DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Tchaikovsky Symphony No.6 "Pathetique"

Ferenc Fricsay
Symphnieorchester des Bayerischen Rundfunks


ORFEO (C 200 891 A)



「悲愴」を語る上で、この演奏は絶対に欠かせません。

フリッチャイこそは長生きしていればフルトヴェングラーを超えるとさえ言われた指揮者ですが、この演奏を聴くからに既に超えていたのではないかと確信させる、これ以上ありえない高みに達した演奏です。録音されながら永くお蔵入りし、近年ようやく復刻され有名になったスタジオ録音が軽く霞みます。フリッチャイの最高傑作というだけでなく、オーケストラ演奏史上の至宝と断言することに微塵の躊躇もありません。
決して不用意に聴いてはいけない、聴く者にまるで精神修養を強要しているかのようで、覚悟を決めなければ簡単にその壮絶な音楽に打ちのめされます。それは自らの血肉を削り取り、生命を削り取りながら音にしているからで、その力にはどんな音楽も太刀打ちできるわけがありません。いくら不治とも言われる難病に犯されたとはいえ、なぜここまで自己を犠牲にして音楽に取り込むのか。そのフリッチャイの悲痛な覚悟に沈痛な思いを抱くとともに、畏敬の念を禁じ得ません。

一楽章冒頭のファゴットからフレージングが見事で、いきなり強烈に聴き手に訴えてきます。その訴える力の強さは他の追随を許しません。これほどまでに聴き手の心と共振し、振るわせる音楽があるでしょうか。展開部前の静寂はまるで嵐の前の遠鳴りする雷鳴のようで、その後の恐ろしい嵐を予感させます。展開部が始まる静寂を切り裂くトゥッティからの全ての音が痛い。人間をなぎ倒す凶暴な漆黒の闇が襲ってきます。ただ大音響や音の迫力だけのハッタリではなく、命を駆けた魂の叫びがそこにはあるのです。ティンパニ音一つとってみてもなんと深く、意思を持った音か!

ただ悲痛な表情を濃厚に奏でるのだけでなく、二楽章では弦が実に艶かしく豊かに歌い、その歌の濃厚さはあのジュリーニすら及びません。しかも、ただ官能的なだけでなくどうしようもない憂いを含んでいるのです。これほど影のある二楽章を他には知りません。

三楽章も唯一無二。テンポが揺れても決して崩れない強固な構築感、崩れるぎりぎりのところで踏みとどまるしなやかさを持った強靭なフレーズ、フリッチャイならではの至芸でしょう。シンバルが入る前にリタルダンドし、テンポをぐっと落とし、大地に杭打つかのように音を刻み込む。最後はテンションが高く盛り上がりますが、決してお祭り騒ぎにならずに厳粛さを保って壮絶に終わります。

そして四楽章。絶命の歌は世の中にこれ以上に悲痛な歌があるのかと思わせます。死に際した人の叫び声のようで痛々しくて聴いていられません。フレーズ一つ一つ、どれ一つとして浅はかに響くことはなく、全ての音に魂が宿っています。最後の慟哭はもう何も語る気になれません。ただただ涙がこぼれ、聴き手も音楽と一緒に慟哭するだけです。

命と引き換えにしてでも芸術の力を信じたフリッチャイ。余人が例え全く同じ才能を持ったとしても決して為し得なかった人類最高の芸術に敬意を表したいと思います。

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コメント

こんばんは。
TBありがとうございます。
「スタジオ録音が軽く霞む」
「オーケストラ演奏史上の至宝」ですか。
相当に凄そうですね。
是非聴いてみます。
今、ネットで探したらオンラインショップには見当たらなかったので今度ショップ言った時に探して見ます。

  • 2008/02/19(火) 00:13:19 |
  • URL |
  • ダンベルドア #-
  • [編集]

ありましたよ

ダンベルドアさん、

こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
この演奏、普通にHMVのオンラインショップにありますよ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/151172

とにかく何も言わずに聴いてみてください。打ちのめされること確実です。

  • 2008/02/20(水) 20:53:35 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]
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