるでしょうか?コーダ前のホルンの信号と共に登りつめるところなど、呼吸が荒くなり息ができなくなります。そしてやってくる宇宙規模の巨大なコーダ。明らかに回りの空気が異質なものに変貌していきます。弦のトレモロは天空から降り注ぎ、金管の音は遥か数万光年彼方の星々に届くかの如く鳴り響きます。既にこれは音楽ではありません。

チェリビダッケの実演を聴けなかったのは返す返す残念ですが、こうやって実演に近いといわれている録音を聴けて幸せ一杯です(逆に生で聴かなかったのは幸せだったのかもしれません、命すら危うかったかもしれないですから)。何度でも何度でもこの響きの中に身を浸していたい、そう思わずにいられません。

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テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

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コメント

こんにちは
こういう演奏が出てきたのですか。
チェリビダッケのブルックナーはあまり知らないのですが。

>濁らない透明なフォルテ
>録音としても芸術的

この記事を拝見して是非聴いてみたいと思います。

  • 2007/02/27(火) 00:19:33 |
  • URL |
  • ダンベルドア #-
  • [編集]

人類の宝です

ダンベルドアさん、
こんにちは。いつもコメントありがとうございます。
EMI盤でがっかりさせられていたので、この演奏には驚きました。演奏、録音ともに最高だと思います。是非ともこの美しいフォルテに身を浸してみてください。

  • 2007/02/27(火) 12:28:12 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

サントリーホールのこけら落とし演奏とは、久々の更新にふさわしい1枚ですね。私も発売初日に購入しましたが、実はあんまりしっかりと聴けていません。気持が、ブルックナーの大きさに向かっていけないんです。でもこのように書かれているのを読むと、ちょっと元気でますね。近々しっかり聴いてみよう。

ところで私のブログにリンク張らせて頂きました。ご迷惑でなければ、またこちらに立ち寄らせて頂きます。

  • 2007/03/01(木) 11:40:37 |
  • URL |
  • キンキン@ダイコク堂 #e5IlcSHg
  • [編集]

大変ご無沙汰しております

キンキンさん、
大変ご無沙汰しております。再びこうやってコメントいただけてとて喜んでおります。どうもありがとうございます。
チェリビダッケのこのブルックナーは巨大でありながら、意外と軽量なので繰り返し聴いても胃がもたれません。その透明さからか音の質量が低い気がします。小さめの音量でBGMがわりに聴き始めてはいかがでしょうか。
リンクの件ありがとうございます。迷惑なんてとんでもありません。これからもコメントいただけると幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。

  • 2007/03/02(金) 13:03:15 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]
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