DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Brahms Symphony No.4

Hans Vonk
Saint Louis Symphony Orchestra


PentaTone (PTC 5186318)



告白しましょう。私はこの演奏を聴いて本当に何年かぶりにブラームスの4番を聴いて号泣したのです。

ここにはクライバーの颯爽さ、ザンデルリンクのような重厚さもありません。ひたすら誠実に丁寧に歌が紡がれていきます。一音たりと弾き流されることはなく、一音一音が大切に奏でられます。それゆえの独特の透明感があります。ここにはブラームスの音楽に不可欠だと思われていた「うねり」がありません。ブラームスの音楽にはうねりがないと感動できないのか?否。この感動はうねりに巻き込まれて心揺さぶられる感動ではなく、内側からジワジワと共感し、それが広がっていく感動なのです。恐らくこの演奏を聴いてなぜそこまでに感動するのかとお思いになる方も多いでしょう。もしかしたら、そこにあるのがブラームスの音楽の本質ではないか、今まで気がつかなかったブラームスの音楽の本質にまた一歩迫ることが出来たのではないかと、あらぬ自己満足の妄想を抱いているのです。

フォンクの音楽は一聴素っ気なく、平凡に聴こえます。しかし耳をそばだて感覚を研ぎ澄まして耳を傾けると、そのフレージングの見事さに驚きます。フレーズの浮き沈みが緻密に計算され、全体としても構成感を失っていません。音量は見事にコントロールされ、絶妙なデュナーミクがフレーズに奥行きを与えています。またそれが自然でチェリビダッケのような人工臭がしません。「職人肌」とは「天才肌」に対するアンチテーゼとして用いられ、天才肌の指揮者よりも一段低い扱いを受けていますが、私は最上の賛辞としてこの言葉を用いたいと思います。いったいここまで音楽と深く共感し、理解している音楽家が何人いるでしょうか。
また驚くべきはその音色です。およそ、アメリカのオーケストラとは思えないまろやかで豊潤な音がするのです。淡いワインレッドの音。これはフォンクの芸風によるところが大きいのでしょう。前回のドレスデン・シュターツカペレと同質の美質を兼ね備えており、オケの力だけではないということが分かります。そして、聴いていて最も感じることは、オーケストラのメンバーの奏者のベクトルがそろっており、大変共感に溢れているということです。これが更に音楽を感動的にしているのでしょう。その共感の深さに心打たれます。

一楽章は一聴素っ気なく聴こえるでしょう。ですが、丁寧に奏でられた綿雪のように繊細な第一主題は心にふっと溶けていくようです。決して枯れてはおらず、適度な緊張感が保たれています。

二楽章は絶美。第一主題変奏(2:42)の優しさに満ちた美しさ!フレーズ一つ一つが優しく語り掛けてきて慈愛に満ちています。もうここだけで号泣してしまいます。そして続くチェロによる第二主題(3:46)のなんと繊細なこと!フレーズの消え行く様は言葉にならず、フレーズの最後まで愛おしそうに奏でられます。(8:06)からまたあの第二主題が弦楽器で厚みを持って奏でられるとき、涙が溢れてどうしようもなくなっています。

三楽章はありがちな推進力に満ち颯爽とした演奏ではありません。ですが、内側からエネルギーが放出され大変感動的です。この楽章を持ってこの演奏が気の抜けた演奏ではなく、内部に莫大なエネルギーを宿し、緊張感溢れる演奏であることが証明されるでしょう。一音一音確かな足取りで奏でられ、そのエネルギーに体が熱くなります。コーダのエネルギーの大きさには息が出来なくなり、涙が出ます。

四楽章、エネルギーが爆発します。相変わらず一音一音丁寧に奏でられますが、そこにエネルギーが充満しています。

4番はブラームスの傑作だと頭では理解していながら、重々しくてなかなか聴く機会がありません。共感度も低いほうです。ですが、このフォンクの演奏により、激しく共感する自分を発見しました。

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テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

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コメント

聴きました。良い演奏ですね。号泣はしませんが(中学生のころ、「アイーダ」のラストに涙を浮かべたのが最初で最後・・・ドラマではよく泣くんですけどねえ・・・)、セントルイス・カージナルスもといセントルイス・シンフォニーの響きは、アメリカらしくないと思えば、思えないこともない・・・奥歯に物の挟まったような言い方ですが、クラシック音楽のアメリカ文化を否定する気持ちはないです。ルービンシュタインがフリッツ・ライナーと共演したラフマニノフ / Pコンなんか痺れますもの。ジュリーニのブル9も大好きだし・・・ハンスという名前は、どうしても作家のハンス・カロッサを連想させます。典型的南独作家、古き時代を背負った詩人を、このフォンクも読んでいるでしょうね、多分・・・

返事が遅くなりました

あきさん、

こんばんは。いつもコメントありがとうございます。申し訳ありません、仕事で一息ついて気が抜けたのか、風邪を引いたり立てこんでおり、返事が遅くなりました。
ある意味「ヨーロッパ的」というのは失礼な表現なのかもしれませんね。アメリカ文化はアメリカ文化の良さがあるわけですし。私が強調したいのはフォンクの音作りの素晴らしさです。
ジュリーニのブル9がお好きとは!素晴らしい演奏です。個人的にはウィーン・フィルのものよりも好きなんですけどね。

  • 2008/05/22(木) 20:45:35 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

フォンクのブラームス4番、内面に深い慟哭がありますね。その心を只管抑えているので、聴き手の方が心穏やかではなくなるのかと。

  • 2008/10/05(日) 21:06:06 |
  • URL |
  • Kapell #n53L/O22
  • [編集]

返事が遅くなり申し訳ありません

Kapellさん、

こんにちは。いつもコメントありがとうございます。
返事が遅くなり申し訳ありません。
フォンクのブラ4、全くおっしゃる通りだと思います。明らかに泣きの入っている演奏とは一線を画し、奥ゆかしさがあります。逆にそれが心を打ちます。

  • 2008/10/11(土) 13:16:40 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]
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  • 最近老け込んで、見た目もすっかり年相応になってしまったバカ親パパのサラリーマンです。最近は、仕事、子育て、親の面倒に追われ、音楽を聴く時間もまともに持てなくなってますが、ストレス解消に無謀な数のCDを買いつづけています。^^;

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