DokuOh ~独墺系クラシック音楽~

クラシック音楽、特に独墺系(ドイツ、オーストリア)の作曲家について、CDレビュー中心のブログです。

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Bruckner Symphony No.9

Carl Schuricht
Wiener Philharmoniker


EMI CLASSICS (CZS 7 67279 2)



私がブルックナーに開眼したきっかけになった演奏は、クナッパーツブッシュ/ミュンヘン・フィルのブルックナーの8番である。例に漏れず、私も最初はブルックナーの音楽がさっぱり分からなかった。ところが辛抱強くクナのブル8を聴いていたときに、四楽章のコーダでその魅力に突然開眼したのだった。それからは、寝ても覚めてもブルックナー。とにかく色々な演奏を聴いた。中でもシューリヒトの9番には特別思い入れがある。ブルックナーに開眼したのはクナの演奏だが、このシューリヒトの9番が、私のブルックナーの原体験と言える。この演奏でブルックナーの最高傑作というだけでなく、音楽史上の最高傑作の一つでもある9番の魅力を理解し、虜になり、さらにブルックナーにのめり込んでいった。一体この演奏を何度聴いて、何度涙したか分からない。現在となっては、ヴァント/ミュンヘン・フィルの超絶名演があるので、ベストとは言えないかもしれないが、今でも大切な演奏であることにはかわりはない。
一楽章冒頭のトレモロの原始雲から数多ある凡演を引き離している。どうやったらこんな深い音を引き出せるのだろうか。一楽章の美しさ、神々しさは今でもなお、トップを行く。ヴァントよりもやや動的で、痛切であるので聴き手に迫ってくる。展開部の最後(17:00)、コーダの前のトゥッティ(22:23)、そしてコーダの頂点での(24:45)の熾烈さは一番かもしれない。コーダの頂点での三連符の後は、宇宙の彼方へ放り投げてしまうような恐ろしさがある。一方、提示部、再現部での第二主題は絶美だ。特に再現部(18:40)の呼吸の深さは涙無しには聴けない。
総じて言えることだが、この演奏の特長は「響き」だけでなく、「音」の魅力も兼ね備えていることだ。古きよき時代のウィーン・フィルの高貴な音に酔いしれることができる。ウィンナ・ホルンは元より、弦楽器の音が素晴らしい。これはヴァント/ミュンヘン・フィル盤などには無い魅力ではないだろうか。
ところで私の持っているのは必ずしも音がベストとは言えない仏EMI盤だが、このジャケットがとてもセンスがあって好きだ。最近は廉価というだけで、ジャケットに頓着しないCDが多いが(これは廉価でかつジャケットも美しい)、CDには「モノ」としての価値もあるはずだ。これから主流になるであろうネット配信など、私には考えられない。アナログな世界はいずれ絶滅するのだろうか。

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コメント

永遠のスタンダードですね

こんばんは。
この演奏、私にとっても別格の演奏です。
第1楽章冒頭から既に別世界の美しさですが、私はスケルツォが一番好きです。こんなリズムを聴かせてくれる指揮者は他にいません。
録音も素晴らしいですね。生で聴くウィーンフィルの音に一番近かったです。
ところで、さきほどのスケルツォなんですが、ベルリンフィルとの「英雄」のスケルツォと一脈通じるところがあるような気がしてなりません。

シューリヒトのスケルツォ

romaniさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
ここでは言及していませんが、おっしゃる通り、この演奏のスケルツォは別格ですね。シューリヒトのリズム感は独特です。このリズム感がシューリヒトの特長である「飛翔」の秘訣だと思っています。

  • 2006/01/23(月) 00:03:37 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

初めまして

突然のコメント失礼致します。人気BLOGRANKINGからお邪魔しました。
ご存じないと思いますが、昨年、不慮の事故により亡くなられましたカウンターテナー歌手藤岡宣男さんという方のファンサイトを最近立ち上げました。
趣味に合うかどうか解りませんが、もしよろしければお越し頂ければと思います。

ウエルカムページ(BGM付き)↓こちら
http://to.to.cx/nobu/welcome/1.html

BLOGページは↓こちらです。
http://to.to.cx/nobu/blog/blog.cgi

また、足跡帳(右側中程)も準備致しましたので、ご登録頂ければ足跡を辿ってまたお邪魔することも出来ます。是非登録して行って下さい。

突然お邪魔して日記の内容とも関係のないコメントで大変恐縮ですが、差し支えなければ今後ともお付き合い頂ければ幸いに存じます。

未完成の「第九」

シューリヒトとヴァントの演奏が、この曲の演奏史と録音史において最高のものであることは理解し、聴けば心は高揚するのですが、いささかの疑問があるのです。「完結感がある。」というところに・・・(;^^)

「あ、ここで終わりなんだ・・・。」という雰囲気でアダージョを締めくくって欲しい。その先には、ブルックナー自身も作曲できなかったほどの凄いフィナーレがあるのです!

シューリヒトもヴァントも、先にあるフィナーレの存在を(存在し得なかったことを)、全く無視しているかな・・・。

シューリヒトの「第九」は復刻LPで愛聴しています。
ヴァントのミュンヘン盤もいいですが、やはり来日公演の演奏が特別に聴こえます。

  • 2006/01/23(月) 21:50:36 |
  • URL |
  • 壁男 #-
  • [編集]

究極の四楽章

壁男さん、
コメントありがとうございます。パンドラの箱を開けてしまいましたね^^;。禁断の四楽章についても近日エントリ予定です。
手元にヴァント最後の日本公演前のインタビューを載せた新聞記事の切り抜きがあります。

「二人の作曲家とも、完成させる時間は十分にあったが、沈黙してしまった。この沈黙の意味は何か。私は説明できないが、人間の世界を超えた何かを感じる。演奏者、聴衆ともに、この『何か』を感じ取る努力をしなければならない」

ヴァントはフィナーレのことを意識していたのだと思います。

来日公演の演奏は今は普通に録音の一つとして聴けるようになりました。ミュンヘン・フィル盤よりも演奏上の傷がありますが、枯れきっていて所々はっとするような美しいところがあって好きです。(でも実演でどうだったかは全く覚えていない・・・)

  • 2006/01/23(月) 22:26:27 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

フィナーレ

ヴァントの言葉はさすがに含蓄がありますね。
でもどこかで「ちょっとしかスケッチが残っていない」とぶつくさ文句を言っていた気もしました。それもまた正しいかもしれませんが。

一応、フィナーレはコーダを除けばなんとか繋がるんですね(アーノンクール盤参照)。

しかし、たとえフィナーレの楽譜が全て発見されたとしても、それは原始の姿にしか過ぎないのです。

ということは・・・、第1~3楽章もまた「未完成」のままといえるでしょう。実際にトリオには前段階のスコアがありますし、全曲仕上げた段階で全て見直される可能性もあるわけです。なんせブルックナーですから(^^)ノ

だからこそ、残された楽譜は断片であっても、大切にしたいし、困ったことにそれを聴いてみると電流が走るような感動を受けてしまうのです。

エントリ楽しみにしてます(^^)ノ

  • 2006/01/24(火) 22:34:04 |
  • URL |
  • 壁男 #-
  • [編集]

ブルックナーと推敲

壁男さん、
こんばんは。コメントありがとうございます。
ブルックナーは推敲を重ねた作曲家だったので、おっしゃる通り現在聴かれている三つの楽章も最終形じゃなかったのでしょうね。
次エントリしますが、小生は終楽章のフラグメント版を怖くてまだ聴いていません。

  • 2006/01/25(水) 20:19:47 |
  • URL |
  • dokuoh #TquaeRfg
  • [編集]

TB、ありがとうございました。

dokucoh様 こんばんは
TBを頂き、ありがとうございました。貴記事を拝見し、昨晩が初聴きでしたシューリヒト氏のこの演奏に対する私自身の思いが、少し分かったような思いです。
 でもまだまだ聴き始めたばかり、とてもその美しさを堪能するまでには至っておりません。ただ抑えきれないほどの精神的な感覚の中で、迷子のような状況です。神々しい光が、遠く微かに見える程度です。良いお話を拝見させて頂きました。ありがとうございました。

聴きこんでください

みー太さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
是非、このシューリヒトの演奏を聴きこんでください。その魅力を理解すると、その呪縛から逃げられなくなる危険性はありますが。みー太さんの宝物になるといいですね。ブルックナー教に入信しませんか?これからもよろしくお願いいたします。

  • 2006/03/05(日) 00:44:30 |
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  • dokuoh #TquaeRfg
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  • 最近老け込んで、見た目もすっかり年相応になってしまったバカ親パパのサラリーマンです。最近は、仕事、子育て、親の面倒に追われ、音楽を聴く時間もまともに持てなくなってますが、ストレス解消に無謀な数のCDを買いつづけています。^^;

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