
Beethoven Symphony No.9 "Choral"
Otto Klemperer
Philharmonia Chorus & Orchestra
TESTAMENT (SBT 1332)
やはり第九を聴かないと年は越せません。今年も少なめながら第九を取り上げます。去年は東ドイツ系の演奏を取り上げました。今年は往年の巨匠達のモノラル・ライブ録音を取り上げます。
最近、室内楽では歴史的名盤よりも新しい録音、逆に交響曲では以前のように往年の巨匠達の演奏を求めるという現象が起こっています。気がつくと新録の交響曲はほとんど購入していません。個人的にはクラシック音楽の王道である交響曲でこのような状況は憂うべき状態です。ヴァントなどの巨匠が鬼籍に入り、新録は何とも心もとない状態です。これも時代なのでしょうか。ことにベートーヴェンに関しては全滅というに等しいです。哀しいかな時代が、私が(そしてきっと多くのファンも)求めるようなベートーヴェンを求めていないのかもしれません。
最近、先日取り上げた久しぶりに聴いたクレンペラーのライブ録音をきっかけに、再びクレンペラー熱が高まり、その威厳ある音楽に心酔しています。仕事が落ち着いてあの音楽に向き合う余裕が出来てきたのも一因かもしれません。
クレンペラーの第九は所有しているもので、1957年のスタジオ録音、以前取り上げた同年フィルハーモニア合唱団のお披露目ライブ、TESTAMENTからの復刻を心待ちにしている1960年のウィーン芸術週間ライブ、この1961年のライブ録音とどれも素晴らしく、特に三つのライブ録音はクレンペラーの「第九ライブ御三家」と呼ぶに相応しい素晴らしい演奏ばかりです。
録音年が近いせいか、基本的にこれらの演奏に解釈の相違はそれほどありません。しかしこの演奏のエネルギーの凄まじさは1957年のそれを上回り、一、二楽章などは騎馬隊が刀を振りかざし突進していくかのようです。特に二楽章のティンパニの炸裂は凄まじい。しかもただ突進するだけなく二楽章トリオに見せる懐の深い優しい表情などハッとさせられます。終楽章の合唱が入ってからはテンションが非常に高く、人類愛を高らかに歌うに相応しい。コーダでのクレンペラーお得意の"Diesen Kuss der ganzen Welt!"のスローダウンも一番決まっています。プレスティッシモでの一発一発の打つ込みの激しさも随一。終演後の拍手も物凄く、一緒に「これぞベートーヴェンだ!」と叫びたくなります。
さあ、残るは1960年のウィーン芸術週間ライブです。後二年すればパブリック・ドメインになるので、CETRA盤のデジタル・コピーでもいいので、是非とも良好な音質で復刻して欲しいものです。
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