DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Schubert Piano Sonata No.21

Wilhelm Kempff


Deutsche Grammophon (463 766-2)



私は先月で32歳になった。情けない話だが、私がシューベルトを分かるようになったのは、シューベルトの死の年、31歳になってからである。それまでシューベルトといえば、たまに未完成かグレート、他数曲聴く程度だった。それが今ではかけがえのない存在になっている。
きっかけは図書館で借りたCDだった。曲はシューベルト最後のソナタ21番。演奏はケンプ。言わずと知れた名演である。以前、内田光子の演奏で中期のソナタを買って聴いたが、当時は全く理解できず、お蔵入りしてしまった。そんなこともあってしばらくの間、あえて新しくシューベルトのCDを買う気にはならなかった。たまたま図書館に寄った時に、図書館で借りるならただだからと、軽い気持ちで借りた。やはり作曲家は晩年にいい作品を残すものだからと最後のソナタにすることにした。
CDをかけ始めると私はそのスピーカーから響いてくる世界に驚愕した。この世の響きとは思えない幽玄な世界。「死の海を優しさと慰めが浮遊しているような世界」とでもいおうか。この美しくも病的な世界はシューベルトしか築き上げられないものであろう。初めて聴いた日から一体何回繰り返して聴いただろう。一週間くらいこの曲ばかり聴き続けたが、飽きるどころかどんどんのめり込んでいった。今でも頻繁に聴いている。そして私の中ではこの世に存在するピアノ曲の中で最も偏愛する曲となった。シューベルトは若くして天に召されたので、この曲が最後のソナタになってしまった。ベートーヴェンを尊敬し、目指したシューベルトが、最後の最後に自分の究極のスタイルにたどり着いたのだ。もっと長生きしていれば、もっと素晴らしい曲を残しただろうにという人もいる。だが、いつも思うのだが、天才が若くしてこの世を去るのは、その生きた時間に意味があるからだと思う。例えばモーツァルトが35歳で天に召されていなければ、クラリネット協奏曲に代表される晩年の名曲はその時には生まれていなかったであろう。行き着くところまで行き着いたから、天に召されたのだと考えるのが自然だろう。
シューベルトはたった31年の間にどれだけ多くのものを残したか。シューベルトの人生の短さと自分の年を考えるとき、私は天才と凡人の差をまざまざと感じ、自分が不甲斐なく思った。もうすぐ、モーツァルトが生きた同じ長さを生きようとしている。でも私は天才でない分、もっと長く生きすればいいのだと、この曲を聴きながら自分を慰めた。

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