DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このページのトップへ
beet_sq13_auryn.jpg

Beethoven String Quartet No.13
Grosse Fuge

Auryn Quartett


TACET (TACET38)



ブルックナーやシベリウスの音楽同様、ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲は非常に壊れやすい音楽だと思うのです。不純に過剰に演出し、音のドラマで語ろうとした瞬間に音楽は口を閉ざし、ベートーヴェン最晩年の幽玄な精神世界への扉は閉ざされてしまいます。アルバンベルクSQなど現代を代表する弦楽四重奏団などがことごとく失敗し全滅しているのはこのためと思われます(実際アルバンベルクは実演もひどかった)。作曲家と曲への共感はさることながら、無私になり自然体で過剰な演出をしない。それが求められているのではないでしょうか。

ゲヴァントハウスSQのベートーヴェン弦楽四重奏曲第13番大フーガの名演に唯一比肩しうるのが同様に現代最高の弦楽四重奏団の一つであるこのアウリンSQの旧盤です。ゲヴァントハウスSQの伝統に根差した古典的名演に対し、アウリンSQは現代的で対照的な演奏であるものの、この曲の真実に迫っています。残念ながら同じTACETから出ている新盤(TACET130)では、表現欲旺盛で過剰なデュナーミクが音楽を壊してしまっています。典型的なのが二、四楽章で、新盤では過剰な音楽の振幅が逆に音楽を矮小なものにしてしまっています。その点旧盤はダイナミックでありながら、音楽が壊れるぎりぎりまで攻めており、現代的表現でありながら最晩年のベートーヴェンの幽玄な精神世界を表現しています。かつアンサンブルの統一性も旧盤が上です。後期弦楽四重奏曲の中でも13番は比較的規模の大きいがゆえこのような現代的アプローチでも成功したと思いますが、同じ団体でも旧盤が成功しているのはここに最低限超えてはならない表現の「古典閾値」を守っているからではないでしょうか。もちろん、これらは優れた音楽性を持っている大前提の話ですが。

私の大好きな1st Vnのリンゲンフェルダーの音楽性は素晴らしく、五楽章カヴァティーナでの繊細な表情は彼ならではでしょう。こちらも新盤よりも成功しています。

力が抜けてより成功しているのはユーモアに富んだ新六楽章でしょう。自由に飛翔するベートーヴェンの魂に音の重しは必要ありません。

さて、問題の大フーガ。先日ゲヴァントハウスSQの名盤を取り上げたばかりですが、この演奏も強固なアンサンブルによるフーガが「秩序の龍」を立ち昇らせています。この2団体の巨大で強固な宇宙法則に即した名演奏を聴いてしまうと、他が霞んでしまいます。

アウリンSQはどちらかというとシューベルトのようなロマン派で適性を示しますが、ベートーヴェンのしかもこの深淵な名曲で名演奏を残してくれたのは幸いでした。

お買い物『HMV - 弦楽四重奏曲第13番、大フーガ アウリン四重奏団 : ベートーヴェン(1770-1827)』


↓本記事がお役に立てたら、クリックにご協力お願いいたします。

音楽ブログランキング にほんブログ村 クラシックブログへ

テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

このページのトップへ

FC2Ad

Information

dokuoh
  • Author: dokuoh
  • 最近老け込んで、見た目もすっかり年相応になってしまったバカ親パパのサラリーマンです。最近は、仕事、子育て、親の面倒に追われ、音楽を聴く時間もまともに持てなくなってますが、ストレス解消に無謀な数のCDを買いつづけています。^^;

Search

Calendar

03月 « 2017年04月 » 05月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -

 

プロフィール

dokuoh

Author:dokuoh
最近老け込んで、見た目もすっかり年相応になってしまったバカ親パパのサラリーマンです。最近は、仕事、子育て、親の面倒に追われ、音楽を聴く時間もまともに持てなくなってますが、ストレス解消に無謀な数のCDを買いつづけています。^^;

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

リンク

  このブログをリンクに追加

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。