DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Mozart Sinfonia Concertante for Violin, Viola and Orchestra K364

Yakov Kreizberg
Julia Fischer (Vn)
Gordan Nikolic (Vla)
Netherlands Chamber Orchestra


PentaTone classics (5186 098)



私の中の「ミューズ」というと、今まではジャッキー(ジャクリーヌ・デュ・プレ)でした。では最近の「ミューズ」は誰かというと、若きヴァイオリニスト、ユリア・フィッシャーです。国際的なコンクールに8回出場し、全てに優勝、弱冠23歳でフランクフルト音楽大の教授、エッシェンバッハがあらゆる援助を惜しまないと賛辞を送ったという天賦の才能の持ち主です。コンクールでの優勝のうちヴァイオリンで5回、ピアノで3回というのだから、神はときに二物を与えるのだと思わずにいられません(しかも私好みのなかなかの美人!)。そのような彼女が選ばれし者であり、現代のミューズであるということに賛同してくださる方も多いのではないでしょうか。
かといって彼女のヴァイオリンはデュ・プレの音楽に比べると優等生的であり、個性が薄いと言われてしまうのは致し方がないでしょう。同年代のヴァイオリニスト、ヒラリー・ハーンと比べても「微温的」かもしれません。しかし、彼女の演奏の素晴らしいところは、テクニックはもちろんのこと、知と情のバランスにあり、それに女性ならではの甘、艶のスパイスがほどよく加わるのです。このバランス感覚の良さで実に豊かな歌を聴かせてくれます。鬼神の如き演奏も嫌いではないですが、最近はこのような演奏を好むようになりました。

さて、協奏曲が苦手な私の中でもこのK364は特に好きな曲の一つで、頻繁に聴きます。今まではデュメイ/ハーゲンの演奏を好んで聴いていましたが、それを上回る名盤に出会えました。
短調好き、メロドラマ好きの日本人はどうも二楽章を贔屓にしすぎる嫌いがありますが、私が好きなのは若々しく生命力溢れた両端楽章です。この曲を聴くと体中の細胞が悦びに満ち溢れ活性化していくようなそんな感じがします。悲劇でもないのにその悦びに何度も涙が出てしまうのです。

クライツベルクの棒は誠に素晴らしく、一楽章冒頭から音楽が実に活き活きとしており、聴いていてとても幸福な気持ちになります。しかも音楽は弾みながら決して音が硬くなることがなく、音が潤いを失いません。オランダ室内管の音も程よく甘味があり、美しい響きを聴かせてくれます。(4:50)からの音楽の持つ生命力!こんなに活き活きした音楽はそうあるものではありません。
これにフィッシャーの瑞々しく美しいヴァイオリンが見事に絡み合います。独奏が始まってからのなんという瑞々しさ!彼女のヴァイオリンは本当に美しく、程よく主張しながらオケと調和しています。フレージングに一切の無理がなくとても自然で、モーツァルトの無垢な魂を伝えて止みません。ヴィオラのニコリッチの音楽性も素晴らしく、決してフィッシャーのヴァイオリンに負けていません。彼はロンドン響のコンマスであり、この演奏を行っているオランダ室内管の音楽監督でもあるそうなので納得です。

二楽章は過度に感傷的にならず、音楽は陳腐にならずに格調を保っています。この楽章を陳腐なムード音楽にするかしないかで、音楽家のセンスが問われるような気がします。冒頭のフィッシャーの独奏からほのかに切ない甘味を持ちながらも凛としており、その甘味が心に染み渡ります。オケの音の繊細さ、優しさも特筆すべきで、(2:37)、(3:53)、(6:40)などの情感たっぷりの美しい歌に何度も心打たれ涙します。遠鳴りするカデンツァにはどうしようも哀しみが宿っています。この二人のセンスのよさと間合いの絶妙さといったら!

三楽章も一楽章同様音楽は活き活きと息づき、聴いていてとても幸せな気分になります。

フィッシャー/クライツベルクのコンビに一切のハズレはなく、今のところほとんど購入するようにしています。ヒストリカルではなく、現代のアーティストの新譜にワクワク出来ることが少ない時代にあって、非常に貴重な存在です。
それにしてもメジャー・レーベルの没落ぶりと比べ、このようなマイナーレーベルが頑張っているのは嬉しくなります。このPentaToneのようにマイナーでも素晴らしい演奏家を発掘できるレーベルに期待したいと思います。

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