DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Beethoven Violin Sonata No.5 "Spring"

Wolfgang Schneiderhan
Carl Seemann


DEUTSCHE GRAMMOPHON (00289 477 5502)



冬から春への変化は劇的です。全てが一気に明るく変化します。いたるところに桜の花が咲き誇り、心から日本人で良かったと感じる瞬間です。一方、「春眠不覚暁」で、仕事は相変わらず忙しいのに、眠くてたまりません(単に寝不足なのもありますが)。寝ることが大好きな私にとって最高の季節です。朝布団から出たくありません(笑)。

春といえば、ベタですがこの曲。目覚めの曲にもぴったりです。ヴァイオリン・ソナタは得意な分野ではありませんが、この演奏なら抵抗なく受け入れることができます。私がこの演奏に接したのが小学校の頃で、それ以来ブランクはあるものの、愛聴し続けている演奏です。

シュナイダーハンはかつて「神童」と呼ばれ、若くしてウィーン・フィルのコンマスに就任したヴァイオリニストですが、現在では忘れられつつあるのでしょうか。彼のヴァイオリンには気品があり、貴族的な香りがします。ヴィブラートは振幅が狭く控えめで、決して過激に走らず、抑制され、統制されています。一聴するとぶっきらぼうに聴こえるかもしれません。しかし、そこにはテクニックを誇示しようとか、驚かせようとかいう下品な恣意的さは一切なく、ただ音楽を等身大に美しく奏でようとする音楽家の姿があります。また彼の凄いところは、音は線が細くありながら、音楽の骨格はしっかりしているところにあります。残念ながら現代ではこのようなヴァイオリンは聴かれなくなりました。

冒頭から汗臭さとは無縁で気品があります。スケールは決して大きくありませんが、正に「心に染み入る」音楽です。明るく気品がある中に、ほんのり影があり、それが音楽を含蓄深いものにしています。決して分かり易くないですが、じわじわと感動します。再現部でテーマが短調に転調して物悲しく奏でられるところ(6:26)などシュナイダーハンの真骨頂でしょう。

二楽章のゼーマンの絶妙な伴奏と共に、しっとりした味わい深さも最高です。

四楽章は明るくも決して脳天気にならならず、常に気品を湛え、決して品格を失わないのが素晴らしい。

シュナイダーハンといい、ゴルドベルクといい、こういったヴァイオリニストの奏でる音楽の含蓄は、何事も安易に走りがちな現代では理解されにくくなってきているのかもしれません。それでも一部の理解あるファンから根強く人気があるのは、忘れられつつありながらも、そこに普遍性があるからではないでしょうか。

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コメント

桜前線、今年は関東が早いようです。お変わりありませんか。シュナイダーハンの「春」、私も持っていたので早速聴きました。いいですね。品があって。これで録音が良ければもっといいのに。カール・ゼーマンはモーツァルト/ピアノ・ソナタ集を愛聴しています。木質の、いかにも「手づくり」という感じがします。中学生の頃、清掃時間に流れていた「トルコ行進曲」は、この人の演奏ではないかしら?  そんな気がします。

シュナイダーハンとゼーマン

あきさん、

こんばんは。コメントありがとうございます。
シュナイダーハンの「春」をお持ちとは!本当に素晴らしい演奏ですね。個人的にはオイストラフよりもいいと思っています。
ゼーマンもいいピアニストですね。私もたしか昔この人のモーツァルトを聴いた覚えがありますが、どんな演奏か覚えていないので、機会があったら是非聴いてみたいと思います。

  • 2008/03/29(土) 21:39:06 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

こんにちは。シュナイダーハンは10代から20代にかけてよく聴きました。当時はレコードをほとんど所持しておりませんでしたので、もっぱらFMでしたが、多数のチェックのカセットが残っております。往年の音楽評論家大木正興がよく薦められておりました。地味いや滋味な音楽家ですね。ゼーマンはバッハのCDでお世話になりました。こちらも絵に描いたような学者タイプ音楽ですがつぼは押さえてあり、堅苦しくなく、いわゆるオーソドックス、個性的では分何度聴いてもあきません。

枯れすぎ?

calafさん、

こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
calafさんもシュナイダーハンをお聴きになっていましたか。確かに地味ではなく滋味ですね。
最近こういう演奏のほうがツボにはまるんですよ。枯れすぎですかね(苦笑)。

  • 2008/03/30(日) 11:57:49 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

お返事、有難うございました。あれからシュナイダーハンの演奏をもっと耳にしたくなりまして、モーツァルトのVn.ソナタのなかの 2曲 を聴きました。
第24番 ハ長調 と、第41番 変ホ長調です。ハ長調ソナタは快活ですから、聴いてるこちらの気分も明るくなります。K.481は、いつもアダージョに心を惹かれます。ここは変イ長調という調性もあって~フラット4つですね~当時の貴族のお嬢様方には難物でしたでしょう。シュナイダーハンのヴァイオリンは無論、ゼーマンのピアノが美しく旋律を紡いでゆくその様子は、古い録音からもよく聴き取れました。
dokuoh さんのお蔭で久しぶりに堪能いたしました。改めてお礼を申します。

シュナイダーハンのモーツァルト

あきさん、

こんにちは。御丁寧にありがとうございます。
シュナイダーハンのモーツァルトは気になっていながらまだ未購入です。モーツァルトのヴァイオリンソナタはゴルドベルクを愛聴していますが、ルプーの伴奏が過剰にロマン気質過ぎてミスマッチに思いますが、きっとこのコンビならば、素晴らしいに違いありません。以前国内盤で出たシュナイダーハン・エディションは限定盤で、すでにHMVのネットショップから消え初めているので、CDショップで探したいと思います。
御紹介いただきありがとうございます。

  • 2008/03/30(日) 13:28:20 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

自分自身への警鐘

こんばんは。グールドを知ってから、自分の好みが大きく変わりました。何かしら先鋭的でない演奏は「平凡」と片付けてしまうのです。ピアニストでいいますと、ワルター・クリーン、ゲザ・アンダなど、弦楽器奏者も同様です。ところが音楽はどこといって特徴のない普通が一番いいのではと最近思っています。シュナイダーハンの演奏はそのような意味で自分自身への警鐘です。

両刀

calafさん、

こんばんは。再びコメントありがとうございます。クリーン、アンダ・・・私の大好きなピアノストじゃないですか(笑)。
個性が強いのも弱いのもどちらも音楽として成り立つし、感動的な音楽になりうると思います。二元論で語るのではなく、両方楽しみたいものです。ただ、私は逆に個性的、先鋭的な演奏があまり受け付けなくなりました。フルトヴェングラーでさえもです。枯れすぎでしょうか。

  • 2008/03/30(日) 20:38:31 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

「春」つながりでメールします。随分昔、NHKで榮子という調律師がチェコの街や田舎を旅する「春・音の光」というドラマがありました。旅情を誘う映像でした。私はいまでも春と聞けばあのドラマを思い出します。
もっとも使われていた音楽はドヴォルザークではなく、チャイコフスキーの弦楽セレナード。刷り込みは恐ろしいもので、この曲から連想するのはチェコの風景になりました。私はメンゲルベルクの非常に古い録音を聴いています。

メンゲルベルク

あきさん、

こんばんは。コメントありがとうございます。
チャイコフスキーの弦セレで春ですか。面白い組み合わせですね。そして弦セレからチェコ・・・人の感じ方、音楽の持つ背景というのは千差万別でそこが良いところだと思います。ですので天邪鬼dokuohの言うことは話半分に聴いてください(笑)。
メンゲルベルクの弦セレとは悲愴から想像するに、濃厚そうですね。聴いてみたいです。

  • 2008/04/02(水) 00:04:45 |
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  • dokuoh #TquaeRfg
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  • 最近老け込んで、見た目もすっかり年相応になってしまったバカ親パパのサラリーマンです。最近は、仕事、子育て、親の面倒に追われ、音楽を聴く時間もまともに持てなくなってますが、ストレス解消に無謀な数のCDを買いつづけています。^^;

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