DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Beethoven Symphony No.9 "Choral"

Otto Klemperer
Philharmonia Chorus & Orchestra


TESTAMENT (SBT 1177)



非常に格調高く、「正しい」第九である。テンポ、バランス、そして解釈、すべてが正しい。スコアの音符を正しい芸術家が正しく解釈し、正しく振ると、こういう正しい演奏になる。すなわちこれは、「第九の世界標準」と言っていい。「標準」というと個性の無い、凡庸な演奏に思われるかもしれないが、とんでもない。音の核に燃えたぎる情熱と強靭な精神が宿り、効果を狙った演出が皆無にも関わらず、もの凄い迫力で聴き手に迫ってくる。絶叫しないかわりに無類の安定感がある。クレンペラーの他の演奏に聴けるような、極端に遅いテンポなどのクレンペラーらしさは無く、いたって普通に聴こえるかもしれない。だが、良く耳を澄まして聴いてほしい。そこには深く精神的で、理想的な第九が鳴っているはずだ。ゆえに「世界標準」なのだ。
一,二楽章の格調の高さはクレンペラーの面目躍如だ。ティンパニがあまりソリッドでなく、録音もデッドなため、パンチに欠けるかもしれないが、なんと厳しい演奏だろう。一楽章のコーダなどは背筋も凍るような厳しい音楽である。二楽章冒頭の重々しい開始も同様。かと思えば、トリオや三楽章では、格調高く豊かな歌を聴かせてくれる。決して甘くなく、苦味の利いた大人の歌だ。
四楽章のテンションの高さは尋常じゃない。この演奏会はフィルハーモニア合唱団のお披露目でもあったそうだ。さすがオーディションを勝ち抜き選び抜かれた精鋭がそろっただけのことはある。合唱が巧い。そしてお披露目演奏会だけに、その気合の入り方も尋常ではなかったはずだ。第九の名演というのは曲の特性のせいか、背景に何かエピソードがある時に生まれやすい。コーダは最高で高揚感が素晴らしい。"Diesen Kuss der ganzen Welt!"の部分ではわずかにテンポを落とし、一小節一小節念を押すように歌う。これは説得力抜群だ。そして最後のプレスティッシモの天上遥か彼方へ飛んでいってしまうようなクレッシェンド!(そういえばウィーン芸術週間のウィーン・フィルとの5番も同じ素晴らしさがあった。)観客の万雷のブラボーも納得である。四楽章を聴いた後の充実感はこれがトップかもしれない。フルトヴェングラーのような狂乱無しに、これだけのスケールと高揚感を演出できるのだから、ある意味フルトヴェングラーに対するアンチテーゼと言えるかもしれない。

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コメント

これこれ~

クレンペラーのライヴは独特なものがあります。
今でも根強いファンがいるわけですよね。
最近クレンペラーの演奏に惹かれているのですが歳のせいですかねえ。

  • 2005/12/24(土) 22:41:21 |
  • URL |
  • ピースうさぎ #mQop/nM.
  • [編集]

やっぱクレンペラー

ピースうさぎさん、コメントありがとうございます。
同じくフルトヴェングラーよりもクレンペラーを欲します。クレンペラーというとあの遅いテンポばかり取り沙汰されますが、ウィーン・フィルとの5番のようにテンポが遅すぎなくても、強靭な精神と無類の安定感が素晴らしいですよね。

  • 2005/12/24(土) 23:32:29 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

クレンペラーの合唱

クレンペラーときましたか。
小生は苦手です。
まずこの演奏だと、フルトヴェングラー、シューリヒト、モントゥーなどを聴いてくると、テンポの設定が不自然に感じます。
それから、コーラスの英語訛りが・・・。
偉大なる演奏とは思いますが。
http://www.geocities.jp/orooropapajp/day3.html
2004.10.1の欄を御覧ください。

  • 2005/12/26(月) 15:03:09 |
  • URL |
  • orooro #4ujULYpo
  • [編集]

クレンペラー

orooroさん、コメントありがとうございます。おっしゃっていること分かります。クレンペラーはお挙げになっている指揮者と比べると、フレーズのつながりがスムーズでないですよね。その点ではフルトヴェングラーなどに一日の長があります。でも、クレンペラーは作為的という印象は受けません。
英語訛りは確かに・・・。ただ、小生合唱にそれほど頓着しないほうなので、十分です。

  • 2005/12/27(火) 14:42:46 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

クレンペラーの合唱

こんばんは。
クレンペラーのこのライブ盤、私も大好きです。スタジオ録音と同じスタイルですが、生命力という点でこちらのライブ盤に私はより惹かれます。
ところで、60年のウィーン芸術週間における演奏を聴かれたことありますか?これも素晴らしい演奏です。ヴンダーリッヒが素晴らしいテノールを歌っています。機会があればお聴きになってください。
また、64年の映像もリリースされており、こちらも名演でした。この記事はTBさせていただきますね。

  • 2005/12/31(土) 18:22:33 |
  • URL |
  • romani #8DRVcpnw
  • [編集]

殴りこみライブ

romaniさん、立て続けのコメント、TBありがとうございます。
60年のウィーン芸術週間の「殴りこみ」ライブ持ってます。ただ、M&Aのもので、音があまり良くありません。FONIT CETRA盤が気になりながら、気がついたら廃盤。音がいいと言われていた、Living Stage盤も横目に見ながら買わずじまいと、ことごとく失敗しています。TESTAMENTが復刻してくれることを期待しています。演奏は素晴らしいですね。

  • 2005/12/31(土) 22:04:46 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]
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いよいよ大晦日です。1年間酷使に耐えてくれた愛用のオーディオ装置(特にスピーカーとCDプレーヤー)に対して、感謝の念を込めながらじっくり時間をかけてメンテナンスしました。そして、DVDレコーダーに撮りっぱなしになっていた映像の整理を少しやったあと、買った

  • 2005/12/31(土) 18:22:53 |
  • ETUDE
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  • 最近老け込んで、見た目もすっかり年相応になってしまったバカ親パパのサラリーマンです。最近は、仕事、子育て、親の面倒に追われ、音楽を聴く時間もまともに持てなくなってますが、ストレス解消に無謀な数のCDを買いつづけています。^^;

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