DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Schubert String Quartet No.15

Auryn Qurtett


CPO (999 660-2)



メロスSQの弦楽五重奏のエントリでも書いたが、15番はシューベルトの室内楽で弦楽五重奏と並んで最も愛する曲である。個人的には人気曲である14番「死と乙女」よりも遥かに深く、かのベートーヴェンの後期弦楽四重奏に匹敵する傑作だと思っている。ピアノ・ソナタ21番と同様、シューベルトが最後に行き着いた究極の世界ではないだろうか。これを書いた時のシューベルトの魂は一体どこにいたのだろう。とてもこの世の響きとは思えない。天上の響きではない。まるで黄泉の国から響いて来るようだ。長調とも短調もつかない不安定な響きがなんとも不気味だ。マーラーの世界を先取りしているとも言えるかもしれない。
この大傑作をアウリンSQが完璧無比の演奏で聴かせてくれる。アウリンSQの素晴らしさは、まずその技術の高さにある。四つの音はあたかも一つの楽器のように完全に一つになり、そして調和する。縦の線も完璧。響きが大変美しく、透き通るように透明で柔らかい。またダイナミクス・レンジが広く、ただ広いだけでなく、それが節度があることだ。近年ダイナミクス・レンジが広い団体なら沢山ある。だが最近の有名な弦楽四重奏団は、ただ広いだけでうるさく、ヒステリックだ。しかし、アウリンSQは絶対にうるさくならず、常に透明で柔らかい響きを失わない。そして、テンポの設定、歌い方などが極めて自然で、鼻につくことは一切無い。
冒頭から意次元の世界に飛ばされてしまう。主部に入るとトレモロに乗せて響くヴァイオリンの主題(0:40)が、あたかも遠くの「近づいてはならない向こう側の世界」から響いてくるようだ。ただ美しいだけでない。どうしようもない闇、虚無がそこにある。この「美しい虚無」こそ、この曲を通して絶対的に必要なものではないだろうか。本当に聴いていて背筋が凍るほど恐ろしい。展開部に入って再び現れる主題(6:11-7:20)のなんと美しく恐ろしいこと!そしてその直後の強奏からは、もう闇しかない。飲み込まれそうに恐ろしい。ここに切迫した緊迫感と真実味がないとだめだ。アウリンSQほど真実味を感じさせる演奏を他に知らない。
二楽章も非の打ち所がなく美しい。チェロの対旋律のなんと深いこと。
三楽章のトリオは、なんと美しく、透明な虚無に満たされているのだろう。
四楽章はインテンポで快速で飛ばす。そのテンポ感があたかも凍えるような冷風が体を通り過ぎるようだ。(5:23)からの強奏など死人の慟哭のようだ。
嗚呼、また見てはいけない世界を覗いてしまった。やはりこの世界は立ち入り禁止だ。この危険な魅力に取り付かれるとなかなか抜け出せない。

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コメント

こんばんは、calafです。シューベルトの弦楽五重奏のコメントから拝見しておりますが、力がこもっていらしゃいますね。シューベルトの五重奏曲は15年ほど前にFMで聴いた程度です。四重奏はメロスの死と乙女、ロザムンデは持っていますが、これも昨年5月に聴いたきりです。ハーゲン、アルバンベルクといえば何でも推薦には(例の雑誌ですね)辟易しています。マイナーでも優れた演奏があるはず。レーベルもCPOですし、ジャケットも雰囲気がありますし、変ロ長調のソナタの世界ですね。これなら私もいけそうです。

calafさん、こんばんは。コメントありがとうございます。やはりシューベルトで室内楽、しかもマイナーな15番となると、皆さんの反応が無いのではと思っていたので、コメントいただいて嬉しいです。
力まない演奏がいいと言いながら、自分が一番力んでいますね。^^;批判的なことは出来るだけ書かないようにしているのですが、calafさんと全く同意見です。お挙げになった団体には全くと言っていいほどシンパシーがありません。このブログでは出来るだけマイナーでも素晴らしい演奏を紹介したいと思っております。もしも手に入るのであれば、是非ともお聴きなってください。きっと宝物になると思います。

  • 2006/01/18(水) 23:06:05 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

すみません

すみません、ウソを書いていました。この曲調性はC-Durじゃないですよね。正確にはg-mollです。どう聞いても短調です。弦楽五重奏のことが頭に残っていてウソ書いていました。どうもすみません。

  • 2006/01/19(木) 01:38:18 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

いえいえ

こんばんは、calafです。思い違いは誰にでもあることです。それより弦楽四重奏という大変地味(室内楽の王様だそうですが)な世界を水先案内してくださることがありがたいです。同じ文章を評論家が書いても読む気がしませんからね。楽器をなさっている方のコメントには思い入れはあっても虚飾がありません。

弦楽四重奏

calafさん、こんばんは。
小生しっかりしていてスキがないように見られがちなのですが、実はかなりボケています。間違いにお気づきになったら、ご指摘いただけると幸いです。
さて、おっしゃる通り、残念ながら弦楽四重奏は地味で人気のない領域です。ただでさえ、クラシックは少数派なのに、その中でも弦楽四重奏好きというのは天然記念物モノではないでしょうか。ですが、偉大な作曲家達が飛び切りの名曲を残しているのもこの領域ですよね。ベートーヴェンの後期、モーツァルトのハイドン・セット、そしてシューベルト。編成が小さく、音が少ない分、エッセンスが凝縮されているのかもしれません。最近は一番好きなジャンルです。

  • 2006/01/19(木) 22:19:08 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
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