DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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mozart_requiem_jansons.jpg

Mozart Requiem

Arvid Jansons
Lithuanian RTV Symphony Orchestra
Lithuanian State Coir


Venezia (CDVE 04335)



ペトレのバッハの無伴奏の時も似たようなタイトルでした。といってもベーム盤にズスケのバッハの無伴奏ほど思い入れがあるわけではありませんが、なかなかベーム盤に匹敵する演奏に出会えませんでした。現代楽器の演奏によるモーツァルトのレクイエムで、演奏、録音双方を加味してベーム盤を上回る演奏にようやく出会えました。

マリス・ヤンソンスの父、アルヴィド・ヤンソンスの厳粛な第九を聴いて、この人は宗教曲で本領を発揮するのではないかと想像していましたが、この演奏を聴いてそれが確信に変わりました。

厳粛で清廉なレクイエム。そこに利己的な表現欲は無く、祈りのみがあります。独唱はソプラノ除いていまいちな感がありますが、ヴィブラートを抑えた透明な合唱、ただハーモニーが美しいだけでない敬虔な祈りに満ちた歌声が涙を誘います。ここでいう「透明」とは音の透明さと表現の透明さと言えるかもしれません。この曲には魂を持っていかれるような一種の深い「恐ろしさ」が必要ですが、この演奏はそれを安易な音のドラマで実現するのではなく、敬虔な歌で実現しています。いや、この敬虔な歌こそがその底なしの恐ろしさを演出するのに必須なのかもしれません。ただ表面的に美しい合唱や、ドラマティックな演奏だけではそれは不可能と思えるのです。だからこそ難しい。それができる父ヤンソンスはやはり優れた指揮者だといえるのではないでしょうか。音楽のダイナミクスはそれほどでもないのですが、スケールは決して小さくなく、広がりよりも深さがある演奏です。

「イントロイトゥス」から尋常じゃない厳粛さと美しさです。しかもその透明さが導き出す恐怖。「キリエ」最後の空虚五度は魂を抜かれるようです。

特筆すべきは「ラクリモサ」。異様に遅いテンポで、四分音符一つ一つに祈りを込め奏でられるその様に絶句します。なんと祈りに満ちた、そして絶望的な音楽!このテンポでだれるどころか、音楽にどんどん引き込まれて行きます。これを聴くとベームの演奏はなんとも平板に聴こえてしまいます。
最後の四小節前の"requiem"の句でディミヌエンドするところなど涙なしに聴けるでしょうか。そしてなんと美しいアーメン終止!最後の一音は両手を胸に当て、ただ祈るしかありません。何に対して祈るのか?私には答えがありませんが、ただ祈りたいのです。ここだけでも何度でも何度でも聴きたい。

息子の影に隠れて父ヤンソンスの演奏はあまり陽の目を見ませんが、これから再評価が進むことを願ってやみません。これだけ実力のある指揮者なのですから。

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コメント

この演奏は!

こんばんは。実はこの演奏のディスクは10年ほど前にワゴンセールで入手しており、密かに楽しんでおりました。
復刻したのですね。私も素晴らしい演奏だと思いますよ。
正直、皆さんが評価するベーム盤にはそれほど良いとは思っておらず、このアルヴィド・ヤンソンスかブリュッヘンの東京ライヴを好んでいます。

  • 2008/12/08(月) 21:27:05 |
  • URL |
  • ピースうさぎ #mQop/nM.
  • [編集]

父ヤンソンス

dokuohさん、こんばんは。

父ヤンソンスは私の友人の大好きな指揮者ですが、私はチャイコフスキー5番くらいしか聴いたことが有りません。第九にモツレク、なかなか興味深いですね。機会有れば是非聴いて見たいと思います。

PS. クナの63年のブラ3聴きましたよ。昔の演奏より良いと思いましたが、やはり私にはブラームスでは無くワーグナーに聞こえてしまいました。人の好みというのはホントに面白いものだと思います。

  • 2008/12/08(月) 22:08:59 |
  • URL |
  • ハルくん #SIR.BgG2
  • [編集]

さすが!

ピースうさぎさん、

こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
この演奏を御存知とはさすがですね。たしか記憶ではICONから出ていたと思います。ICONはムラヴィンものしか買いませんので買い逃していました。
それにしても素晴らしい演奏です。この演奏に比べるとベームの演奏はぶっきらぼうで曲への愛情が感じられませんね。深刻なことは深刻なのですが。
ブリュッヘンの東京ライブもいい演奏ですね。なかなかユニークな演奏ですけど。

  • 2008/12/08(月) 22:28:34 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

是非

ハルくんさん、

こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
父ヤンソンスはもっと知られていいですね。この演奏は最高峰だと思います。第九のほうは演奏に傷が多いのでそれを受け入れられるかがどうか分かれると思います。

クナのブラームスはお好みに合いませんでしたか。残念です。ですが、U先生御推薦の50年のものよりは遥かにいいと思いますし、56年と比べても隔絶した素晴らしさがあります。

  • 2008/12/08(月) 22:32:11 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

ベームの呪縛?からの開放

父ヤンソンスは昔日本でN響も振っていましたっけ。録音が余りに少ないので再評価されるのもなかなか大変でしょうけど。

そうそう私がベームの呪縛?から開放されたのはハンス・ギレスベルガー盤です。(下記は記事リンクです)
http://harucla.cocolog-nifty.com/blog/2008/11/k626-c618.html

これはステファン大聖堂かザルツブルク大聖堂で聴くような演奏だと思います。少年合唱の純粋さにほとほと魅了されてしまいます。

  • 2008/12/09(火) 01:14:59 |
  • URL |
  • ハルくん #SIR.BgG2
  • [編集]

御紹介ありがとうございます

ハルくんさん、

こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
ギレスベルガーとは初めて聞く名前です。なんだか好みの予感がします。
御紹介ありがとうございました。

  • 2008/12/10(水) 23:09:10 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

このCD、早速、ネットで注文致しました。
到着が楽しみです。♪

  • 2008/12/13(土) 18:13:38 |
  • URL |
  • Kapell #n53L/O22
  • [編集]

是非御感想を

Kapellさん、

こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
買っちゃいましたか。拙ブログも罪作りなブログですね(笑)。是非御感想をお聞かせください。

  • 2008/12/14(日) 17:19:25 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]
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  • 最近老け込んで、見た目もすっかり年相応になってしまったバカ親パパのサラリーマンです。最近は、仕事、子育て、親の面倒に追われ、音楽を聴く時間もまともに持てなくなってますが、ストレス解消に無謀な数のCDを買いつづけています。^^;

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