DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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J.S.Bach Sonatas & Partitas for solo Violin

Karl Suske


Berlin Classics (0092752BC)



初めての出会いが強烈過ぎた。これが私の買ったはじめてのバッハの無伴奏である。いろんなCDを聴き比べることを醍醐味としている私にとっては、ある意味残酷な出会いであった。この演奏を凌駕する演奏を探すために、その後、シェリング、シゲティ、ミルシテイン、ヴェーグ、クイケンなどを聴き比べたが、結局このズスケに戻ってしまう。今後もこれを越える演奏は出てこないだろう。それだけ、この演奏は飛びぬけている。自分にとってかけがえの無い宝物である。
何よりも、その力み、無駄の一切無い美音、誇張や偽りのない表現が元の作品の素晴らしさを引き立てている。「究極まで昇華した」なんと美しい演奏!「何も引かない、何も足さない」とはこのことである。必要な音しかないが、それが冷淡、無表情ではない。なんと言う慈しみと祈り。祈りとはこういうものなのだろう。もしも誰かに「美しいとはどういうことか?」と尋ねられたら、無言でこの演奏を聞かせるかもしれない。本当に「美しい」とは、まさに「何も引かない、何も足さない」であり、そのままで、それだけで十分だということだと思う。
どの曲も素晴らしいのだが、なんと言ってもパルティータの二番、シャコンヌだろう。冒頭から淡々としている。中には物足りないと言う人もいるだろう。だが、音に底知れぬ奥行きがある。広がりがある。これがたった一挺のヴァイオリンから発せられる音なのである!聴いているうちにこれが単なる一つの楽器から発せられている音であることを忘れさせる。アルペジオでもその表現は変わらない。だがなんと言う深さだろう。荒れ狂う誇張した表現よりも、こちらのほうがスケールを感じ、畏怖さえ感じる。 D-durになってからはその真骨頂である。なんと言う慈しみ!ブルックナーとは違うが、神に抱かれている感覚を覚える。この部分の最後の天国に上らんとする表現は、涙を禁じえない。そう、小さいころ、天の星空を純粋な気持ちで眺めていたそれと似ており、そこはかとなく、懐かしい気持ちがしてくる。神という「母」に抱かれた、どこかで見守ってくれているという安堵感、帰属感なのかもしれない。
その他、すべての曲に対して感想を書いたらきりが無いが、パルティータ三番のプレリュードなども唯一無二の演奏である。ズスケは初めてヴァイオリンがこんなに美しい音をするということを教えてくれた人である。その音を聴くだけでも、価値のある演奏といえるのではないか。

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コメント

やっと聴きました

こんばんは。デジタルリマスター盤が出ましたので、やっと購入出来ました。ズスケは日本びいきでかなり以前から知っておりましたが、「地味」という印象しかありませんでした。今回バッハを聴いて驚きました。非常に線の太い演奏で、字体で表現すれば、楷書と行書の間太い音の芯に妖しく輝く音を秘めており、私の昔印象はまったく参考にはなりませんでした。プレストでもむやみにスピードをあげたりはしないのですが、足取りの確かなことは、たとえが悪いですがバックハウスがヴァイリンを演奏しているような。録音も素晴らしく、直接音が主で余計は響きはほとんどなし。最近導入したV-70NWで聴いたのですが、数ある無伴奏のヴァイオリンの中で最も豊かな低音を聴かせる人のように思いました。
 印象はずばりバッハの自筆のファクシミリが歌い出したかのよう。音の高貴さも、我が敬愛するミルシュタイン2度目の録音を上回っています。

ついに聴かれましたか

calafさん、

こんばんは。御無沙汰しております。
ついにズスケのバッハをお聴きなりましたか。その素晴らしさに共感していただいてとても嬉しいです。ミルシテインも素晴らしいですが、このズスケの自然体の演奏に比べると、どうしても強すぎてしまうのです。

さて、来週こそはと思いつつ何ヶ月も仕事が全然落ち着かない状態ではありますが、ようやく今のプロジェクトは先が見えてきて、ブログもボチボチ再開しようかという感じです。楽器も細々と続けています。

  • 2008/09/29(月) 00:03:20 |
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  • 2008/02/17(日) 17:13:40 |
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