
Mozart Overtures
Hans Vonk
Staatskapelle Dresden
DELTA (15 885)
フォンクの演奏で一番慣れ親しまれているのは、このモーツァルトのオペラ序曲集でしょう。格安の値段からは信じられない超一流の名演揃いです。私の中では同曲集のベストであり、宝物の演奏です。
モーツァルトのオペラ序曲集と言えば、モーツァルトを得意としたドイツの二つの歌劇場のオーケストラ、シュターツカペレ・ドレスデンとシュターツカペレ・ベルリンの演奏が好みで、後者はスイトナー、前者はコリン・デイヴィスとこのフォンクの演奏を好んで聴いています。
ここで聴くドレスデン・シュターツカペレの音は、スイトナー、ブロムシュテット、コリン・デイヴィスで慣れ親しんだ音とは少し異なります。リズムの切れは多少減じているものの、まろやかさや滑らかさが数段増しており、これがフォンクの真骨頂でしょう。とにかく響きが美しい。シュターツカペレ・ドレスデンの美質が倍増されています。
暖かくまろやかで品のある音色、適度に弾むリズム、極めて自然な豊かな歌。もうそれだけでモーツァルトは微笑むのです。
「魔笛」冒頭の和音からもう惚れ惚れするほど美しく、その後の序奏の美しさなど言語を絶しています。これを聴いて幸せにならない人がいるでしょうか。「フィガロの結婚」、「劇場支配人」の自然なリズムの躍動も素晴らしい。
フォンクとシュターツカペレ・ドレスデンの相性は最高だっと思うのですが、残されている録音で手に入るものは少なく、管弦楽のみではこの演奏しかないのではないでしょうか。素晴らしい実力を持っていながら録音に恵まれなかったのが残念でなりません。
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