DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Beethoven Symphony No.3 "Eroica"

Ferenc Fricsay
Berlin Radio Symphony Orchestra


IMG Artists (7243 5 75109 2 9)



ベートーヴェンの交響曲の最高の演奏を挙げろといったら、フルトヴェングラーのバイロイトの第九を挙げる人が多いかも知れない。私もあの演奏はすごいと思うし、月並みだが人類の至宝だとも思う。だが私ならこのフリッチャイのエロイカを挙げる。お恥ずかしい話だが、CDショップでこの演奏を試聴してボロボロに号泣し、顔を必死に隠したくらいである。
この演奏はフルトヴェングラーの演奏をも凌駕していると思うし、音質の良さも相まって軍配をこちらにあげる。もちろん、フリッチャイのスタジオ録音とは天と地の差があるといっても過言ではないと思う。フリッチャイのすごいところはテンポが遅いだけでなく相当揺らしているにも関わらず強固な構成が崩れるどころか全く微動だにしないところである。フルトヴェングラーのような即興的感興はないが、その代わりに強固な構成力がある。巨大な一枚岩のように強固でスケールが大きい。勝手ながらフルトヴェングラーもここまでの境地には達していなかったと思ってしまう。この演奏はフリッチャイ最晩年、白血病の病魔に犯されていたときのものである。あまり「病魔=名演」というステレオタイプでものを見たくはないが、神が与えた試練がフリッチャイをここまでの高みに登らせたと考えたくなるのが人情というものか。
一楽章冒頭からテンポが遅い。ここまで遅い演奏を他には知らない。だが決してだれることはない。荘厳に厳粛に音楽が進む。遅いと感じさせるどころか、このテンポしかありえないという感覚になる。頻繁に現れる溜めも、全く不自然ではない。すべての音、テンポに意味がある。
どの楽章も素晴らしいが、やはり白眉は二楽章ではないか。この慟哭の壮絶さはとても言葉では表現できない。浅はかに響く瞬間が一瞬足りとない。オケも相当フリッチャイに共感していなければ、ここまで緊張感を持続できないと思う。地の底からうめくチェロ、フーガのホルンの絶叫!何度聴いても涙なしには聴けない。何より感動的なのは厳しさのなかに時々表れる慈悲深き響きだろう。なんと暖かく血の通った響きか。
三楽章もスローテンポ。スケルツォとは言いがたい、巨大な威容が現れる。
四楽章のコーダの突進もすごい。ホルンは絶叫し一気呵成に突き進む。
ベートーヴェン最高の演奏ではあるが、あまりに強烈過ぎるため、頻繁に聴くには向いていないかもしれない。聴き手も相当な覚悟がいる。

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コメント

フルトヴェングラーとフリッチャイ

こんにちは。はじめまして。
レイアウトと内容に惹かれ、コメントさせていただきます。
フリッチャイにはフルトヴェングラーの構成力の後継者的なところがあると思います。
その堅固な造詣は好きなところです。

  • 2005/11/07(月) 17:36:02 |
  • URL |
  • orooro #-
  • [編集]

大変光栄です。

orooroさんはじめまして。いつもブログを楽しく拝見させていただいております。OTAKENのバイロイトの第九はorooroさんの記事を見ていなければ、出会えなかったと思ってます。東芝EMIの音質にいつも失望していたので、目からうろこでした。本当にどうもありがとうございました。これからも詳細情報楽しみにしております。
この二つの記事を見るとフルトヴェングラーに対して否定的のように思われるかもしれませんが、昔は凝りもせず同音源のCDを集めたものでした。ただ、年と共に体力的に聴きとおすのが辛くなってきて・・・。^^;最近、丁度フルトヴェングラーの演奏を聴きなおそうと思っているところです。小生なりのレポートを書きますので、そのときは是非ご覧になってください。

  • 2005/11/07(月) 20:33:23 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

恐るべき研究材料「音楽を楽しむよりはフリッチャイの解釈を研究するためのCD」とは、かの宇野功芳先生の言。先生には是非、同じ指揮者の《悲愴》ほど感動して頂きたかった。こちらはベタぼめなのに。
解釈なんて研究できませんって。この恐ろしい演奏に打ちひしがれて、しばらくは放心状態になります。dokuohさん、次に聴くのはいつになるでしょうね。
レコ芸のリーダースチョイスでは、ベルリンpo.とのスタジオ録音を選びましたが、今となってはこっちかな。
余談ですが、最近「商業録音」などという見下した用語を使用する人(山○○太郎、満某など)がいますが、即刻やめてください。どこが「商業」かって!フリッチャイ怒れ!!

  • 2006/01/12(木) 21:32:28 |
  • URL |
  • 穂吉 #-
  • [編集]

研究材料ですか・・・

穂吉さん、コメントありがとうございます。
宇野さんがそんなことをおっしゃってたとは知りませんでした。意外ですね。宇野さんはクラシックを本格的に聴くきっかけを作ってくださった一人であるのですが、最近の批評には共感することが少なくなりました。自分の好みを発見し、それが固まってきたからかもしれません。
「商業録音」っていったら、すべての録音は商業録音ですよね。売り物であり、稼いでなんぼなんですから。^^;

  • 2006/01/13(金) 12:40:59 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

買って聴きました

こんばんは。フリッチャイのこの「英雄」聴きました。テンポが遅いというより、音符の長さが他の指揮者と異なるようです・・つまり遅さは全く気になりません。それどころかフルトヴェングラーより大きく歌わせる人がいるんですね。第1楽章ではそれが抜群の効果・・というよりワグナーが指揮しているかのようです。2楽章の足を引きずるような遅さは効果抜群。トリオの構築性も見事。トリオでテンポを速めるあたりただ遅いだけの人ではない。天才肌の指揮者のようですね。名前だけ知っていて聴くのは今回が初めてですが、この調子でいくと「第九」空恐ろしいですね。聴いてみたい。この英雄を聴きますとチェリビダッケが普通の人のように感じます。

  • 2006/10/25(水) 23:20:28 |
  • URL |
  • calaf #-
  • [編集]

フリッチャイの第九

calafさん、
こんばんは。いつもコメントありがとうございます。
とうとう聴かれましたか。全くおっしゃる通りでテンポが遅いと感じません。フリッチャイほど天賦の才能を持った指揮者も珍しいでしょう。
フリッチャイの第九ですが、この演奏ほど劇的ではありませんが、素晴らしい演奏であることには変わりありません。三楽章などフルトヴェングラーのようです。フィッシャー=ディースカウの唄う唯一の第九という意味でも価値があります。

  • 2006/10/26(木) 17:10:24 |
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  • dokuoh #TquaeRfg
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  • 最近老け込んで、見た目もすっかり年相応になってしまったバカ親パパのサラリーマンです。最近は、仕事、子育て、親の面倒に追われ、音楽を聴く時間もまともに持てなくなってますが、ストレス解消に無謀な数のCDを買いつづけています。^^;

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