DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Beethoven Symphony No.9 "Choral"

Takashi Asahina
NHK Symphony Orchestra


fontec (FOCD9213)



翁の第九。前述のクーベリックのライブと共に思い入れの強い一枚である。1986年に来日予定だったヴァントの代役として、ヴァントより高齢の朝比奈(当時77歳!)が振った演奏である。とにかく立派。立派の一言。朝比奈の人間的大きさが遺憾なく発揮された第九といえる。奇をてらわず、ただひたすら愚直に立派に音を鳴らすことを心がけたとでもいおうか。細部に荒さが残るが、その分懐が広く聴いていてほっとする演奏だ。一音一音噛みしめるように音が搾り出され、それぞれが格調高い。聴いてて背筋がピンと伸びる。77歳の高齢な指揮者が振ったとはとても思えない覇気と重量感。本当に恐れ入る。
朝比奈の演奏はよくドイツ的と言われるが、これには違和感がある。音に重量感があり、重心が低いというのがそのまま「ドイツ的」に結びつくのだろうが、重心が低いのは翁の人格や生理に基づくものであり、それとは異なると思う。伝統よりも翁の個性といったほうが適切ではないか。
一楽章の重量感、立派さは最高である。やはり一楽章はこうでなければ。テンポを揺らしたり小ざかしい小細工一切無し、流麗とは無縁の愚直さが逆に聴いてて胸がすく。「愚直=凡庸」で決してないところが素晴らしい。フォルテの部分では聴きながら一音一音見得を切ってしまいたい気分だ。
二楽章冒頭のクレッシェンドも何か重戦車が轟音を立てて突進してくるような、重量感が物凄い。かと思えば、トリオでのチェロの旋律は、ふくよかに優しく響く。トリオの終わりの名残惜しい表現も堂に入っている。
三楽章冒頭の第一主題の美しさ。朝比奈のアダージョは常に懐が広く、ただの美音だけでない優しさに満ちている。つまらない演奏が少なくないN響が心から共感し、音楽する喜びに満ちているのが手にとるように分かる。朝比奈の人格の為せる技だろう。
四楽章合唱と独唱が弱いのは日本人なので致しかたが無いか。私はこの合唱部分は第九のおまけと思っており、合唱と独唱にはそれほどこだわらないので十分である。コーダでは、溜めが非常に効いていて彫りが深く、プレスティッシモの最後の追い込みも素晴らしい。ここの表現では私のベストと言いたい。
翁が亡くなられて、早いもので4年が経とうとしている。あの時のショックは今でもはっきり覚えている。朝比奈、ヴァントと敬愛する指揮者が立て続けに亡くなって、本気で涙した。当時はむさぼるように翁のCDを買いあさったが、最近はめっきり聴く機会が減った。これを期に翁の演奏を再び振り返ってみたいと思う。

お買い物『HMV - Sym.9: 朝比奈隆 / Nhk.so, Etc (1986.4.25)(ライブ盤)【CD】-ベートーヴェン/音楽/HMV』


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