DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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感動しました。とにかく素晴らしい演奏会でした。室内楽でここまで感動した演奏会は初めてです。

12/2、12/3の二日間、紀尾井ホールで敬愛するゲヴァントハウスSQの演奏会がありました。
初日は仕事が残っていたので、家に帰ってから午前3時まで仕事をしなければなりませんでしたが(汗)、この演奏を聴けて本当に良かったです。

メンバーはベートーヴェンの全集を録音したときからVlaがメッツからハルマンに変わっており、エルベン第二期のメンバーです。ハルマンの父上もかつてこの団体に所属しており、チェロのティムを除いて楽器の種類はともかく世襲ということになります。

とにかく1st Vnのエルベンが素晴らしかった。初日は彼の音が聴き易いVc側のS席を選びましたが正解でした。彼の美音を存分に堪能できました。彼は速いパッセージでも高い音でも音が絶対に汚くなったりきつくなったりしません。伸びやかで美しい音色は他の追随を許しません。
また、2nd Vnのコンラート・ズスケとの緊密なアンサンブルも特筆すべきでしょう。(逆に1st, 2nd Vnが緊密すぎて全体のバランスが少し悪い気がしますが)。Vlaのハルマンはまだ加入からそれほど年月が経っていないせいか、少し弱すぎる気がしました。これは席が反対側(1st Vn側)で聴いた二日目も感じたので間違いないでしょう。この団体はバランスが1st Vnに多少偏っているのですが、1st Vnが極端にグイグイ引っ張るタイプでもなく、ましてやABQのような「1st Vn協奏曲」には決してなりません(笑)。


初日は席が良かったのと、初日のほうが観客の作る緊張感、演奏家の緊張感も上でより完成度が高かったように感じました。初日の感想を中心に書きます。

3番
曲の難易度、曲との相性もあり、一番の完成度だったと思います。ベートーヴェンの初期の曲がこれほどまでに美しい曲だったかと、一楽章だけでも至福の時でした。二楽章は小鳥のさえずりのよう。鳥の羽のように柔らかく美しい音で伸びやかに歌いきっており、理屈っぽさは一切ありません。

9番「ラズモフスキー3番」
最初の序奏で息があっておらず一楽章前半は不調でしたが、展開部あたりから持ち直しました。
四楽章のフーガは凄まじく、無類のテクニックとアンサンブル能力によって一糸乱れず、かつ高い緊張感、強固な構成感と美音を保ったまま突進する様は圧巻でした。胸が高鳴り、手に汗を握りました。

そして、15番。
彼らの音色は時に透明感がありすぎ、またバランスが多少1st Vnに偏っているため、往年の名弦楽四重奏団のような幽玄さは引き出せていない憾みはありますが、これは比較の問題であり、二日目の16番を含めて後期弦楽四重奏曲でここまでの演奏はそう聴けるものではありません。何しろ現代の弦楽四重奏団にありがちな「エゴ」が全く感じられず、音楽への尊敬と音楽自身の美しさが伝わってきます。
三楽章モルト・アダージョ、「病癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」が始まると私は目を閉じました。視覚が聴覚を邪魔するからです。奏者達もこの楽章の前でさらなる精神統一を図っていたように感じられました。
エルベンが音を出した瞬間からもう涙が溢れ出し、終始涙が止まらず、最後は涙も枯れ意識も遠のいていました。やはりエルベンの音の美しさと確かな音楽性が際立っていました。ただ音が美しいだけでない、音楽の持つ力を最大限に引き出したその表現にただただ涙するだけでした。コーダ前、クレッシェンドして天に登っていくときはもっとズスケSQの演奏のような四人の一体感が欲しいところでしたが、あの演奏と比べるのは酷でしょう。現代でこれだけのベートーヴェンを聴かせてくれる団体は無いのではないかと思わせます。

しかも初日はアンコールで彼らの演奏の中でも大好きな13番の二楽章を弾いてくれた!短い楽章ですが、大喜びしました。彼らの演奏で全曲聴いてみたい!

聴衆の質は非常に高く、季節柄ありがちな演奏中の咳もありませんでした。オーディエンス・ノイズは皆無。聴衆も緊張して聴いていたので、体を動かしたり音を立てることは一切ありません。演奏の質を高めるのは聴衆の質でもあると常々思っています。聴衆の作る緊張感は演奏者に伝わるはずです。
フライング・ブラボーをする不届き者もおらず、演奏後の拍手も暖かく素晴らしいものでした。室内楽の演奏会は「選ばれし者」が集うのかもしれません(笑)。


ゲヴァントハウス管弦楽団と共に200年の歴史があるからか、「伝統」の文字がどうしてもまず頭に浮かんでしまいます。確かに伝統から学んだ伝統の残り香がありますが、当たり前かもしれませんが、あくまで現代の弦楽四重奏団であり、逆説的に言葉を選ぶのであれば、『「現代的なもの」に染まっていない現代の弦楽四重奏団』というのが適切かと思います。歴史を背負った気負いは感じられず、単なる「伝統」というステレオ・タイプだけで見るべきではないと感じました。


さて、開演前にロビーで見たことのあるような外国人が・・・

「あ!!!(カール)ズスケだ!!!」

あの顔は間違いありません。かつてこの団体のメンバーで、2nd Vnのコンラート・ズスケの父、敬愛するカール・ズスケです。それに手にはミニチュア・スコアのようなものを持っていました。
二階席から身を乗り出すように、終始職人的な厳しい眼差しを持って演奏を聴いていました。もしかしたら勘違いかもしれませんが、本当だったら憧れの演奏家に目の前で会えたことになり、それこそ至福です。


久しぶりに演奏に足を運びましたが、二夜に渡り至福の時間を過ごすことが出来ました。世界一流のオーケストラの演奏だとS席で三万円以上しますが、室内楽だと四分の一以下の値段でこれだけの感動を味わえます。なんという費用対効果!これからも室内楽の演奏会情報をマメにチェックしたいと思います。

次はもうひとつの敬愛する弦楽四重奏団、アウリンSQの演奏を!


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コメント

ゲヴァントハウスSQ

こんばんは。

ゲヴァントハウスSQの名前は大変懐かしいです。生演奏は聴いたことが有りませんが、ゲルハルト・ボッセが1stだった頃のベートーヴェンのLPを聴いていました。その弟子のカール・ズスケはベルリンSQ(当時の呼び名)時代に生でベートーヴェンを聴いています。録音で聴くよりもずっと端正な音だった印象でした。
いずれもドイツの歴史と伝統を継承する団体。現在でも変わらずに素晴らしい音を聴かせてくれるのですね。

  • 2008/12/04(木) 23:54:07 |
  • URL |
  • ハルくん #SIR.BgG2
  • [編集]

羨ましいです

ハルくんさん、

こんばんは。コメントありがとうございます。
ズスケSQのベートーヴェンを生でお聴きになったのですね。羨ましい限りです。

現代の弦楽四重奏団は迷走している団体が多いですが、この団体は奇を衒わずに音楽を聴かせてくれる数少ない団体だと思います。

  • 2008/12/05(金) 00:13:02 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

ゲヴァントハウス・カルテット演奏会

先般のゲヴァントハウスSQの東京公演の初日に行きました。Dokuoh氏が言われるようにまさしく世界最高の演奏で、氏のご批評の表現の素晴らしさに感嘆しています。20年位前にズスケ主導の同カルテットの実演に行きました。その時も良い演奏でしたが、今回はそれを大きく上回る演奏でした。小生はチェロを30年間くらい弾いているので、チェロに主たる興味があり、チェロのティムが今まで見たチェリストの中で最も格好良い弾きかたなので、ファンであり、それを主眼に見に行きました。ところが、冒頭からエルベンの超美音に仰天させられ、チェロどころでなくなりました。今まで実演に接した中で最高のうまさでした。パールマンの実演にも行きましたが、エルベンのほうがうまいと思いました。Dokuoh氏はラズモフスキーの前半が不調だったとのことでしたが、小生はそこまで聴き取る程の審美眼はなく全部素晴らしかったと思っています。特に、最終楽章の圧倒的な力演に感動してしまい、ブラボーと言いそうになりました。この最終楽章はあの速さでかつ上手に弾くことは極めて難しいです。小生はドヴォルザークのチェロ協奏曲が大体弾けますが、ラズモフスキー第三番の最終楽章をあの速さではとても弾けないので、彼らの技術とアンサンブル力には脱帽です。
15番におけるエルベンのうまさにも圧倒され鳥肌がたちました。
エルベンが素晴らし過ぎたため、当初のねらいであったチェロのティムへの注目がおろそかになってしまいました。ティムの背中側で聴いたことが原因してか音に芯がなく少々期待はずれでしたが、うまいことは確かでした。Dokuoh氏はビオラが弱かったように言われますが、ビオラも近年聴いたことがないような美音でした。
Dokuoh氏もチェロを弾かれるとのことですので、付言します。小生は大学生からチェロを始めてほとんど独学で、スケールの練習などしたことがなく、気に入った曲の練習ばかりして来ました。それでもドヴォコンが弾けるようになり実に気分良く弾いています。アマチュアは弾きたい曲を楽しく弾いていればそれで良いのだと思っています。

  • 2008/12/11(木) 20:29:31 |
  • URL |
  • チェロ遊人 #-
  • [編集]

セミプロですね

チェロ遊人さん、

こんばんは。初めまして。コメントありがとうございます。また、過分なお言葉ありがとうございます。
エルベンは本当に素晴らしいですね。あれだけ上手くてしかもトム・クルーズ似のハンサムですから神様は不公平だと思ってしまいます(笑)。
後で修正しましたが、9番で一楽章のはじめのほうはちょっと探り合ってる感じがしました。あの序奏は逆に難しいのだと思います。終楽章は本当に凄かったです。
ハルマンのVlaは確かに美音ですね。ですが音量、表現に物足りなさを感じました。元々小生の好みが1st Vn主導型のカルテットではなく、四本の線がそれぞれに立つカルテットが好みなので、そう感じるのだと思います。
それにしてもチェロ遊人さんはほぼ独学でドヴォコンとは凄いですね。あの曲がほぼ弾けるとはセミプロレベルだと思います。才能がおありなのでしょう。うらやましいです。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

  • 2008/12/12(金) 18:27:23 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]
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