DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Beethoven Symphony No.9 "Choral"

Herbert Kegel
Rundfunk-Sinfonieorchester Leipzig
Gewandhaus Chor


WEITBLICK (SSS0066-2)



全く不思議な第九です。熱気が無いかというとそうではない。しかしながら、これが歓喜の歌かといわれれば、それは違う。そこには歓喜があるのではなく、神秘へ開かれた扉があるのです。第九の裏に透けて見える神秘の世界。そこは天国か地獄か、はたまた人類の知りえない未知の領域か。
ケーゲルらしい透明感溢れ厳粛な演奏ですが、先に紹介したA・ヤンソンスの演奏とは異なった雰囲気があります。緊張感溢れた張り詰めた病的に透明な響き。ケーゲル特有のハーモニーに対するこだわりがあり、響きは濁らず病的に美しく、透明感があります。基本はインテンポでテンポを動かさず粛々と音楽が進みます。しかし、四楽章のようにいきなりあっと言わせるようなデフォルメがあり、これがケーゲルらしいところでもあります。
スタジオ録音よりも緊張度が高く、響きも深く、異色の名演となりました。対峙するのに相当な覚悟と緊張を必要とする特異な演奏です。その危険な魅力を享受してみようではありませんか。

一楽章は宇宙創造の神秘そのものではないでしょうか。その一切劇的なところのない深遠な響きはまるでブルックナーの9番一楽章のようで、聴く者を未知の世界へ誘います。その深さに足元をすくわれ、恐怖さえ感じます。透明な響きの向こうには神秘の世界への扉が開いている!足を踏み入れることを躊躇しなければならないほど恐いのです。

二楽章は一楽章に迫る深さで底が見えません。トリオへの追い込みなど凄まじい。

三楽章の悲しくなるまでの美しさは、決して肯定的なものではなく、心に冷たい水滴を残し体を通り抜けていきます。切ない、どうしようもなく切ない。しかし、その切なさのなんという美しさ!この冷たい美しさに身を浸すのが恐いのです。低弦に導かれ開かれる第二主題の世界(3:08)の美しさはいったいなんなのか!トランペットの警告音の後の低弦のうなるどうしようもない寂寥感(12:46)!信じられない音楽が繰り広げられます。

四楽章冒頭、所々デフォルメされた低弦のレチタティーヴォの呻き声も強烈です。本当に楽器が言葉を喋っている!弦によって奏でられる歓喜主題は透明で冷たく美しく、その冷たい流れに体を浸すと、体が硬直し涙が止まりません。

合唱の上手さはさすがケーゲル。独唱もレベルが高く、安心して聴いていられます(音楽自体は安心できないのですが)。合唱部分はA・ヤンソンスの演奏のように厳かで、祝典的狂乱からは無縁です。音楽は決して盛り上がりません。ケーゲル自身、この音楽に否定的な意見を持っており、乱痴気騒ぎには我慢がならなかったのでしょう。何とも不思議な音楽で、独特の浮遊感すらあります。アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェの後から繰り広げられる、宗教音楽かと思わせる信じられないほど透明な音楽には唖然とさせられます。ケーゲルは第九で全く別の音楽を創造してしまった!そこにあるのは高貴な祈りか、はたまたこの楽章を蔑んだ冷徹な理性か。ケーゲルの作り出す透明なハーモニーがそれを助長しています。コーダはばっちり決まりますが、聴き終えたあとのこのけだるい疲労感はいったい何なのでしょう。

この演奏は何かの記念に聴くというのには、全く不向きな演奏です。しかし、この深遠な世界は聴くも者の心をつかみ離しません。もしかしたら、このケーゲルの演奏はかのフルトヴェングラーの演奏すら超えてしまった、その先の世界を描出した特異な演奏なのかもしれません。

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